ろーだいありー

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ブックレビュー『あしたぶたの日ぶたじかん』(童話)

童話『あしたぶたの日ぶたじかん』(矢玉四郎作・絵/岩崎書店)レビュー

「うそ」がテーマの童話。

これは、小学三年生の「畠山則安」くんという少年を主人公とした『はれときどきぶた』シリーズの第二弾にあたります。前作『はれときどきぶた』は、畠山くんが「晴れ、ときどき、ぶたが降るでしょう」と日記に書いたところ、ほんとになった…、っていう話。

この『あしたぶたの日ぶたじかん』のあらすじは…。

 

――畠山くんは、「壁新聞」を作ることに夢中でした。はじめは「ほんとしんぶん」という、近所や学校のクラスでほんとにあったことを書いた新聞を作って、神社の掲示板に貼っていましたが、クラスメイトには不評でした。

そこで今度は「うそしんぶん」という、フィクションの新聞を作ることにしました(今風に言うと「フェイクニュース」新聞)。

「頭にチューリップが生えた女の子がいた!」、「ドーナツの食べすぎで体に穴が開いた男の子がいる!」など、ありえない話を書いたのに、なぜかそれが現実になって大騒ぎに…。

そして今度は「ぶたしんぶん」なるものを書くことにしました。だいたいこんな感じの内容。

「あしたはぶたの日です、ぶたがあちこちから出てくるので、みんなでぶたを捕まえましょう」。

無論、これも「うそ」です。

しかし次の日、それがほんとになってしまい――。

 

…奇想天外で面白い話ですが、注目すべきは作者による「あとがき」です。作者はここで読者に「どんなに『大手』だからといって、『新聞(マスコミ)』の言うことを鵜呑みにしてはいけないよ」と伝えているのです。これこそが本作のテーマなのでしょう。童話ですが、大人も読んでほしい作品です。

ちなみに、この作品は1985年発行ですが(手元にあるのは1988年第32刷とあるもの)、もし畠山くんが今どきのネットやパソコンに詳しい子どもなら、「うそブログ」(フェイクニュースブログ)なんてのを作ったのでしょうか? それがもし本当になったとしたら…?