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『和解のために』(朴裕河)批評

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ここで批評した本『「歴史認識」とは何か 対立の構図を超えて』(大沼保昭著 聞き手・江川紹子/中公新書)の中で、大沼保昭氏(2018年逝去)が紹介していた朴裕河(ぱくゆは)著『和解のために 教科書・慰安婦・靖国・独島』(平凡社ライブラリー。原書は平凡社)について簡単に批評してみる。これは、韓国人が書いた「日韓が和解するためにはどうすればよいか?」という問いに答える本、であるらしいのだが…。

今回は、日本軍「慰安婦」問題のページをメインとする。

この『和解のために』では、大沼氏らが強引に推し進めた「女性のためのアジア女性国民基金」(元「慰安婦」女性に、日本国家は法的責任を認めない形での「首相からのお詫びの手紙」と「償い金」を渡す制度。基金の多くは民間の寄付金)を称讃しており、これが韓国で受け入れられなかったのは元「慰安婦」を支援するグループのせいだとか批判している部分は、奇妙なほど大沼氏の本とそっくりなのだが、大沼氏の考えをほぼそのまま書いたのではないか、と思われる。なるほど、それゆえ大沼氏がこの本を褒めたがっていたのか…。

平凡社ライブラリー版のみ収録のまえがきでは、「この本は韓国ではあまり売れなかった」とあるのだが、これに関して大沼氏は『「歴史認識」とは何か』では触れていなかった。日本で翻訳版が出たときは話題になったようだが。

全体的にこの本は、「日本も韓国もどっちもどっち論」に貫かれていると感じた。さらに「日本の右翼にも左翼にも受けるように書かれている(右翼批判/擁護・左翼批判/擁護・日本批判/擁護・韓国批判/擁護が全て含まれている)」ようにも思ったが、それが日本では話題となった理由なのだろうか。歴史教科書問題についてもそういう書き方である。ただはっきり言うが、この本は全体的に退屈な本である。特に、歴史認識問題、日本軍「慰安婦」問題、歴史教科書問題などに詳しい人ほどつまらないと思うのでは。なぜなら、この本に書いてあることは大体、他の本でも読んだことがあるようなものばかりだったから。

この本そのものは大したことは無いが、これを知識人(左派含む。上野千鶴子なども…)がこぞって称讃していた、という事実こそ驚愕すべきなのだろうか…。

参考文献

  • 『和解のために 教科書・慰安婦・靖国・独島』(朴裕河著/平凡社ライブラリー)
  • 『「歴史認識」とは何か 対立の構図を超えて』(大沼保昭著 聞き手・江川紹子/中公新書)
  • 『「慰安婦」問題とは何だったのか メディア・NGO・政府の功罪』(大沼保昭著/中公新書)
  • 『歴史と責任 「慰安婦」問題と一九九〇年代』(金富子・中野敏男編著/青弓社)
  • 『慰安婦問題解決のために アジア女性基金の経験から』(和田春樹著/平凡社新書)