ろーだいありー

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『黒き竜の復活』は、シナリオと設定を改変しすぎている問題についてもう少し追記する

昨日の記事。

 

lucyukan.hatenablog.com

 

さらに追記しておく。

セガの『シャイニングフォース・神々の遺産』(メガドライブソフト。以下『神々の遺産』)をリメイクしたものが『シャイニングフォース・黒き竜の復活』(ゲームボーイアドバンスソフト。以下『黒き竜』)であるわけだが、「『黒き竜』は、『神々の遺産』のシナリオや設定を一部改変したことで、様々な矛盾点が生じている(特に他の『シャイニング』シリーズと繋がりを自ら断ち切ってしまっている)」ことは「『黒き竜』の問題点6」でも詳しく解説したのだが、もう少し書きたいことがあったので記しておこう。

(※以下ネタバレも含まれるので注意)

 

「『黒き竜』の問題点6」でも解説しているが、改めて概要を書いておく。詳しく知りたければこちらを参照。

『シャイニングフォース・黒き竜の復活』の問題点・その6(最終回) - ろーだいありー

 

『神々の遺産』の主人公は「古代人の末裔で、兄のカインと、相棒のロボット・アダム(1000年間保管されていた)と共に、1000年前に封じられた邪龍・ダークドラゴンを倒す使命を持って生まれた。しかし悪役のダークソルに襲撃された際に記憶を無くし、アダムともはぐれてしまう。それはゲーム本編開始より一年ほど前のことで、彼はガーディアナ国に流れ着いて、ここで過ごしていた」という設定である。兄のカインと、彼の相棒ロボ・ケイオス(これも1000年間眠っていたらしい)はダークソルに連れ去られて洗脳され、敵として立ち塞がることになる(カインは後に正気に戻るが。しかしダークソルによって殺されてしまう…)。

そしてもう一人重要なのが悪役の「ダークソル」で、『神々の遺産』では「一年ほど前、ルーンファウスト帝国に現れてラムラドゥ皇帝をそそのかし、悪の道に走らせた謎の魔道士で、ルーンファウスト軍の軍師として実権を握り、ダークドラゴン復活を目論む(恐らくその目的は単純に「世界征服のために利用する」であろう)」という設定である。恐らく彼は、ルーンファウスト軍に所属する以前は流浪の者だったのかも知れないが、ダークドラゴンの伝説を知り、その復活のために「古代人の末裔の主人公たち」を見つけ出して襲撃し、利用しようとしたのだろうと考えられる(結局主人公とアダムは逃してしまうわけだが…)。その直後に、ルーンファウスト軍の軍師になったと思われる。そして、最終章ではダークドラゴン復活のために自らを生贄にする…という壮絶な最期を遂げる。『神々の遺産』ではそれ以上語られることは無いが、続編や外伝作では「彼の正体は悪魔王で、遠い昔に別の大陸で他の悪魔王と覇権争いをしていたが、後に追放されてしまった(その後『神々の遺産』の舞台であるルーン大陸に流れ着いたのかも知れない)」、「彼は、部下の魔女・ミシャエラとの間に息子を授かっていて(いつ子どもを作ってたんだ…?)、その子はメフィストという。つまり、彼は部下を妻として、前作『シャイニング&ザ・ダクネス』のラスボス・メフィストの父親となっていたのだ」(かなり衝撃的だ…! 私にはエモいけど…)と語られている。

 

しかし、前も書いたように『黒き竜』では設定が大幅に変えられているわけだが…。概要を説明する。

『黒き竜』の主人公は「兄のカイン、相棒のアダムと共にダークドラゴンを倒す使命を持つ。ダークソルに襲撃された際に記憶を無くし、ガーディアナに流れ着いてそのままそこで暮らしていた」のは同じだが、彼ら兄弟は「古代人そのもので、古代(1000年前)からコールドスリープして現代に送り込まれた」ことにされてしまっている(彼らの両親がダークドラゴン製造に関わったとも言われる…)。カインとケイオスが連れ去られて敵になり、アダムともはぐれていることは同じである。ただしアダムとケイオスは「古代から保管されていた」のではなく、「1000年間、主人公兄弟が目覚めるのを待っていた」ことになっている(さらにアダムが100体居た、とも…)。

そしてダークソルも設定が違う。『黒き竜』でも、「ルーンファウストの軍師で魔道士、ラムラドゥを洗脳し、ダークドラゴン復活を目論む」のは変わらないが、彼の正体と「ダークドラゴン復活を目論む真の理由」が変わっている。それがあまりにも陰鬱でグロテスクでおぞましすぎるのだが…、改めて書いておく(何度も書くと反吐が出るが…)。『黒き竜』では「彼の正体は、主人公とカインと同じ古代人で、肉体を改造された上に記憶まで消され、ダークドラゴンの頭脳としてのみ利用されることになっていたが、彼はそれに反発して現代までやって来た(現代に目覚めてすぐに主人公たちを襲撃したことになっている)。そう望まれた通り、ダークドラゴンと一体化して全てに復讐するために」ということにされている(これでは前作とも続編とも外伝とも繋がらなくなる…)。

さらに「ダークソルというのも『黒き魂』の意味で、別の人間が付けた忌まわしい嘘の名前…」とされてしまっているが(前も言ったがこれも吐き気がするほどグロテスクな話だ…)、これは明らかに矛盾している。ダークソルとは「黒い太陽」の意味であり(「ソル(Sol)」は「太陽」を表す)、「黒き魂」の場合は「ダークソウル」でなければならないはずだ(某ゲームのタイトルとは関係ない)。このような陰鬱でグロテスクでおぞましい設定は、『シャイニング』には相応しいものではない、ということは何度でも言っておく。

そして、このように設定が変わってしまうと、「『黒き竜』では、主人公兄弟と、ダークソルには古代より続く奇妙な因縁がある」ことになってしまう。実際、第四章のボス・バルバザーク将軍のセリフが一部変わっていることにも注目して欲しい。以前はこれについては書いてなかったので、改めて。

『神々の遺産』ではバルバザークを倒すと「船はやるから、命だけは助けてくれ」と言われるので、許してやると、船を譲ってもらえるが、その直後バルバザークはダークソルによって粛清される。今際の際に、バルバザークは「ダークソルは恐ろしい奴だ、俺も、ラムラドゥ皇帝も、そして…」と言って絶命するのだった。

『黒き竜』では、バルバザークを倒すと「そうだ、お前たちにダークソルの秘密を教えてやる」と言って命乞いされるが、結局ダークソルに粛清されてしまう。バルバザークは「お前(主人公)も、カインも、ダークソルも、古代の…」といったことを言い残して絶命する。なぜバルバザークが、主人公たちの秘密を知っているのかは謎なのだが…。

私としては「ダークソルと、主人公兄弟には古代より続く因縁など無い(一年前の因縁はあるとしても)」方が、『ドラゴンクエスト』(以下『ドラクエ』)と同じで分かりやすくていいと思う。古代からの因縁があると、「ダークソルを倒すべきではないのかも知れない。彼は哀れな奴だ…」などと思わせてしまうため、いいこととは思わない(さらにこの設定もどこかグロテスクである)。彼は『神々の遺産』の時点で十分魅力があるキャラクターなのだから(実にシンプルな悪役ではあるが、ちょっと抜けていて飄々とした言動が面白いのである)、そのままで良かったのだ。『神々の遺産』の場合、私としては「ここまで魅力的な人物を倒してしまうのは惜しい…」、という気持ちはあるが(むしろ悪役側が主役のスピンオフ作品でも作って欲しいくらいだ)、別に同情はしないわけで。

『神々の遺産』の第八章でダークソルと再会すると、なかなか面白いことを言うのだが(詳しくは「『黒き竜』の問題点6」を参照)、『黒き竜』ではまるっきり差し替えられているのはどうしても許せない! しかも『黒き竜』では、主人公に対して「(声を失って)可哀そうに」とか「お前に同情する」などと言うのだが、元のセリフを知っているとどうも「何だか気持ち悪い…」としか思えない。「貴方はそんなキャラじゃないでしょう…」、としか言えない。さらに「私もお前と同じ古代から来た者」などと明かし、「私と手を組んで世界に復讐しないか?」などと誘ってくるのも、何だか違うよなぁ…。『シャイニング』はそんな作風ではないと思うが。また引き合いに出してしまうが、『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(アトラス)ならいいとしても(実際、敵の「宗像(実は復讐に燃える神「スクナヒコナ」だったりする)」はこれと同じようなことを言うので)。

「ダークソルがダークドラゴン復活を目論む理由」にしても、単純明快に「世界征服のため」(続編の設定を考えると、実は「悪魔王として復活するために必要だった」、とも考えられなくはないが)である方が分かりやすくていいのだ。「自分を陥れた古代人たちと、世界に復讐するため」というのはあまりにも暗くて重すぎる。他のゲーム(特に『女神転生』とか…)か、別の『シャイニング』シリーズならそれでも別にいいが、初代『シャイニングフォース』の話としては相応しくないと思っている。『神々の遺産』は、話そのものは暗くて悲劇的だが、「暗いゲーム」といった印象はほとんど無く、「カラッとしていて明るいゲーム」と思えるのは、「悪役の目的がシンプルだから」というのもあるのだろう。それを変えてしまうと、どうしても「湿っぽくて暗いゲームという印象」しかなくなってしまう。

それと『黒き竜』の、「主人公とカインが古代人そのもので、両親がダークドラゴン誕生と関わりがあるらしい」、という設定も、何か湿っぽい上におぞましいものを感じるわけで。つまり、はっきり言えば「親の因果が子に報う」のような…。やはり、『ドラクエ』と同じように「伝説の勇者の子孫が悪を倒す」(主人公と悪役は特に接点は無い!)話の方がさっぱりしていていいと思うのだが。

…また長くなったが、やはり結論は「私としては、『黒き竜』のようなものを世に送り出したセガを、どうしても許すことが出来ない」ということだ…。

参照ゲームソフト

  • シャイニングフォース 黒き竜の復活(ゲームボーイアドバンス/発売元・セガ)
  • シャイニングフォース 神々の遺産(メガドライブ/発売元・セガ)
  • シャイニングフォース外伝 ファイナルコンフリクト(ゲームギア/発売元・セガ)
  • シャイニングフォース2 古えの封印(メガドライブ/発売元・セガ)
  • シャイニング&ザ・ダクネス(メガドライブ/発売元・セガ)
  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(プレイステーション2/発売元・アトラス)