ろーだいありー

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「『黒き竜の復活』の問題点6」にさらに補足する・その2

先日公開したこの記事。『シャイニングフォース・黒き竜の復活』(セガのゲームボーイアドバンスソフト。以下『黒き竜』)のレビュー企画シリーズ・最終回。このゲームは『シャイニングフォース・神々の遺産』(セガのメガドライブソフト。以下『神々の遺産』)のリメイク版である。

 

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これにさらに追記したのがこちら。

 

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これらに、さらに補足したいと思ったので書くことにする。…しかし本当は、早く『黒き竜』のことなど忘れてしまいたいのだが(特にトラウマになっているシーンは…)、それでも今は書くしかないと思う。

(※以下ネタバレも含まれるので注意)

 

まず、『神々の遺産』と『黒き竜』では、宝箱の中身が一部異なる、というのは「『黒き竜』の問題点」シリーズには書いていなかったので、追記しておく。例えば南の島「ワーラル」で見つかる宝箱の中身で、『神々の遺産』では「薬草」が入っている箱があるが、これが『黒き竜』だと「ヘビーメイス」*1に変わっていたり、後半の「ルーンファウスト城」では「ハルバート」*2が入っていたところに「ミラクルメイス」*3が入っている、など。さらに、「初期装備が『神々の遺産』と『黒き竜』では異なる味方ユニットも居る*4」こと、「店で売っているアイテム・武器が、全く同じ町のショップであっても『神々の遺産』と『黒き竜』では違う場合も多い」こと、「初期パラメータが異なる味方ユニットが多い」ことも追記しておく。

 

さらに補足。『黒き竜』の場合、「主人公が喋ること」の問題点は「『黒き竜』の問題点2」などでも明記したが、もう一つ気になったことがある。それは、主人公のセリフにやたらと「過去の記憶が無くて苦悩している」*5という旨の発言が出てくること。さらに序盤では、ノンプレイヤーキャラクターの「バリオス」*6のセリフでも、「何も思い出せないのか?」と追加されていたりする。これもまた、「『黒き竜』は『神々の遺産』と比べると暗い面ばかりが強調されていて、湿っぽく感じる」原因の一つのように思う。

『神々の遺産』だと主人公は喋らないので*7、彼が記憶喪失であることを悩んでいるか否かは、プレイヤーが自由に考えればいいのであるから、そんなに暗い印象は無い。私の個人的な印象では、主人公は「記憶が無いことを時々は苦悩しているのかも知れないが、過去にこだわるよりも今を精一杯生きようとする、前向きでお人好しで能天気な青年」といった感じである(でも『黒き竜』の主人公は明らかに「熱血タイプ」になっており、違和感が大きい…)。

記憶を無くしているのは、彼にとってはむしろ良いことなのかも…、と私は思っている。「自分は世界を救う使命を持つ」(要は『ドラゴンクエスト』シリーズの主人公が「お前は悪を倒す勇者だ」と周囲から言われ続けるのと同じこと)という重圧に苦しめられることは無いのだから…。主観だが、「彼は『世界を救う使命があるから』戦っているというよりは、『ただ、自分の周りに集まってくれた人たちを守りたい』から戦っているのだ。特別な使命があるとか無いとかは別にどうでもいいこと…」というように見える。しかし、前も書いたように『黒き竜』では、主人公の過去のシーンが追加されていたり、「記憶を取り戻した」と自ら喋ったりするのは違和感があるし*8、この展開だと彼は「世界を救うという自分の使命を思い出してしまった」ことがはっきりと分かってしまうため、プレイヤーが自由に想像する余地が無くなり、つまらないと思う。

 

もう一つ、ゲーム開始後の第一回戦「古えの門*9でのバトル」で、撤退するか主人公がやられて敗走した場合、「どこに戻るのかが『神々の遺産』と『黒き竜』では異なる」ことも書いておこう。『神々の遺産』では「ガーディアナの町の教会」まで戻されるが、『黒き竜』だと「近くの山小屋」に行くことになる*10。さらに序盤に関する細かいネタを書くと、ガーディアナの町の酒場の看板を調べると『神々の遺産』では「酒場 マンドラゴラ・ワイン・ヌーボー本日入荷しました」などとあるが、『黒き竜』では「酒場・月夜の思い出」と書いてあったりする*11。「マンドラゴラ・ワイン・ヌーボー」にはセンスの良さを感じる(どんなワインなのか興味をそそられる!)。

ここでは、『黒き竜』では削られている、『神々の遺産』でのみ見られる「面白いセリフ・メッセージ」をいくつか書いておこう(原作より漢字を多用している。一部カットしたところ、うろ覚えのところもあり。以下ゲーム中のセリフ・メッセージは全て同じ)。

  • 「…ろくな本が置いてない!」(いくつかの本棚のメッセージ)
  • 「城の中はお静かに」(アルタローン城の貼り紙)
  • 「ニイちゃんも一杯やりなよ!」(アルタローン城の酒場に居る兵士)
  • 「神父様に話を聞きました。大変でしたね、〇〇(主人公の名前)様!」(第二章のアルタローンで、敵の策略で牢に入れられた後に脱走して市街戦をクリアし、教会に居る「神父見習い」に話しかけた時。『黒き竜』だと「神父様が戻られて嬉しいけど、僕はまた見習いに…」みたいなことを言っている。『神々の遺産』の方が主人公を気遣ってくれているので良いと思うが)
  • 「びえーん、ドレスが泥だらけよー。あわてて逃げようとしたら転んじゃったのよー」(アルタローン市街戦後、「ドレスを自慢する娘」と話した時)
  • 「あー、船が燃えちまった。あんたたちもついてないのう」(リンドリンドで船を失った後に船着き場に居る老人と話す)
  • 「落石注意」(バストークの町の看板)
  • 「今日の料理」(バストークの本棚)
  • 「シャイダク、シャイニング・スピリット」(バストークで「ステトラ」の家の本棚を調べる。「シャイダク」とは前作『シャイニング&ザ・ダクネス』のことだろうか)
  • 「命知らずもいいところだぜ!」(「騎士・ペイル」が仲間になる時のセリフ。『黒き竜』だとペイルは「あんたはバカだ!」などと言い、主人公が「それって褒めているのか?」などと突っ込んだりするが、あまり笑えない…)
  • 「はっ、お出かけになる…?」(プロンプトの町の住人)
  • 「ワーラルの間」、「トロピカルの間」(ワーラルのホテルの貼り紙)
  • 「パオパブが怯えちまっただよ!」(パオ平原に居る人。「パオパブ」とは羊のような生き物のことで、植物の「バオバブ」が語源と思われる。『黒き竜』だと「怯えちまったよ!」となっている)
  • 「今週の掃除当番、クララ・ナナ・ノンノ・ランス…」(ルドル村の貼り紙。この村の子どもが書いたものであろう)
  • 「コミックシャイニング第一巻」(リンドリンドの本棚)
  • 「今週の成果、ニワトリ6、うさぎ2、ネコ3、ヨーグルト0」(マナリナの「実験バーサン」の部屋の貼り紙。ヨーグルトとは味方ユニットにもなるマスコットキャラクターのことだが、ヨーグルトに変身する魔法の研究でもしているのだろうか?) 
  • 「パオ大平原の小さな家」(パオ列車の本棚。『大草原の小さな家』のパロディ?)

セリフ・メッセージ絡みのことをさらに書くと、『神々の遺産』は「セリフやメッセージに余韻がある」のも特徴であろう、と思う。例えばこんなセリフ・メッセージだが…(全て『黒き竜』では見られないもの)。

  • 「さよなら…そして死ぬのです。いつか死後の世界で…」(第二章、敵キャラクター「魔女・ミシャエラ」のセリフ。『黒き竜』より、『神々の遺産』の彼女の方が妖艶な印象である)
  • 「バリュウは泣き虫で困る…。何かあるとすぐに逃げ出して…」(ドラゴニアの本棚、神竜・バリュウの母の日記より)
  • 「…抜け道を見つけた。あの子が作ったものだろう…」(同じくドラゴニアの本棚、バリュウの母の日記)
  • 「我々神竜には強い力があった…、しかし大きな弱点を持っていた…」(ドラゴニアの別の本棚)
  • 「我々にはなかなか子どもが生まれなかった。仲間の数は減るばかりだ…」(同じくドラゴニアの本棚。神竜が絶滅寸前になった理由と思われる。なお『黒き竜』ではドラゴニアの本棚の本を読むことが出来ない)
  • 「あのダークソルって男が、突然この教会にやって来た…。神々の遺産の謎は誰にも伝えさせん! と言って、神父様に襲いかかっただ。神父様も魔法で立ち向かって、ダークソルも怪我をしただよ。でも、結局は…」(第二章で、「『黒き竜』の問題点6」の最後の項目でも詳しく解説した「悪役・ダークソル」とシェード教会で出会った後、彼が差し向けたゾンビとグールを倒し、「鐘撞男」に話しかけた時のセリフ。「でも結局、神父様は殺されてしまった」と言いたいのだろうが、このように余韻のある書き方だとより恐さが増す。このセリフが『黒き竜』で見られなくなった理由については「『黒き竜』の問題点6」を参照のこと)

セリフやメッセージに余韻があるのは、「レトロゲーム特有」とも言える。容量・文字数に制限があるため、余韻のある書き方しか出来なかったのだろうが、そこがかえって味わい深いセリフ・メッセージになっている。しかし『黒き竜』では容量が増えて文字数に余裕があるためか、「余韻のあるセリフ・メッセージ」は少なくなってしまったのはつまらないと思う。

さらにもう一つ。『黒き竜』のみ、第六章でボスの「ミシャエラ」を倒した時、主人公が「ミシャエラ…、恐ろしい魔女だった…」などと言っているが、はっきり言うとミシャエラは『神々の遺産』では確かに恐ろしいが(電撃魔法「スパーク」が強力であるため。まれに「強烈な一撃」*12になることも…)、『黒き竜』ではかなり弱体化しているため*13『神々の遺産』の時ほど「恐ろしい」とは思わなかった*14そのため、このセリフはどうも違和感が拭えなかったりする。

参照ゲームソフト

  • シャイニングフォース 黒き竜の復活(ゲームボーイアドバンス/発売元・セガ)
  • シャイニングフォース 神々の遺産(メガドライブ/発売元・セガ)

*1:新ユニット「ナーシャ」の専用武器

*2:槍。職業「パラディン」のみ装備可能

*3:これもナーシャ専用の武器

*4:主人公は顕著で、『神々の遺産』では「ミドルソード」のみだが『黒き竜』は「ショートソード」と「スチールリング」

*5:主人公は記憶喪失者である

*6:主人公の剣の師匠をしているケンタウロスの老人

*7:一部の場面を除く

*8:『神々の遺産』では、主人公が記憶を取り戻したか否かははっきりとは示されていない

*9:『黒き竜』では「古の門」

*10:『神々の遺産』の場合は「第二回戦」で撤退した場合に行く場所で、ここで「モンク・ゴング」を仲間にすることも可能

*11:『黒き竜』で「マンドラゴラ・ワイン・ヌーボー」とあったかどうかは記憶に無いのだが…

*12:『ドラゴンクエスト』で言うところの「会心の一撃」

*13:ただしこちらの魔法は効かなくなったが

*14:味方ユニットにも「魔法抵抗」パラメータが追加されたこともあるのだろうが…