今日はスタバに行った。
そしてファンシーショップで、復活した「スイマー」グッズを買う。この「ゆめかわ」な雰囲気は健在だ…。
かつては、よく行っていたショッピングビルにも「スイマー」があったが、ビルそのものが閉店したためその店も無くなり、「スイマー」ブランドも終了していたが、今回復活して良かったと思う。
シリーズ 「超國家機関ヤタガラス」はなぜ怖ろしいのか?
・第十回目「この世界の未来が『真・女神転生』に繋がるとは到底思えない」
※このブログは、『女神転生(メガテン)』ファンの個人による非営利ブログであり、発売元のゲームメーカー様とは一切関わりありません。予めご了承ください。
※この記事は2022年5月22日に加筆・修正・訂正済み。
このシリーズ記事は、アトラス社が2006年にプレイステーション2専用ソフトとして発売したRPG『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs.the Soulless Army)』(以下『超力兵団』。『メガテン』シリーズの一種。現在は絶版)に登場する架空組織「超國家機関ヤタガラス」(以下ヤタガラス。極右思想・天皇崇拝思想を持つ)を徹底的に批判すること、『超力兵団』の問題点を暴き出すこと、この『葛葉ライドウ(Raidou Kuzunoha)』シリーズは一切封印すべきである(特に『超力兵団』に関して)と訴えることを目的としたものである。なぜこのシリーズ記事を書くのかと、このゲームの概要については、前回までの記事を参照のこと。前回記事はこちら。
第一回目~第八回目まではこちらのリンク集からどうぞ。
この記事は、「日本の右派による歴史捏造主義に徹底して対抗する」立場、「天皇制は差別制度であり、昭和天皇には戦争責任がある」と考える立場から書いている。
ただし、私はいかなる宗教団体・政治団体・市民活動団体・右翼団体・左翼団体などとは一切関わりを持っていないこともお断りする。 また私は、右翼・左翼・極左・極右・保守・リベラルのどれにも属していない。
この記事にはゲームの「ネタバレ」も多く含むので注意。
また、このゲームをプレイされていない方には理解出来ないであろうことは、お断りしておく。
このシリーズ記事で『超力兵団』に関わる事柄は、主にゲームソフト『超力兵団』と、続編の『デビルサマナー葛葉ライドウ体アバドン王(Devil Summoner 2: Raidou Kuzunoha vs. King Abaddon)』(こちらもPS2専用ゲームソフトで、2008年発売。現在は絶版)、及びこの二作の説明書・各種公式攻略本や、『超力兵団』の公式設定資料集を元に書いたものであり、この二作を題材とするメーカー公認のコミカライズ、ノベライズ、ドラマCDなどは一切参照していないことも予めお断りする。
前回は、『超力兵団』の最終話である第拾弐話(第十二話)、「人の想い 心の絆」をリプレイのような形で収録した。今回は、この記事を元にして第拾弐話をさらに詳しく深掘りしていく。
ここでは第拾弐話のあらすじを紹介する。詳しく知りたければ前回記事を参照。
第拾話で暴れ出した巨大ロボット「オオマガツ」を止めるため、第拾壱話では宇宙に仲魔一体と、相棒の喋る黒猫・ゴウト(その中身は「罪を犯した元デビルサマナー*1」である)を乗せたロケットを飛ばし、ロボットの動力源であった「衛星タイイツ」の破壊に成功した(仲魔とゴウトは犠牲になってしまうが…)。
第拾弐話では、とりあえずオオマガツの停止に成功して安心したのも束の間、もう一体のロボット「ヤソマガツ」に乗ったヒロイン「大道寺伽耶」が現れる。この伽耶は、本来の伽耶ではなく何者かが憑依した状態であり、これを「伽耶に憑きし者」と呼ぶ。事件の真の黒幕はこの「伽耶に憑きし者」であった。彼女を追い、ライドウは最終ダンジョン「アカラナ回廊」へと向かう。
ここは、このゲーム上の未来へと繋がっているようだ。伽耶に憑きし者は、このアカラナ回廊を通じて未来からやって来た魂であるらしい。アカラナ回廊では、このゲーム上での未来を垣間見られる場所がいくつかある。その中には史実を元にした「東京大空襲」や、「原爆投下」などもあるのだが、「東京にICBMが落ちる」とか、「TOKYOミレニアムが作られる」といった、史実とは関係無く『メガテン』シリーズの一種『真・女神転生』(スーパーファミコン他)と、続編である『真・女神転生II』(スーパーファミコン他)に繋がると考えられる描写がある。
伽耶に憑きし者の正体は、遠い未来の「TOKYOミレニアム」からやって来た「テンプルナイト」(後述)であり、さらに「ライドウの名前を受け継いだデビルサマナー」だという。さらに「ヤタガラスは、将来メシア教(後述)に変わる」ことを示唆するセリフも言う。彼女が過去に来たのは、歴史を作り変えるためだった。恐らくはヤタガラスを滅ぼしてメシア教が作られないようにし、「TOKYOミレニアムも作られない未来」に変えるためだろう。
伽耶に憑きし者と、戦艦に変形する「ヤソマガツ」を倒すと、伽耶に憑依していた魂は去って行き、本来の伽耶を取り戻すことが出来る。そして伽耶は無事に家に帰り、帝都にも平和が戻る。ライドウと鳴海は、また元の仕事に戻る。しかし鳴海が「伽耶にとりついていたのは本当に未来人なのか? 彼女がそう思い込んだだけなのかも…?」というようなことを言っていたのが気になる。
今回は、第拾弐話を掘り下げていく企画の第一弾として「この世界の未来が『真・女神転生』に繋がるとは到底思えない」と題して書こうと思う。
先ほども紹介したように、第拾弐話によるとこのゲームの未来は『真・女神転生』と『真・女神転生II』に繋がるのだというが、私はどうしても信じることが出来ない。その理由をここで明かそう。
まず、『真・女神転生』と『真・女神転生II』のシナリオについて簡単に解説する。
199X年*2の吉祥寺から始まる物語。主人公の少年は、ある日パソコン通信で「悪魔召喚プログラム」なるコンピュータプログラムを「スティーブン」という人物より受け取る。その頃から、町には悪魔が出現したりと、妖しい雰囲気が漂うようになった。そんな中「ロウヒーロー」、「カオスヒーロー」、「ヒロイン」と知り合うことになる。
だが、アメリカ大使・トールマン(実は北欧神話に出てくる「トール」神である)が発射したICBM(大陸間弾道ミサイル)により東京は壊滅。主人公はヒロインの力で「金剛神界」なる異世界に飛ばされて助かり、ロウヒーロー、カオスヒーローもここに飛ばされていたことが判明する。金剛神界の住人・役小角の力で東京に戻った三人だったが、そこは東京崩壊から30年後の世界だった。人類はかろうじて生き延びているが、同時に多数の悪魔たちも地上に現れているのだった…。
この荒廃した世界で生き残るために、主人公は「悪魔召喚プログラム」で仲魔にした悪魔たちと共に戦うことになる。主人公の選択により、ロウ(秩序)属性を持つ宗教「メシア教」が勝つか、カオス(混沌)属性を持つ宗教「ガイア教」が勝つか、それともどちらも負けるのか…、ということが決定する。つまり「架空の宗教戦争」のようなシナリオが展開されるのである。
『真・女神転生』のエンディングよりずっと未来、20XX年。このゲームの舞台は「メシア教が勝利した」場合の未来ということになっているようだ。
この頃東京は「TOKYOミレニアム」という、「メシア教が支配する閉鎖された国家」に変貌している。それ以外の場所には、人間は住めなくなってしまったらしい。ここでは徹底した階級制度が敷かれている。メシア教にとっての異教である「ガイア教」は、細々と生き残っていたものの、メシア教により弾圧されているのだった。
TOKYOミレニアムの一角「ヴァルハラエリア」(下級エリア)に住む、記憶喪失の青年「ホーク」が主人公。彼はヴァルハラのコロシアムで戦う戦士であり、勝ち残った彼は「センター」(TOKYOミレニアムの中心で、上流市民しか住めない)で暮らす資格を得る。しかし彼は元々ここの住人で、本名は「アレフ」であったことが判明する。さらにアレフは「メシア」(救世主)なのだという。
彼は「メシア」として人々を救うことになるが、選択によってはメシア教を裏切ってしまうことも可能なのだ…。彼はいったいどこへ向かうのだろうか? 彼の正体は明らかになるのだろうか? さらに、TOKYOミレニアムには驚くべき事実が隠されていることも知ることになるだろう。
前回、『超力兵団』の最終ダンジョン「アカラナ回廊」でのイベントを紹介した。このダンジョンは『超力兵団』の未来を映し出している場所だとされる。ここでのイベントシーンと、史実を元にして『超力兵団』の未来予想図を年表にしてみた。
私は、この世界の未来は『真・女神転生』には繋がらないと考えている。その証拠をいくつか示そう。
一つ目は、このゲームのタイトルに「デビルサマナー」と付くこと。「デビルサマナー」とタイトルにある以上、本来この世界の未来は『デビルサマナー』シリーズの初代である『真・女神転生デビルサマナー』(セガサターン、プレイステーションポータブル。以下『デビルサマナー』)の世界に繋がらなければおかしい。
二つ目は、九十九博士の万能科学研究所に居る「未来が見えるらしい『宿無しオヤジ』」が言う「未来を予言したセリフ」は、明らかに『真・女神転生』と『真・女神転生II』とは異なること。
三つ目は、ヤタガラスがメシア教に変化するとは到底思えないことと、伽耶に憑きし者が未来の「テンプルナイト」兼「ライドウの名を継いだデビルサマナー」だというのも信じがたいこと。
これらを一つずつ解説していこう。
まず、「『超力兵団』はデビルサマナーシリーズなのだから、『デビルサマナー』へと繋がらなければおかしい」という点を解説したい。
ここでは、この『デビルサマナー』について簡単に説明する。
このゲームのオリジナルはセガサターンで、プレイステーションポータブル(PSP)でリメイクされた。私はリメイク版しかプレイしたことが無いので、以下の解説はPSP版が元であることをご了承願いたい。
このゲームは、「平崎市」という架空の町*4を舞台としている。時代的には『真・女神転生』と同時代らしい。ここに暮らす主人公の青年は、あるアクシデントで死亡してしまうが、「葛葉キョウジ」という「デビルサマナー」を生業とする青年に憑依することで復活を果たす。それから彼は「キョウジ」として、相棒の女性「レイ・レイホゥ」、そして仲魔たちと共に、この街で起こる異変に立ち向かうことになるのだった…。
『デビルサマナー』の世界は、『真・女神転生』のパラレルワールドであると考えている。その証拠をいくつか示しておこう。
『真・女神転生』では、先ほども紹介したように、「199X年に、アメリカ大使・トールマン(「トール」)の策略により東京にICBMが落ちて、東京は崩壊する」ことになっている。
だが、同時代を舞台にしたと思われる『デビルサマナー』では、ある場所で見られるテレビのニュースで「アメリカ大使・トールマンが病死した」と報道されていたり、「ICBMが発射されそうになったが直前に停止した」という報道も見ることが出来る。つまり『デビルサマナー』の世界は「199X年に、東京にICBMが落ちなかった」と仮定して創られた世界なのだ。
『デビルサマナー』で行くことの出来る町には、「金王屋」(『デビルサマナー』では「きんおうや」と読む)というアイテムショップ(表向きは骨董品店)があり、ここの主人は『超力兵団』に出てくる「金王屋」(『超力兵団』では「こんのうや」)の主人の子孫だとされる。
また、『デビルサマナー』では「シド・デイビス」という敵キャラクターが出てくる。『超力兵団』で行くことになる「外國人墓地」をよく調べると、「…ド・デイビスここに眠る」などと書かれているのを見られるが、これは「シド・デイビス」の祖先なのでは?
『超力兵団』は「デビルサマナー」とタイトルに付くし、『デビルサマナー』とこのような繋がりがあるところを見れば、やはり『真・女神転生』に繋がるとは到底思えない。
余談だが『デビルサマナー』と、『メガテン』のスピンオフ作品『ペルソナ』シリーズ、『真・女神転生if…』(スーパーファミコン他)とは繋がりがあるのではないか、と思う。
『真・女神転生if…』は、『真・女神転生II』の後に発売されたタイトルで、直接的な続編では無いが、恐らく『真・女神転生』のパラレルワールドの話と思われる。『真・女神転生if…』について簡単に説明すると、ごく普通の高校生である主人公(男女どちらでもプレイ可能)と、同校の生徒たちが、「ハザマ」という「悪魔召喚プログラムを手に入れた少年」の力で「魔界」へと飛ばされてしまい、そこからの脱出を図る物語である。主人公もまた「悪魔召喚プログラム」を手に入れて、悪魔召喚が出来るようになるのだ。
なぜ『真・女神転生if…』は『真・女神転生』のパラレルワールドと分かるのか。それは序盤で「吉祥寺でハンドヘルドコンピュータを身に着けた少年*5を見かけた」という人物が居るため。
『ペルソナ』シリーズの第一作品である『女神異聞録ペルソナ』(プレイステーション)は、『メガテン』の外伝作で、悪魔使いではなく「ペルソナ使い」の高校生たちが異変に襲われた町を救う物語。このゲームでは『デビルサマナー』と思われるポスターを見かけたり、『真・女神転生if…』の女主人公が「たまきちゃん」として登場する。さらに続編『ペルソナ2・罪』(プレイステーション他)と『ペルソナ2・罰』(プレイステーション他)では、「轟所長」という「本来のキョウジの魂が憑依した探偵」が登場している。
私の解釈では、『真・女神転生if…』も『ペルソナ』も『デビルサマナー』も同じ世界であり、『真・女神転生』のパラレルワールドであろう、と考えている。
では次に「九十九博士の万能科学研究所に居る『宿無しオヤジ』が言う予言(?)は、『真・女神転生』と『真・女神転生II』とは異なる」点について解説したい。
ライドウの味方である、九十九博士が住む「万能科学研究所」には、ホームレスらしき人物「宿無しオヤジ」が居るが、この人に特定の悪魔の特殊能力「読心術」を使うと、心の声で「星のお告げが聞こえる…」と出て、未来のことと思われる話が聞けるが、彼は未来が見えるのだろうか。
このオヤジの心の中のセリフで、「車内ではマナーモードに設定のうえ…、優先席付近では電源をお切りに…」などというものがある。これは「電車内での携帯電話のマナー」のことを言っているのだろう。このようなアナウンスは、史実では2003年頃に統一アナウンスとして設定されたものだと思われる。とすれば、このオヤジは2003年の日本を見ていたのでは?
もしこのゲームの未来が『真・女神転生』に繋がるとしたら、199X年(恐らく1990年代前半あたり)に東京が破壊されるわけだが、1990年代の前半はまだ携帯電話を持つ人自体が少なく、マナーモード付き携帯電話も無かったはず。東京崩壊後は携帯電話会社自体無くなっていると思われるので、マナーモードを持つ携帯電話が存在するとはとても思えないし、そもそも崩壊後の世界では、電車など走っていないので車内アナウンスも無いだろう。
『真・女神転生』で東京が破壊された後、他の道府県がどうなっているのかは不明だが、東京がいつまでもあのような混沌とした世界なのは、「他の道府県からの支援が一切無い」としか考えられないので、ICBMの威力は東京どころか、日本全土に及んでいた可能性がある。
いずれにしても『真・女神転生』の後半、東京が水没すると、日本全土が水没してしまうのは確かなのだろう。
私の見立てでは『真・女神転生』で、199X年に東京にICBMが落ちた後は、東京どころか日本全土が崩壊しているのでは…、と考えている。そのため、マナーモードやi-modeなどが付いた携帯も、スマホも作られることは無いと思う。しかも電車も走ってはいないのだろう(飛行機やバス、船も…)。だから、「車内では携帯はマナーモードに…」といった言葉も出てこないはずだ。
私の仮説では、あのオヤジは本当に未来を見ることが出来ると考えている。宿無しオヤジが見た未来は、『真・女神転生』のことではなく、ICBMが落ちない『デビルサマナー』のことだと思う。だから、この世界が『真・女神転生』に繋がることはない。
最後に、「ヤタガラスがメシア教になるとは思えず、伽耶に憑きし者はテンプルナイトではない」と考える証拠を書いてみたい。
第拾弐話で、伽耶に憑きし者は最終決戦前に「お前の行動が遠い将来、あの狂信的な集団を生み出す」と言っている。先ほど書いたように、私の解釈では「ライドウが所属するヤタガラスは、将来メシア教に変化する」ということだろうと考えている。だが、ヤタガラスがメシア教になることは決して無い、と断言する。
その理由は、「ヤタガラスのモデルは国家神道で、メシア教のモデルはキリスト教だから」と、「史実では、キリスト教は国家神道によって弾圧されていたため」である。
先に、「メシア教」について説明する。
「メシア教」は、『真・女神転生』と『真・女神転生II』に出てくる架空の宗教。ざっくり言うと「いつかメシア(救世主)が現れて人々を導き、千年王国と呼ばれる秩序ある神の国が創られ、選ばれた者だけがそこに住めるようになる」という思想を持つ教団。属性は「ロウ」(秩序を重んじる属性)。
メシア教が信じている神は「唯一神」*6のみであろう。つまり一神教である。このメシア教は、明らかに「キリスト教」を元ネタとしている。「メシア」、「唯一神」(一神教)、「千年王国」というキーワードはキリスト教に由来していると分かるからだ。
そして、『真・女神転生II』の最後の方では「メシア教の中心であるセンターが、『箱舟』に選ばれた人類だけを乗せて宇宙へ飛び立ち、世界を一度滅ぼした後に帰還し、選ばれた者たちで新しい世界を創る」という計画を実行するのも目撃することになるが、この箱舟はキリスト教の聖典「聖書」が由来なのは分かるだろう。そう、「ノアの箱舟」のことだ。
センターの支配者は、ラファエル、ウリエル、ガブリエルといった大天使たちであるが、これもキリスト教由来である。
一方、メシア教と敵対する「ガイア教」(こちらも『真・女神転生』と『真・女神転生II』に出てくる架空の宗教)は、「神も悪魔も人間も共存出来る、混沌とした世界を創る」ことを目的とする教団。力こそ全て、という思想である。属性は「カオス」(混沌を重んじる属性)。
これの元ネタはよく分からない。ただ「ガイア」はギリシャ神話の女神の名前であるのは確かだ。
『真・女神転生』の登場人物「ゴトウ」(自衛隊員)は、これを信仰している。なお、ゴトウとは『真・女神転生』の序盤で会うことになる重要人物であるが、割腹自殺した作家・三島由紀夫(右翼)がモデルとされる。ゴトウの居る部屋には「天照大神」と書かれた掛け軸があるので、彼が右翼であることは間違いないだろう。また、ゴトウを信奉している「ガイア教徒・特攻隊」*7は、どう見ても「街宣右翼」である。
ヤタガラスは、何度でも書くが実在した国教「国家神道」がモデルとしか思えない組織である。国家神道は神道をモデルとしているが、八百万の神の他に「天皇」も「現人神」として信仰していた。『超力兵団』の第七話では、「大正天皇(としか思えない人物)を救え」とヤタガラスにより命じられるが、これを見ればもうお分かりであろう。
そして史実では、キリスト教は「国家神道が支配する日本では弾圧された歴史」がある。「キリスト教信者が信じているのは唯一神のみであり、天皇を神とは認めようとしなかった」からである。そう考えると、この時代にもしもメシア教があったとしても、ヤタガラスにより弾圧されたに違いない。
なお、『超力兵団』では天主教会という教会が出てくるが、あれはキリスト教の教会なのだろうか。多分この世界でもキリスト教、仏教などの宗教は多数あるに違いないが、ゲーム上の日本ではヤタガラスにより「天皇を神と認めない宗教」は弾圧されている可能性はある。その辺は、はっきりとは描かれていないのだが。
もう一度簡単に説明すると…。
ヤタガラス→国家神道がモデル。八百万の神と天皇を信仰する多神教。天皇を守護しているということは、天皇が支配する日本は素晴らしいと思っているに違いない。思想的には極右と考えられる。属性とかは特に設定されていないが、ロウに近いと言えば近い。
メシア教→キリスト教がモデル。唯一神のみを神とする一神教。秩序を重んじ、神による秩序こそ素晴らしいと考える。属性はロウ。
ガイア教→特定の宗教がモデルかどうかは不明。あらゆる神・悪魔と共存しようとする。混沌を重んじ、力こそ全てだと信じている。属性はカオス。右翼のゴトウが信仰している。またゴトウの信奉者「特攻隊」は街宣右翼である。
このように見ていくと、「ヤタガラスがメシア教になる」可能性は限りなくゼロに近い。そもそも「国家神道がキリスト教に変化する」ことは実際にはありえないから。
ヤタガラスは、確かに属性的にはメシア教と同じ「ロウ」に近いが、メシア教は「唯一神による秩序ある世界」を目指しているのに対して、ヤタガラスは「天皇による日本の支配を重要視している」としか思えない。また、ヤタガラスが将来「力こそが全てで、混沌を重んじる」ガイア教になる可能性もほぼ無いだろう。右翼のゴトウはガイア教を信仰しているが、だからといって極右思想で「天皇が支配する世界が良い」と考えるヤタガラスが「ガイア教」に変化したとも考えにくい。ガイア教は多分「天皇は神」とは思っていないだろうし。
もしもメシア教がヤタガラスなら、右翼のゴトウは喜んで崇拝しそうだが、逆に彼はメシア教を嫌ってガイア教に陶酔しているではないか? ちなみにゴトウは、どうやら『デビルサマナー』の世界でも存在しているらしいが、このゲーム中ではテレビのニュースで「陸上自衛隊員の五島*8が武器の不法所持により逮捕された」と報道されている。
なお、『真・女神転生』の序盤の時点では、まだ天皇制は存在しているに違いないが、崩壊後は多分天皇制自体もう無くなっているのでは…、と私は考えている。その証拠として、『真・女神転生』の終盤では「皇居」*9が出てくるが、皇族の姿は無く、主人公の属性がニュートラルだと「将門」に会える場所に過ぎないから。もし天皇制が持続しているなら、ここに皇族が居そうなものだが…。
『真・女神転生II』のTOKYOミレニアムでは、天皇制はすでに遠い過去のものとなっていると考えられる。もしメシア教が「ヤタガラスの成れの果て」であるのなら、東京崩壊後も、さらにその先に造られるTOKYOミレニアムでも天皇制は存続しているはずだと思うが…。
また、『真・女神転生II』の中盤では、『古事記』に出てくる神・国津神たちと天津神たちはメシア教に嫌われていて、「邪神」として「地下世界」*10に追いやられていることが分かる。もしメシア教がヤタガラスなら、敵対する国津神はともかく、『古事記』では「天皇の祖先」とされている天津神まで地下に追放するはずが無いだろう。地下に封じられている天津神の中には、皇祖神とされる「アマテラス」*11も居るわけだし。
『真・女神転生』の世界において、メシア教がいったいいつから存在しているか、については不明なのだが、多分比較的新しい宗教なのかも知れない(ガイア教も)。多分、キリスト教から派生した新興宗教なのかも…、と思っている。なので、ヤタガラスがメシア教になることは無いと見ている。
伽耶に憑きし者の中身が、遠い未来のTOKYOミレニアムから来た「テンプルナイト」である、というのも否定したい。
先に「テンプルナイト」について説明すると、これは実在した「テンプル騎士団」が元ネタの戦士で、「メシア教のために戦うこと」を誇りとする。『真・女神転生』と『真・女神転生II』に登場し(敵としても出てくるが、仲魔にも出来る)、特に『真・女神転生II』ではエリート戦士として崇められているようだ。
伽耶に憑きし者は日本刀を持ち、ライドウと同じ動きをするが、テンプルナイトが日本刀をここまでうまく扱えるとは思えない。テンプルナイトの武器は西洋の剣と槍であるのだから、日本刀の訓練まで受けているとは到底考えられない(西洋の剣と日本刀は斬り方自体異なるし)。『真・女神転生』と『真・女神転生II』のテンプルナイトのグラフィックを見れば分かる。
伽耶に憑きし者が過去へ来たのは、「メシア教による支配を嫌い、メシア教のルーツであるヤタガラスを滅ぼすため」であると考えられるが、もしも本当にヤタガラスがメシア教であったとしても、そんなことを遠い未来のテンプルナイトが知っているとは到底思えない(そんな昔のことを「テンプルナイト」が学んでいるとも思えないし)。
本当に「メシア教を滅ぼしたい」と願うなら、むしろ『真・女神転生』の東京崩壊後へタイムスリップして、ガイア教が勝つか、どちらも負けるように歴史を改変した方が都合がいいはず…。
先ほど書いたように「伽耶に憑きし者は、TOKYOミレニアムに住む『ライドウの名を継いだデビルサマナー』である」というのも妙な話であり、私はこれを否定したい。
キリスト教似のメシア教が支配する世界で、「ライドウの名を襲名する『襲名の儀』」なんて、「天皇家の儀式」の名前みたいで古臭い儀式が続けられるとは、とても思えない。これが「伽耶に憑きし者はライドウの名を継いだ者では無い」と考える証拠である。
TOKYOミレニアムにはかつての日本的な要素(和の要素)はほとんど失われていて、キリスト教のような社会だし、ガイア教は異端として弾圧されているし、皇祖神とされるアマテラスなどの神道の神々も地下に封じられているのだから、天皇家の儀式のような名前の儀式も、歌舞伎のような儀式も続けられているわけが無いだろう。何でも受け入れるガイア教が支配している世界なら、あり得なくもないが。
さて、一通り「このゲームの未来が『真・女神転生』に繋がるはずが無い」という証拠を書いてみたが、ここでは私が独自に導き出した「本当の『超力兵団』の未来」を書いてみたい。
※これは私の独自論であり、公式とは一切関係無いことをお断りする
『超力兵団』の未来は『真・女神転生』に繋がることは無く、『デビルサマナー』の方に繋がるのだ。
さらに、伽耶に憑きし者の正体は「未来から来たライドウその人である」と解釈している。だからこそ同じ動きが出来る。これについては後述。
アカラナ回廊で見られる未来は、一部は本当であるが(1980年代まで)、1990年代以降の『真・女神転生』と繋がる部分は伽耶に憑きし者の作り話を映像化したものである。アカラナ回廊自体、伽耶に憑きし者が作った「偽物のタイムトンネル」だった。だからこそ、アカラナ回廊に居るメッセンジャー(これ自体が作り物)も彼女が創ったストーリー通りの話しかしないのだ。本当のタイムトンネルは別の場所にある。
ヤタガラスがメシア教に変わることは無い。伽耶に憑きし者が「お前の行動があの狂信的な集団を生み出す」と言っているのは「ヤタガラスは近い将来、もっと狂信的な集団になり、日中戦争とアジア・太平洋戦争を始めるのだ」という意味だと解釈している。
さらに、私が独自に考えた「ライドウの本当の姿」と、「ゴウトの正体」についても書いておこう。
※これはあくまで私の独自論であり、公式設定とは一切関係無いことをお断りする
「ライドウは、表向きは帝都と日本、そしてそこに住む人間たちの守護者のように見えるが、実は日本と帝都の破壊者。ヤタガラスの味方ではなく、味方のフリをして『ヤタガラスが自ら帝都と大日本帝国を滅ぼすように導くこと』を使命とする。そのためなら犠牲者が出ても構わないと考える存在である」
初代のライドウ(ゴウトの中身)は、ヤタガラスを内側から滅ぼすためにデビルサマナーとしてヤタガラスに仕えたが、ヤタガラスを滅ぼす作戦は上手く行かず、咎人として「ゴウト(業斗童子)」にされてしまう。それ以降ゴウトは、二代目以降のライドウに「わざとヤタガラスの仲間になり、ヤタガラスを存続させ、いつか自滅するように仕向ける」ように命じている。
そして十四代目であるライドウの時代になって、あと少しで「ヤタガラスが自滅する」までに追い詰めた。そう、ヤタガラスはいずれ「天皇の名の下に」アジア・太平洋戦争を引き起こし、その結果東京大空襲・原爆投下などを招き、自ら大日本帝国を崩壊させてしまうのだから。そしてその結果として、戦後はヤタガラスも「天皇が神ではなくなった時代には存在出来ない」ことになり*12、崩壊する。その未来を、ライドウは見抜く力を持っている。
ただ、日本に植民地支配されている韓国・台湾のことなどは気にも留めていないらしい。将来植民地にされるであろう中国などのことも見抜けなかった。
ライドウがあえて、ヤタガラスを滅ぼそうとする「宗像」も、「伽耶に憑きし者」も退けたのは、「ヤタガラスが自ら崩壊しなければ意味が無い」と考えているためである。
第拾壱話で、ゴウトは「二代目以降全てのライドウを見てきた俺だが…、お前が一番、見込みがあった」と言っているが、私は「十四代目のお前が、一番ヤタガラスを滅ぼせる見込みがあった」という意味だと解釈している。
なお、以前ライドウの上司である探偵の男「鳴海」の正体についての独自論も展開したが、ここで改めて鳴海の独自解釈を書いておこう。
鳴海はヤタガラスに協力しているように見えるが、実はヤタガラスを嫌っている。海軍を率いる天皇を守護するヤタガラスこそ戦争の元凶だと見抜いているため。ヤタガラスを監視するためにわざと仲間になっている。いつの日か、「ヤタガラスを滅亡させてくれる強い力を持つ者が現れる」ことを願っている。
そして、十四代目ライドウこそ、「ヤタガラスの味方のフリをしてヤタガラスを滅ぼす若者」だと気付き、喜んで探偵社に迎え入れた。だが、「ライドウはどのようにしてヤタガラスを滅ぼすつもりでいるのか」までは聞かなかった。その結果、鳴海自身も将来、東京大空襲に巻き込まれてしまうのかも知れない…。
ここでは「伽耶に憑きし者の正体」についての独自論を展開する。
※あくまでも私独自の解釈であり、公式設定とは一切関係無い。
伽耶に憑きし者の正体は、テンプルナイトでも、遠い未来にライドウの名を受け継いだ者でも無く、未来(戦後)から来た十四代目ライドウその人だった。テンプルナイトとか、ライドウの名を継いだとかはただの作り話である。あえて過去のライドウに「将来の自分」だと知られないようにしている。
将来のライドウは、過去の自分の行いを悔いている。ヤタガラスが自ら滅びるように導くという使命は果たしたものの、「天皇の名の下に」起こる日中戦争とアジア・太平洋戦争、さらに沖縄戦を止めることをしなかったために、アジア全土に甚大な被害をもたらしてしまったことを…。「戦争により犠牲になる弱い人間たち」の存在を全く考えずに戦ってきたことを、非常に後悔していた。
さらに、日本により植民地支配されたアジアの人々のことを何も考えていなかったのも悔いている。
そこで、過去の自分を倒し、ヤタガラスを滅ぼすために魂だけ過去までやって来て、伽耶に憑依した。ライドウは、実は魂のみ過去へも未来へも行ける能力があるが、1931年時点では使えない。将来使うことが出来るようになる。過去の自分を消せば、今の自分も消滅するであろうことは百も承知の上。
「アカラナ回廊」で見られる、「東京にICBMが落ちる」とか、「TOKYOミレニアム」とかは全て伽耶に憑きし者の作り話である。実はパラレルワールド*13では本当にそういう歴史は存在しているが、こちらの世界の未来には無い。伽耶に憑きし者は偶然にも、そのパラレルワールドの未来のことを垣間見てしまい、それを元に作ったストーリーなのかも知れないし、そのようなことが書かれた小説を読んで作ったのか、または伽耶に憑きし者の創作が実はパラレルワールドで実際に起こっていた、のどれかだろう。
『超力兵団』で聞ける話によると、伽耶に憑きし者の「預言」によって巨大ロボットのヤソマガツ・オオマガツは造られたらしいが、その技術をどこで知ったのだろうか。公式ではTOKYOミレニアムで知った技術だと思うが、私は伽耶に憑きし者が2100年代以降の日本に行って、そこで見た技術であると考えている。どう考えても、20XX年のTOKYOミレニアムに「戦艦に変形する巨大ロボット」を造れる技術があるとは思えない。だが、マンガ・アニメでお馴染みの『ドラえもん』(藤子・F・不二雄著)で描かれる未来*14の技術なら出来るかも知れない(『大長編ドラえもん のび太と鉄人兵団』などを読むとそう思える…)。
ここでは、私独自の『超力兵団』の未来年表(とりあえず2011年まで)を思い描いてみた。
※あくまでも私の独自論であり、公式設定とは一切関係無いことをお断りする。
もし『デビルサマナー』と『真・女神転生if…』と『ペルソナ』シリーズには繋がりがあるとすれば、199X年には「ある高校が魔界に飛ばされる」事件とか、「ペルソナ使いの高校生たちが町の異変に立ち向かう」出来事もあったのかも知れない。
伽耶に憑きし者の正体が未来のライドウその人だとすると、いったいいつの時代から来たのかは分からない。予測では、戦後しばらく経ってから…と思っている。
私の独自論は、「このゲームの設定にもシナリオにも矛盾点が多く、それを解消するため」に考え出したものである。
まず、「ヤタガラスが古来より日本を守護してきた」設定自体がおかしい。ヤタガラスは天皇を守護する組織である(第七話を見れば分かる)。ということは、「天皇の戦争」(「聖戦」)を支持する組織だから、この先起こる戦争を止めるどころか、積極的に加担することは間違いない。そのような組織が「日本を護る」なんてあり得ない。本当にヤタガラスが日本を守護する存在なら、アカラナ回廊で見られる未来には空襲や原爆の描写は無いはずだ。
そしてもう一つ、「ライドウは人を守ること使命とする」存在のようだが*15、それなのになぜ、将来日本に「戦争」という破壊をもたらして大勢の人々を殺すヤタガラスの配下であるのか? 本当に人を守るのならば、ヤタガラスを滅ぼして天皇制も終わらせ、戦争を未然に防ぐ方がいいはずなのに、なぜそれをしないのか?
そこで私は独自の解釈として、「ライドウこそ、ヤタガラスの味方のように見えて、実は帝都・大日本帝国・ヤタガラスを破滅へと導く存在だった」ということにしたのだ。この解釈であれば、将来破滅をもたらすヤタガラスをあえて存続させる理由になる。この解釈を思いついたのは、ライドウのモデルが『帝都物語』(荒俣宏著)の魔人・加藤であることとも関係している。加藤は東京を崩壊させようとする人物であるが(最後は将門まで復活させてしまうし…)、ライドウも「帝都を守護する存在」のように見せかけて、実は加藤と同じ性質なのではないか、と。
伽耶に憑きし者についても、テンプルナイトだとかライドウの名を継いだ者だとかいう設定自体に相当無理がある。なので、私はあえて「将来から来た十四代目ライドウその人であった」という解釈にして、テンプルナイトとかは作り話、とした。
アカラナ回廊の未来描写も矛盾が多く、それを解消するためには「アカラナ回廊自体、実は伽耶に憑きし者が作った偽のタイムトンネルだった」解釈とする必要があった。そうすれば、将来を初代『デビルサマナー』に繋げることが出来る。
何度も言うように、このゲームの未来は『デビルサマナー』でなければおかしいと思っている。『デビルサマナー』は『真・女神転生』のパラレルワールドだからだ。でもそうすると、『デビルサマナー』の世界でも「大正20年」というあり得ない元号が存在することになってしまうのだが…。まあ、『デビルサマナー』では過去の元号など出てこないので、そうであっても別に不思議じゃないとは思うけど。
さらに言うと、『デビルサマナー』の時代では「葛葉キョウジ」以外には「葛葉と名乗る者」は居ないようなのだが、これはどういうことだろう。
なお、『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式ふぁんぶっく』(以下「資料集」)によれば、「葛葉一族」というのは宗家と四つの分家があるとされる*16。キョウジは「葛葉ライドウ」の他に存在する三つの家系から分かれた分家と言われており、『超力兵団』の時代にも「葛葉キョウジ」は存在するらしい。
私の憶測だが、戦後に天皇崇拝は禁じられたため、ヤタガラスは滅び、「葛葉一族」(ライドウも含む)も解散。十四代目ライドウも引退したか、本名でフリーのデビルサマナーを続けたか…、のどちらかだろう、と考えている。だが「キョウジ」だけはその名前を捨てずに襲名を続けたため、「葛葉キョウジ」と名乗る者のみが1990年代に存在している…、ということではないかと。
制作者も、本来はこういう話にする予定は無かったのではないか、と考えている。最初から『真・女神転生』と『真・女神転生II』に繋げる予定なら、タイトルに「デビルサマナー」とは付けずに「真・女神転生」と付けているはずだ。
『メガテン』シリーズに詳しい制作者であれば、「このゲームの未来を『真・女神転生』に繋げようとすれば相当無理が生じる」ことも、「ヤタガラスがメシア教になるとはとても考えられない」ことも分かるはずなのに、なぜ矛盾が多い設定にしたのか…?
憶測では、「本来は終盤については別のシナリオを用意していたが、諸事情で没になったので、急遽このシナリオを作った」か、「終盤の展開を思いつかないまま開発して、開発後期になって急いで終盤の話を作ったのでこうなった」かのどちらかではないか、と。
鳴海が最後に「伽耶にとりついていたのは本当に未来人だったのか、伽耶がそう信じただけだったのか」みたいなことを言うのは、製作者も「この話は相当無理がある」と認めている証拠だと思っている。なので、私はこの鳴海の「全ては伽耶の妄想だった」説の一部を借りて、独自論を展開した、というわけ。
他にもう一つ、「アカラナ回廊の未来描写」について指摘したいのだが、1990年代以降は『真・女神転生』と『真・女神転生II』の描写しか無くなるため、史実では2001年に起きた「同時多発テロ」及びその後の「イラク戦争」の描写は出てこない。これを描きたくなかったために、『真・女神転生』と繋げた可能性も無くはないと思う。イラク戦争には自衛隊も関わったため、日本にも責任があると考えているが、それを言われたくないから入れなかったのでは…、とも思えるが…。
「資料集」には、「アカラナ回廊」について開発者からのコメントが載っているのだが、ラスボス直前エリアが妙に明るいのは「ライドウとプレイヤーの将来が明るいものであるように、との願いを込めた」というようなことが書いてある*17。これは、私に言わせてもらえば「よく言うよ…」である。ライドウの将来が明るいものであるはずは無い。この先、ヤタガラスと天皇の仕業で戦争が起こり、彼も戦場へ行かなければならないのだから…。なぜそのことには一言も触れないのだろうか。
ここまでの独自論を元に、私が見てみたかった『超力兵団』のエンディングを書いてみようと思う。この場合は、先ほどの「独自の年表」とは異なる未来になるだろう。
※公式のストーリーとは一切関係無いことをお断りする
アカラナ回廊の深部で、伽耶に憑きし者と再会するライドウ。
伽耶に憑きし者はこう語り掛ける。
「私の正体を教えてやる…。私は、未来から来たお前自身なのだ。お前の使命は、『ヤタガラスと日本と国民を守護すると見せかけて、いずれ戦争を引き起こすヤタガラスを存続させ、ヤタガラスと天皇制と大日本帝国を自滅させること』であろう。いずれ訪れる未来では、ヤタガラスは自ら『天皇の名の下に』起こした戦争によって滅び、大日本帝国も滅びて民主主義の国に生まれ変わったことは確かだ…。私がこの目で見てきたのだからな。
だが、かつての私は、戦争によって犠牲となる人々のことを全く考えていなかった…。終戦後、人の優しさに触れた私は、私の行動が間違っていたことに気付いた。ヤタガラスを存続させた結果、ヤタガラスが起こした戦争で多くの人々が死んでいった…。それは私が殺したようなものだ、という自責の念に囚われるようになった。さらに、日本の植民地支配により、アジア圏の人たちを苦しめ続けていたことも後になって知った…。そう、植民地支配もまた、天皇を守護するヤタガラスによる計画だった。私もそれに加担していたのだ。
私は歴史を変えるため、魂だけをこの娘の肉体に憑依させ、過去のお前を倒し、ヤタガラスを滅ぼして戦争を防ごうと考えたのだ。だが、お前が私と協力して、今すぐにヤタガラスを滅ぼしに行くと言うなら、お前と戦うことは止めようと思う…。さあ、どうする?」
ライドウは同意する。
「そうか、一緒に来てくれるのか!」
こうして、伽耶に憑きし者とライドウは協力し合い、ヤタガラスを滅ぼした。その結果、天皇制は廃止され、大日本帝国も崩壊し、軍隊を放棄した平和な「日本国」として生まれ変わった。大日本帝国によって植民地にされたアジア圏もようやく解放された。
全てが終わった後、伽耶に憑きし者は、去る前にこう言った。
「ありがとう、これで私も元の時代に戻れる…。お前の将来が良くなることを願っている。この娘の肉体は返してやろう。お前は日本では裏切り者として追われる身となったが、韓国へ行くがいい。そこでなら歓迎してくれるだろう」
ライドウは、本来の伽耶を家に帰すと、急いで韓国へ渡った。そこで、彼は人々から歓迎される。
「あなたが、我々を苦しめたヤタガラスと、天皇制国家である大日本帝国を崩壊させた日本人だと伺いました。私たちはあなたを歓迎いたします」
こうして、ライドウは「韓国を救った英雄」として語り継がれた。しかし彼のその後を知る者は居ない…。
余談であるが、正体はアンドロイドである「ダークサマナー・ラスプーチン」についてアカラナ回廊で言及がある。これによると、彼の正体は「未来から送られたタイムパトローラー」*18だったのかも知れない。だが、もしそうだとすれば、ラスプーチンが狙うのは過去を変えようとする「伽耶に憑きし者」の方だと思うが、なぜライドウと敵対するのか?
私の独自論を元にすると、ラスプーチンの本来の狙いは「過去に介入する伽耶に憑きし者を始末すること」であったが、途中から伽耶に憑きし者の正体が十四代目ライドウだと気付き、こちらを始末してしまおうとしたため…、と思えなくもない。
あと、このゲームの世界では「生身のラスプーチン」が存在したのかどうかが気になる。これは二通りの解釈が出来る。
では今回のまとめ。
今回は第拾弐話を元に、このゲームの矛盾点の解説と、私の独自解釈を書いてみた。
次回は、第拾弐話のその他の問題点について解説したいと思う。
では、また次回。
今回の参照ゲームソフト、参考文献など。前回までの文献リストも参照のこと。お勧めしないものには「※お勧めしません」と付けた。
※すでに絶版のものもあるので、ご了承ください。
【参照ゲームソフト】
【『超力兵団』及び続編の本】
【キリスト教関連】
【「テンプル騎士団」関連】
【三島由紀夫関連】
【日本刀】
【歴史・戦争】
【神道・国家神道】
【このゲームの元ネタと思われるもの】
【天皇・天皇家・天皇制】
【古事記】
*1:恐らくは初代の「ライドウ」
*2:恐らくゲームの発売当時、1992年頃?
*3:当時は「大東亜戦争」
*4:横浜あたりがモチーフ?
*5:『真・女神転生』の主人公のこと
*6:ここでは名前は伏せる
*7:カオス属性であり、主人公の属性がカオスかニュートラルなら仲魔にも出来る
*8:恐らく「ゴトウ」のこと
*9:なぜか海に沈んでいない
*10:実は『真・女神転生』の舞台だった場所。TOKYOミレニアムはその上に建っていたのだ
*11:『真・女神転生II』での種族は「女神」
*12:「国家神道」が解体されるのと同じような運命を辿る
*13:『真・女神転生』の世界
*14:ドラえもんが生まれた2112年以降
*15:『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式ふぁんぶっく』21ページ参照
*16:『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式ふぁんぶっく』202ページ参照
*17:『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式ふぁんぶっく』87ページ参照
*18:過去を変えようとする者を始末する存在
今日は星乃珈琲店に行った。紅茶。
パンケーキ。
newニンテンドー2DS LLでダウンロードしたゲームの話の続き。
今回は、バーチャルコンソールの『タクティクスオウガ』(当時はクエストだが現在はスクウェア・エニックスより配信。オリジナルはスーパーファミコン)と、『ロマンシング・サガ』(当時はスクウェアだが現在はスクウェア・エニックスより配信。オリジナルはスーパーファミコン。以下『ロマサガ』)をダウンロードした。
これで、9000円分買ったプリペイドカードもほとんど無くなってしまった。まあ、100円~200円の新作ミニゲーム(ダウンロード専用)みたいなのは買えなくも無いけど、いずれまた追加でカードを購入すると思う。しかし、今は9000円で10本もゲームが買えてしまうのだから、いい時代ではある。スーパーファミコンの頃は、一本買うだけでも10000円以上することもあったのだが…。
(※以下ネタバレあり)
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