ろーだいありー

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『シャイニングフォース・黒き竜の復活』の問題点・その6(最終回)

『シャイニングフォース・黒き竜の復活』の問題点とは? その6(最終回)

はじめに

※この記事は2020年7月23日に加筆・訂正・修正済み。

 

この記事は、セガより2004年に発売された、ゲームボーイアドバンスソフト『シャイニングフォース・黒き竜の復活』(ジャンルはシミュレーションRPG。以下『黒き竜』)の問題点を掘り下げていく連載企画の最終回。このゲームは『シャイニングフォース・神々の遺産』(セガのメガドライブソフト。以下『神々の遺産』)のリメイク版である。

 

今回は、これまでのおさらいをしつつ、『黒き竜』の問題点をすべて暴き出そうと思っている。

(※以下ネタバレも含まれるので注意)

 

前回までのおさらい

前回までに書いた問題点について、さらに追記してまとめておこう。

  • 主人公が喋るように変更されたせいで、プレイヤーが主人公像を創ることが出来ない。私の中では、主人公はあのような熱血タイプではない。主人公は記憶喪失なのだが、原作と異なり「記憶を取り戻すシーン」が追加されていたり、「記憶を取り戻した」と喋ったりするのも納得いかない(記憶を取り戻した否かは、プレイヤーが自由に想像出来た方がいい)。また「途中で主人公が喋れなくなってしまう」という展開が追加されていて、それ以降「リターン」*1が使えないのも酷い仕様である。さらに原作の『神々の遺産』では、「普段は喋らない主人公が、ラストだけ喋る(ファミコンの初代『ドラゴンクエスト』と似たような展開)」という仕掛けがあって驚くのだが、これが『黒き竜』では「ラストで突然声を取り戻した主人公が喋り出す」展開に変えられてしまい、サプライズも何もあったものではない。
  • 「エルフ族の女性アーチャー・ディアーネ」の性格とセリフが『神々の遺産』とはかなり異なる。「魔法生物・ドミンゴ」が「ドミンゴでちゅ」と喋らなくなってしまった。ドミンゴは「ぼくドミンゴでちゅ」、「ここの連中は知らないでちゅけど…」と喋るのがすごく面白いのに。
  • 『神々の遺産』よりもシミュレーションパートのテンポが良くない。
  • BGMの一部アレンジは不要(ちなみにBGMの音質もいまいち。一部の音が割れてしまっている)。
  • 新キャラ三人は不要だと思う。その三人のうち、「ルーンファウストの姫・ナーシャ」*2と、「謎のカード使い・キョウカQ」はゲームバランスブレイカーである(ナーシャの使う補助魔法はあまりにも強力だし、キョウカQの使う「カード」も強力すぎる)。もう一人の新キャラ「昆虫人間・ズイカ」は、『フェーダ エンブレム・オブ・ジャスティス』*3に登場する「昆虫人間・トビカゲ」にそっくりである。『フェーダ』ならいいが『シャイニング』にはそぐわない。ナーシャも『シャイニング』のキャラクターというよりは『ラングリッサー』*4シリーズの美少女キャラクターに近い。また『黒き竜』のみに存在するマップ「ナーシャ編」は、単に難しいだけではっきり言うと蛇足だと思う。

詳しくは以下のリンクも参照のこと。

『シャイニングフォース・黒き竜の復活』の問題点・その1 - ろーだいありー

『シャイニングフォース・黒き竜の復活』の問題点・その2 ※追記あり - ろーだいありー

『シャイニングフォース・黒き竜の復活』の問題点・その3 - ろーだいありー

『シャイニングフォース・黒き竜の復活』の問題点・その4 - ろーだいありー

『シャイニングフォース・黒き竜の復活』の問題点・その5 - ろーだいありー

 

では次からは、その他の問題点をほとんど余すところなく紹介していこう。

ノーバの「助言」の問題

『黒き竜』の「本陣」では、シャイニングフォース軍の軍師・ノーバの「助言」で戦闘アドバイスなどが聞けるのは原作『神々の遺産』と同じなのだが、この助言は『神々の遺産』と比べると相当問題がある。『神々の遺産』では一般的な戦闘アドバイスが多いが、『黒き竜』では盛大にネタバレしているケースが多すぎる。第二章では、まだボスの「ミシャエラドール」に会ったことも無いのに「次の戦闘ではミシャエラドールに注意すべし…」みたいなことを言ったりする。『神々の遺産』のファンならだいたい先の話は分かっているのでいいのだが、初見のプレイヤーは興ざめすると思う。
さらに、第三章の最後のバトルで撤退してから本陣に戻ってノーバの助言を聞くと、なぜか次の章で戦う「エリオット将軍」の話が出てくるのは明らかにミスではないだろうか。

チュートリアル的なセリフは邪魔だと思う

『黒き竜』のみ、戦闘開始前にノーバがチュートリアル的なことを長々と話す場合があるが(「編成」の話など)、これは鬱陶しいと思う。こういったチュートリアル的なものは、本編とは別に収録する方がいい。例えば本陣で確認出来るようにするとか。

章が始まる前の地図表示が鬱陶しい。それと第一章のタイトルが表示されるタイミングが…

『黒き竜』のみ、各章が始まる前に「世界地図」が表示されて、現在居る場所の地名も出てくるが、この地図がなかなか消えないし、Aボタンなどを押しても消せないのが鬱陶しい。また、第一章のみ『神々の遺産』と『黒き竜』では章のタイトルが出てくるタイミングが異なる。『神々の遺産』では本編が始まるとすぐに章タイトルが出るが、『黒き竜』では最初のイベントを見た後に表示される(地図もその後に出る)。余談だが、ゲーム開始時に発生する「主人公と師匠が剣の稽古をしているシーン」も、『神々の遺産』と『黒き竜』では異なる。『神々の遺産』の場合は、真っ暗な画面にセリフと効果音だけ出てくるが、『黒き竜』では戦闘場面を模したデモシーンが流れる。

「バリオス」のセリフと性格の変化

『黒き竜』では、「ディアーネ」の性格とセリフの変更、「ドミンゴ」のセリフの変更があることは以前に書いたが、序盤のみ出てくるノンプレイヤーキャラクター(以下NPC)「バリオス」*5も『神々の遺産』と『黒き竜』では若干性格とセリフが異なる。『神々の遺産』では「この辺で一休みしましょう」、「年のせいか疲れやすくなりました」といった喋り方だが、『黒き竜』では「この辺で一休みしよう」、「年のせいか疲れやすくなったよ」などとなっている。

最初の仲間が揃う場面の違い

第一章で、「ガーディアナ」の王様と話して頼みを聞き入れた後、最初の仲間が集うことになるが、この時の演出が『神々の遺産』と『黒き竜』では異なっている。『神々の遺産』では外に出ると「戦士・ラグ」(種族・ドワーフ)、「魔道士・タオ」(種族・エルフ)、「アーチャー・ハンス」(種族・エルフ)、「騎士・ケン」(種族・ケンタウロス)が追いかけてきて仲間になるが(その後ホビット族の「僧侶・ロウ」も加わる)、『黒き竜』では王様と話した後、外に出ようとすると「本陣」に行くことになり、その本陣内で仲間が加わる。その際、主人公が勝手に喋るのは鬱陶しい…。さらに仲間たちのセリフも若干違ったりする。

NPCのセリフが妙な方向に変化している…

『神々の遺産』のある町で子どもと話すと「ガーディアナは平和でいい町だって、父ちゃんがいつも言ってたよ」などと言うが、『黒き竜』では「死んだ父ちゃんがいつも言ってたよ」と、なぜかこの子どもの父親は死んだことにされている。また『神々の遺産』では、とある町の女性と話すと「ここを通すと私が折檻されるんです」みたいなことを言うが、『黒き竜』では「ここを通すと父さんが殺されてしまう」などと言っており、『神々の遺産』より物騒になっている。

お姫様が「わらわ」と言うのは…

ある国の姫(NPC)は、『神々の遺産』では自分のことを「あたし」と言うが、『黒き竜』では「わらわ」となっている。ファンタジー世界が舞台のこのゲームでは、「わらわ」というのはあまりそぐわない気もするが…(戦国時代の日本が舞台ならともかく…)。

芝居小屋のメッセージが…

ある町に「芝居小屋」があり、「主人公役の役者と敵役の役者が戦う芝居をする」のを見られる(話の内容は途中で変化する)。ここで『神々の遺産』のみ「〇〇の攻撃! メチャクチャすごいダメージを与えた!」といった戦闘メッセージを模したものが流れるが、『黒き竜』ではこのメッセージが無い。『神々の遺産』の芝居の方が面白いと思う。

「神隠し」という表現は、このゲームの宗教観にはそぐわないと思う

ある町で「行方不明の子どもを捜す」イベントがあるが、この子どもの祖父と話した時、『神々の遺産』では「うちの孫が行方知れずになっているのです」などと言うのだが、『黒き竜』では「うちの孫が神隠しに遭ったのです」などと変化している。「神隠し」という表現は、どうも「ファンタジー世界が舞台のこのゲーム」では違和感がある。日本が舞台のゲームなら違和感は無いのだろうが…。

なぜ違和感があるのかをもう少し説明する。『神々の遺産』及び『黒き竜』の世界で広く信じられている宗教*6は、「キリスト教」をモチーフとしたものである。教会や神父・シスターが出てくることを考えれば、まず間違いはないだろう。それ以外は「邪教」とされるのではないか(実際、後の『シャイニング』シリーズでは「邪神教」も出てくる)。キリスト教は「一神教」で、神は一人だけである。そういう世界で「神隠しに遭った」と表現する人はほとんど居ないような気がする。メガドライブ版のサブタイトルは『神々の遺産』なので、もしかすると「神が大勢居る」可能性はあるが(ギリシャ神話もそうだし…。確かにゲーム中に「ケルベロス」は出てくるが…)、少なくとも「『神々の遺産』及び『黒き竜』の世界に生きる、神々の遺産など知らない多くの一般人」にとっては、「神は一人しか居ない」のだろうと考えている。

日本の神道は「多神教」で、「あらゆるところに神が宿る」という考えであり、だからこそ日本では「神隠し」という表現が合うのだ(「行方知れずのあの人は、山の神によって隠されたのではないか?」、といった噂話など)。

ヒールレベル2の射程距離が広がっている

僧侶とモンクが使う回復魔法「ヒール」は、『神々の遺産』では「レベル1」だと隣接したユニットにしか届かないが、「レベル2」で射程距離が2となり、「レベル3」で射程距離が3まで広がる。ところが『黒き竜』では「レベル2」ですでに射程距離3となってしまった。これのせいでゲームの難度が下がっていると思う。ついでに言うと、「ヒールレベル3」を僧侶が習得するレベルが『神々の遺産』と『黒き竜』では異なる。『神々の遺産』の方が習得タイミングが早い(『黒き竜』では「ヒールレベル2」の射程距離が伸びたためであろう)。

回復アイテムを使った時の経験値が…

『神々の遺産』では、回復アイテムを使って経験値を得られるのは僧侶系のみであるが、『黒き竜』では誰でも経験値が入るため、レベルアップスピードが早くなってしまった。

「宝箱」を開けた時の演出と、バトルマップで宝箱を開けた後…

『神々の遺産』では、RPGパートで宝箱を開けるとファンファーレが鳴ってしばらく画面が停止するが、『黒き竜』では基本的に停止はしない。だが、重要アイテムを入手した時だけは『神々の遺産』と同じ演出である。それと、バトルマップでユニットが宝箱を開けた後は、『神々の遺産』ではその場で一ターン留まることになるが、『黒き竜』では宝箱を開けた後も動けるようになっているため、攻略難度が下がる場合もある。

戦闘開始前に主人公とユニットが喋る場合があるが…

『神々の遺産』でのバトル開始前は、たいていノーバだけが喋るが(マップにより敵が喋ることもある)、『黒き竜』ではノーバの他に主人公と、現在参戦しているユニットが喋ることがある。個人的には蛇足だと思うが。『黒き竜』では主人公一人だけで出陣することも可能だが、一人だけにするとノーバしか喋らない場合と、主人公も喋るケースがある。しかし一人しか居ないのに「みんな行くぞ!」と主人公が言ったり、敵のセリフとの整合性が取れていないケースもある。

バリュウとアダムの顔が変化しない

神竜の子どもである「バリュウ」と、ロボットの「アダム」は、『神々の遺産』では転職すると主人公と同様顔が変化するが、『黒き竜』ではこの仕掛けが無くなり、主人公しか変化しなくなった。特にバリュウの変貌ぶりは見ものなのに(大人の竜の顔になってしまう。ちょっと恐いけどカッコいい)、見られなくなったのはつまらない。

顔グラフィックはオリジナルの方が魅力がある

『黒き竜』では、キャラクターの顔グラフィックは全面的に描き直されているが、ほとんど別人にしか見えないキャラクターも居る(全体的に子どもっぽくなってしまった)。特に「騎士・アーサー」の顔は、『神々の遺産』の方が渋くてカッコいいと思う。『神々の遺産』のキャラクターデザインの方が私は好みだ(海外のアニメっぽいので)。

「ステータス」→「部隊表」。しかしこの仕様が不便…

『黒き竜』ではユニットのステータスリストが「部隊表」となっているが、『神々の遺産』では「ステータス」である。このゲームの雰囲気からすれば「ステータス」の方がいいと思うが。また、『黒き竜』ではユニットの並び順が『神々の遺産』とは変更されているのも不便である。『神々の遺産』では兵種ごとに並ぶが(意外と女性ユニットが上に来る場合が多いのが面白い。騎士はメイが一番上だし、鳥人はアモンの方がバルバロイより上、アーチャーはディアーネの方がハンスより上)、『黒き竜』では仲間にした順番に並んでいる。それと、『黒き竜』では本陣以外でも「部隊表」が確認出来るのはいいのだが*7、これを見ても「現在出撃中のユニットがどれか分からない」という問題がある。『神々の遺産』のステータスリストでは出撃ユニットの名前の前に「F」が付くので分かりやすかったのに。『黒き竜』で現在の出撃メンバーを知るには、本陣で「編成」画面を見なければいけなくなったのは不便。

「ベリアル」という敵の仕様が謎なのだが…

『神々の遺産』に出てくる「ベリアル」という敵ユニットは、よく「電撃魔法・スパーク」を使用してくる。しかし『黒き竜』のベリアルは、確かにステータスを見ると「スパーク」を持っているのだが、私が何度もプレイした限りでは一度もこれを使ってくるのを見たことが無い(「火炎魔法・ブレイズ」攻撃はしてくる)。もしかするとプログラム上のミスかも知れないが(「スパークを持ってはいるが使うようにプログラムされていない」とか…?)。

こちらの攻撃を避けまくる騎馬兵が居るのだが…

『黒き竜』のあるマップで、「ボウライダー」というケンタウロスタイプの敵ユニットが居るが、私がプレイした時はなぜか「ラグ」が攻撃してもほとんど避けられてしまう(「素早さ」は明らかにラグの方が高いのに…。『神々の遺産』ではそういうことは無かった)。仕方ないので騎士の「スピア」で遠隔攻撃をしたら命中したが、これは一種のバグのような気もする(本来は「騎馬ユニット」なのに、攻撃を避けやすい「飛行ユニット」にされている、とか…?)。

一部の誤字

『神々の遺産』の第三章で「一本橋」をクリアすると、ボスキャラクターが「レーザーアイ*8がやぶれるとは…」と言うのだが、『黒き竜』では「レーザーアイが破れるとは…」となっており、これは明らかに「敗れるとは…」の間違いである。「破れる」では「レーザーアイが破裂するとは…」という意味になってしまう*9。なお『神々の遺産』でも誤字があり、味方ユニットの「騎士・バンガード」を「バンガート」と呼ぶ人が居る。

一部地名などの変更。でも「アレフ」は…

『神々の遺産』では「ウランバートル」だった地名が、『黒き竜』だと「グランバートル」に変更されている。「ウランバートル」はモンゴルの首都名と同じだから良くないとでも思ったのだろうか。しかし終盤で仲間になる「魔道士・アレフ」の名前はそのままだったりする…。某宗教団体っぽいが、まずいとは思わなかったのか…。余談だが『真・女神転生2』(アトラス/スーパーファミコン他)の主人公のデフォルトネームも「アレフ」だったりする。ついでに書くと、『神々の遺産』では「ワイヴァーン」という敵ユニットが居るが、『黒き竜』では「ワイバーン」になっており*10、装備品「いだてんリング」が「いだてんのリング」に変わっている(「いだてん」といっても某大河ドラマとは関係ない…)。

敵の思考回路の変化

いろいろ試すと分かるが、『神々の遺産』の敵ユニットは「こちら側のユニットを極力減らそう」とはしてこない。主人公が真っ先に狙われ、僧侶と魔道士、アーチャーも狙われやすい(これは『黒き竜』も同様)。しかし、例えば攻撃範囲に騎士が何人か居る場合、その中でも「現存の体力が最も多いユニットが狙われやすく、瀕死のユニットはあまり狙ってこない」傾向がある。これはそのようにプログラムされているためだという。「こちら側のユニット数を減らすのではなく、なるべく多くのこちら側のユニットの体力を削る」ことが重要と考えているようだ。だが、『黒き竜』は明らかに「弱っているこちら側のユニットを殺しにかかって来る」傾向が強いのである。『黒き竜』で実際に試してみたが、敵を騎士四人で取り囲むと、確実に狙われるのは「いちばん体力が減っている者」である。敵のアルゴリズムは同じにして欲しかった。もう一つ書くと、『神々の遺産』と『黒き竜』では、同じマップでも敵ユニットの動きがかなり異なるマップは多い。

効果音がショボい…

全体的に『黒き竜』の効果音は「ショボい」としか言えない(特にマップ上のユニットが消えた時の音)。また『黒き竜』では、バトルマップでカーソルを動かす時の音が『魔界塔士Sa・Ga』(スクウェア[現スクウェア・エニックス]/ゲームボーイ)で宝箱を開けた時の音に似ている*11

BGMが途切れると最初からになる。それとラストバトルのBGMのこと

BGMが途切れるとまた最初から再生されるのは『神々の遺産』でも『黒き竜』でも変わらないのだが、どうせリメイクするなら「途中から再生」にしてもいいと思うのだが。『真・女神転生if…』(アトラス/スーパーファミコン)は「途切れても途中から再生される」仕様である。それから、ラストバトルのBGMは明らかに『神々の遺産』の方がいい。ほぼ同じ曲ではあるが、どうも『黒き竜』の方はいまいち(音色と音質が良くない)。

アイテムボックスの仕様

『黒き竜』では「アイテムボックス」という倉庫が導入されたこと自体はいいのだが(本陣では「貯金」が出来る「バンク」システムも導入されている)、これの仕様に多少問題がある。この中に入っているアイテムを直接捨てることが出来ず、誰かに持たせないと捨てられない。また、アイテムボックスに収納されたアイテムは名前のみの表示でアイコンが出てこないので(誰かに持たせないとアイコンが表示されない)、どのようなアイテムか分かりにくいこともある。特に『黒き竜』で追加された武器は、名前だけでは誰が持てる武器なのか分かりにくい場合が多い*12

武器と指輪はまとめて買えないなど、ショップの仕様の問題

『黒き竜』では消費アイテムをまとめ買い出来るようになったのはいいが、装備品の武器と指輪はまとめて買えないのが不便。また、装備品やアイテムを買う時に「それと同じアイテムを今現在、誰がいくつ持っているのか」、「その武器や指輪を、今現在装備しているユニットは何人居るのか」、「それと同じアイテムは今現在、いくつアイテムボックスに収めているのか」といった情報は表示されない(『神々の遺産』でも表示されないが、どうせリメイクするならこれらの情報も表示した方がいいと思うが)。アイテムボックスのアイテムを売る時、まとめ売り出来るのは同じ種類ものだけで、別のアイテムをまとめて売れない。もう一つショップについて書くと、「売る」のアイコンの位置が『黒き竜』と『神々の遺産』では異なっている。

「反撃」の問題

『黒き竜』では一部ユニット(敵味方問わず)が「反撃」する場合がある*13。同ジャンルの『ファイアーエムブレム』(任天堂/ファミコン他。以下『FE』)シリーズ、『タクティクスオウガ』(クエスト/スーパーファミコン他)などと異なり「必ず反撃する」のではなく、「時々反撃することがある」*14程度のもの。これにより、「後で別のユニットで倒そうと思っていた敵が、反撃により勝手に倒されていた」ということが起こりやすい。また、反撃可能なユニットばかり成長しやすい、反撃が恐くて攻撃出来ないユニットは成長しづらい、飛び道具を持つユニットの方が有利、といったバランスの悪さも出てくるため、バトルマップにおいては「反撃」はもっとも入れるべきではなかった要素だと思う。『FE』と『タクティクスオウガ』は「ほぼ必ず反撃する」*15ことを前提にゲームバランスを調整しているので、それでいいのだ。しかし『神々の遺産』はそもそも反撃が無いことを前提として作られたゲームなので、それとほぼ同じバトルマップで「反撃する場合がある」という要素を入れてしまうと、明らかにゲームバランスはおかしくなってしまう。それと「反撃しそうな敵(例・ドワーフ)が反撃せず、反撃しなさそうに見える敵(例・ジェット)が反撃する」など、敵の見た目とのバランスも取れていない。反撃を入れるなら、「装備すると反撃行動をしなくなる指輪」も追加するべきだ。

BGMの差し替え

『黒き竜』は、BGMが差し替えられたバトルマップが多い*16。特に『神々の遺産』では船のマップでしか使われていない曲(一周では二回しか聴く機会がない)が、あちこちで多用されているのは納得出来ない。そして『黒き竜』では、肝心の船の曲は「ごくありふれたフィールドマップ曲」に変更されてしまった。あの船の曲は、船でしか聴けないからいいのであって、他のマップで多用されるとイメージが変わってしまう。多くの『神々の遺産』プレイヤーにとってあの曲は「船の曲」なのだから、原作通りに使用すべきだ。

階段などが使用しづらい場合がある

『黒き竜』のRPGマップでは「主人公を半キャラ分ずらす」ことも出来るが、このせいで階段の昇り降りがしづらかったり、フィールドで「一マス分しかない町」にもうまく入れない場合がある。というのは、『黒き竜』では「主人公が半キャラ分触れただけでは階段や町が反応しない」ためである。『神々の遺産』では半キャラずらしは出来ないので、このようなことは起きない。

画面スクロールの多さ

『黒き竜』のバトルマップについてだが、ゲームボーイアドバンスは画面が横長で狭いため、少しユニットを動かしただけで頻繁に画面がスクロールする上、このスクロールがいまいち不自然なので目に負担がかかる。『神々の遺産』は画面が広いので、ここまで頻繁にスクロールすることは無い。また『黒き竜』の場合、マップの一番上にユニットを置くと、頭の一部が切れてしまい見えづらくなる。

本棚のメッセージが減ってしまった

『神々の遺産』のほとんどの本棚にはメッセージが仕込んであり、これを隅々まで調べるのが楽しいが、『黒き竜』では調べても何も出ない本棚が多くなった。面白い本のタイトルも減った。『神々の遺産』では「ビーメガ、メガファン」*17なんていうのもあった。さらに、「ドラゴニア」という地でも「古代の神竜が書いた本」が読めるのだが、『黒き竜』ではここの本棚を調べても「読めない字で書かれている」と出てくるだけで、読むことが出来なくなっている。『神々の遺産』のドラゴニアの本棚では「神竜が絶滅寸前になった理由」を読めたり、「神竜・バリュウの母」が書いた日記も読めて興味深いというのに、『黒き竜』ではその中身を見られないとは…。

アンリ・ザッパ・ディアーネの強制加入

『神々の遺産』では「ガーディアナの王女・アンリ」*18、「獣人の王・ザッパ」、「アーチャー・ディアーネ」を加入させるかは任意だったが、『黒き竜』では強制加入になってしまった。ディアーネについては以前も触れたが、もう少し詳しく説明すると、『神々の遺産』では「バストークの町」で話しかけると仲間になるが、別に仲間にしなくてもそのまま進めてしまう(仲間にしないまま進むと消滅してしまい、二度と仲間にならない)。しかし『黒き竜』では仲間にしておかないと進めず、さらに「ザッパ」を仲間にする時のイベントにも出てくるようになってしまった。その「ザッパ」も、『神々の遺産』では別に仲間にしなくてもいいのだが(彼を仲間にするのに必要なアイテムでさえ、入手は必須ではない!)、『黒き竜』では仲間にしないと進めなくなった。「アンリ」は、『神々の遺産』では第二章で行く「魔法の国マナリナ」という地で一度話しかけて、去っていったらもう一度話せば仲間になるが、仲間にしなくても進める。しかし『黒き竜』では、マナリナでアンリと会うイベントが発生すると、そのまま自動的に仲間になってしまう。その際、『神々の遺産』には存在しなかったイベントシーンが追加されている。

周回プレイの問題

『黒き竜』では周回プレイも出来るが、二週目以降は主人公の名前を変更出来なくなってしまう。さらに周回プレイそのものも問題がある。二週目以降は「キョウカQ」が初めから加わり、さらに「主人公のカード」が自動的に手に入るので、このカードの「ムーブ」で主人公を二回行動させると恐ろしいほど早くクリア出来たりする。もう一つの問題は、このゲームの周回プレイは「回を重ねるごとに敵の強さが少しずつ上がる」という、まるでシューティングゲームの周回プレイのようになっていること。これはシミュレーションRPGとしては相応しくない仕様である。シミュレーションRPGであれば「二週目はハードモードが選べる」というのが相応しい仕様であろう。

ダークドラゴンを倒した時にしか見られなかったシーンが…

『神々の遺産』のラストバトルで、主人公がラスボス・ダークドラゴンを倒した時だけ見られる特別なアニメーションがあり、これが見もの。これを自力で発生させてクリアした時の達成感はすごい。だが『黒き竜』では、これとよく似たアニメーションは「主人公がカオスブレイカー*19で敵(ザコ・ボス問わず)を倒した時にいくらでも発生する」ようになってしまい、まったくレアでなくなったのが非常に面白くない。これでは「ダークドラゴンを主人公で倒して特別なシーンが見たい」というモチベーションが無くなってしまう(このためラストバトルはどうも緊張感に欠ける)。このように変更されたのは「キョウカQがダークドラゴンを倒すと『ダークドラゴンのカード』を入手できる」ようになっているためとも考えられるが、そもそも本作は「主人公がダークドラゴンに立ち向かう」(詳しくは後述するが、主人公は「ダークドラゴン退治の使命」を持っている)のが目的のゲームなのだから、「ダークドラゴンのカード」もやはり「主人公が倒した時」に入手出来なければおかしいと思うのだが。

終盤のノーバのセリフ

終盤のマップ、対「コロッサス」戦の最初に、『神々の遺産』ではノーバがコロッサスを見て「ワワワ!」と驚くセリフがあって面白いのだが、『黒き竜』では無くなってしまった。また、『黒き竜』ではノーバが「コロッサスは三体居るが真ん中のもののみ倒せれば…」などと言うようになった。

余計なイベントの追加、イベントシーンの長時間化

第四章では「敵将・バルバザークの要塞」を攻略する話があるが、『神々の遺産』では要塞に行ける時期が来ればそのまま行ける。しかし『黒き竜』では「ブレイズボム」というアイテム*20をある人物から受け取っておかないと行けなくなった。さらに要塞突入の時のイベントが追加されていて、テンポが悪いと思う。他にも余計なイベントが多い。第七章で「古えの塔*21をクリアすると塔が崩壊する」、というのは『黒き竜』にしか存在しないが、なぜこのような余計なものを入れたのかが理解出来ない。また、『黒き竜』は全体的にイベントシーンが長くなっているのも鬱陶しい(重要な人物が死んでしまうシーンなど)。『神々の遺産』のイベントは全体的にはシンプルであるが、それくらいでちょうどいいと思う。「余計なシーンを追加しすぎたために、かえってダメになっている」のがこの『黒き竜』の特徴だと私は思っている。

一部の敵を倒すと聞こえる悲鳴、ザッパの遠吠えは不要

『黒き竜』では、一部の敵ユニットを倒すと悲鳴が上がることがあるが、これが非常に不気味*22で、『シャイニング』には相応しくない*23。さらに『黒き竜』のみ、先ほども紹介した味方ユニット「獣人・ザッパ」が攻撃する時には遠吠えが聞こえるが、これもうるさいので入れなくていいと思う。

ユニットが移動する時の音

『黒き竜』に限り、ユニットが動くときにはそれぞれの兵種に合わせた効果音が鳴るが(ゲームボーイアドバンスの『FE』シリーズに倣ったものか? 『神々の遺産』ではどのユニットでも移動音は同じ)、一部ユニット*24はその音がうるさいと思う。さらに言うと、「魔法生物・ドミンゴ」は宙に浮いているユニットなのに、移動音はなぜか「徒歩ユニット」と同じなのはおかしいのでは…?

ナーシャ編でのみ登場する新たな敵ユニットは『メガテン』の悪魔のように見える…

『黒き竜』で追加された「ナーシャ編」にのみ登場する敵ユニット「ソウルイーター」というのは、非常に不気味で気持ちが悪いデザインであり、『シャイニング』にはそぐわないと思う。むしろ『女神転生』(アトラス/ファミコン他。以下『メガテン』)シリーズに居るような敵である。私が見るに、その『メガテン』シリーズ中でも特に異色中の異色作『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(アトラス/プレイステーション2。以下『超力兵団』)に登場する悪魔に近いと思う…。例えば「ヒルコ」、「シキミの影」、「赤マント」、「レギオン」といった者たちに(特に「レギオン」に近いか…)。なお、非常にどうでもいいことだがナーシャは『超力兵団』の主人公・葛葉ライドウと少し似ている(もみあげのあたりとか黒いマントとか…)と思うが、気のせいだろうか…。

敵の思考時間の長さ

『黒き竜』は、『神々の遺産』より敵の思考時間が長いことがあるのは以前も触れたが、実際に両作を比較して検証したので、もう少し具体的に説明する。『神々の遺産』では長くとも三秒以内*25で終わるのに、『黒き竜』では場合によっては五~六秒もかかるケースがあったりする(特に「対エリオット将軍」戦に出てくる「リザードマン」などが顕著)。そう考えると、『神々の遺産』の思考時間の速さは驚異的である(メガドラの方がゲームボーイアドバンスよりずっと前の機種だというのに…)。

アーネスト救出イベントが一つしか無くなっている…

第四章で敵の要塞に突入し、敵将・バルバザークを倒そうとしている「騎士・アーネスト」を救うイベントは、『神々の遺産』では二つ存在しており、バトルマップのクリア条件で異なる。いずれにせよアーネストを仲間にしないとそれ以上は進まないのだが、一周では一つしか見られないので両方見たくなる。特にモンスターの「ケルベロス」を自力で倒してしまうアーネストはなかなか見ものである(別の展開ではすでにケルベロスを倒した後だったりする)。余談だけど、要塞突破後に「バルバザークは『アーネストをケルベロスの餌にしてやる!』と言っていたのです」みたいなことが聞けるが、何とも酷い話だ…。餌にならなくて良かったね…。
しかし『黒き竜』はなぜかイベントが一つしか無くなってしまった。「ケルベロスと戦うアーネスト」の姿は見ることが出来ない。こういうところは原作通りに再現するべきだ。これでは手抜きとしか思えない。

一部イベントの自動化・半自動化・手動化

『黒き竜』では、後半の「カオスブレイカー入手イベント」は半自動化されているが(重要な武器「光の剣」などを「持ち物使う」コマンドで「使う」必要が無くなっている)、逆に「古えの塔」*26をクリアし「魔道士・アレフ」と「僧侶・トーラス」を仲間にした後、最上部に行くところは手動になっている*27など、どうも「イベントの自動化」のバランスが取れていないと思う。他には序盤でガーディアナ王と話すイベントもそうで、『神々の遺産』ではほぼ自動で進むのに、『黒き竜』では自分で周りの側近と話さなければ進まなくなっている。

どうせなら世界中を回れるようにしてもいいと思うが…

『神々の遺産』でも『黒き竜』でも、章が進むと前に訪れた町には戻れなくなってしまうが、どうせリメイクするなら「後半には、船や飛行船・飛空艇(『ファイナルファンタジー』?)で世界中を回れる」ようにしてもいいと思うのだが、なぜそうしなかったのだろうか。

選択肢が減っている

『神々の遺産』では、重要なイベントでも、他愛ないイベントでも選択肢が出てくることが多く、いろいろ反応を見るのが楽しいが、『黒き竜』では全体的に選択肢が少ない。主人公が勝手に喋ってイベントを進めてしまう場合が多くなったためであろう。『神々の遺産』では、後半の「プロンプト」*28の城で王様と話すと、「お前はスパイなのだろう?」といったことを問われ、「はい」と答えても「いいえ」と答えても一時的に囚われてしまうが、「はい」と「いいえ」で違った反応を見るのが面白かった(普通は「いいえ」と答えるだろうが、「はい」と答えてみた時の反応もなかなか面白い)。しかし、『黒き竜』ではこの選択肢は無くなっている。他に、『神々の遺産』のバストークの町では「私もシャイニングフォース軍に入れてくれませんか?」などと言ってくるNPCが居て、「はい」でも「いいえ」でも仲間にはならないが、これが結構面白い(『黒き竜』ではこの人物のセリフは差し替えられていた)。

魔道士・オトラントが一回しか出てこない。それとマナリナのミニイベントで…

『神々の遺産』第二章の「マナリナ」で出会う「偉い魔道士・オトラント」は、後半に再登場する。しかし『黒き竜』では、第二章で会うのは同じだが、後半では登場しなくなっている(イベントが一部変更されたため)。余談だが、オトラントは『神々の遺産』では自分のことを「わし」と言い、『黒き竜』では「私」と言っている。恐らく『神々の遺産』のオトラントは男だと思われるのだが、どうも『黒き竜』の方は男性なのか女性なのかはっきりしない。もう一つマナリナ絡みのことを書くと、『神々の遺産』では「実験バーサンにニワトリにされてしまう」というミニイベントがあり(見なくても進めるが、見ておくと面白い)、この状態で人と話すと「餌が欲しいのかい?」、「なんでこんなところにニワトリが居るんだ!」と言われたりする(ある人物と話せば元に戻れる)。しかし『黒き竜』で同じイベントを発生させても、ほとんどの人とは話せなくなっている(一部人物を除く)。また、ここで登場する「人間嫌いで動物好きの兵士」のセリフも若干異なる。特にニワトリから元に戻った後に話しかけた時のセリフなのだが、『神々の遺産』では「えっ、あのニワトリはあんただったのか…、うまく変装したものだな」などと言われるが、『黒き竜』では「ニワトリ、可愛かったなぁ」などと呟いていたりする。どちらかというと『神々の遺産』の方が楽しい。

一部の敵が差し替えになっている

『黒き竜』では一部のマップで、敵ユニットの差し替えがある。先ほど紹介した「バルバザーク」戦では、『神々の遺産』では「パペット」が居たところに「ブルードラゴン」が居たり、後半のマップで「ブローバー」が居たところに「キメラ」が居たりする。

魔法が効かない敵が居るのは納得出来ない…

『黒き竜』では敵ユニット「ジェット」に魔法が効かないのは納得いかない。見た目からすれば「スパーク」が有効そうに見えるのだが。魔法が効かない*29、または効きにくい敵が登場したことで、『神々の遺産』とは戦略の変更を余儀なくされるケースは多い。『黒き竜』では「魔法抵抗」パラメータが追加されたので*30、こちらのユニットも魔法が効きにくい者が居るわけだが、どちらかというと「魔法抵抗」パラメータは敵の方に有利になっている気がする。最近『神々の遺産』と『黒き竜』を比較してみたが、「魔道士・タオ」は『神々の遺産』ではちゃんと育てれば終盤まで大活躍するユニットだが、『黒き竜』の場合、初期は活躍するが(火炎魔法に弱い「ゾンビ」や「グール」が出てくるマップでは特に)、中盤以降は「ブレイズ」(タオが得意とする)が効かない敵が増えるため、あまり活躍出来なくなってしまう。

一部ユニットの成長率が変わった

『神々の遺産』と『黒き竜』では、同じユニットでも成長率がかなり異なる者も居る。先ほど紹介した「タオ」は顕著で、『神々の遺産』では転職後すぐに「敏捷さ」が異常に伸びるが、『黒き竜』では「素早さ」*31の伸びはいまいち。ユニット成長率は原作通りにして欲しかった。

ムサシとハンゾウの加入時期が早まっている。また転職が出来るようになったが…

「侍・ムサシ」(宮本武蔵がモデル)と「忍び・ハンゾウ」(服部半蔵がモデル)は、『神々の遺産』では第七章と第八章のどこかで見つけると仲間に出来る隠しユニットである。『黒き竜』でも隠しユニットだが、二人とも仲間に出来る章・場所が異なり、『神々の遺産』より加入時期が早い*32。それ故、初期は『神々の遺産』より弱体化している。二人とも『神々の遺産』と異なり、転職可能になったが、転職すると二人とも別人にしか見えない。

メガドラ版の「クールさ」は微塵も感じない

『神々の遺産』のどこが良いか。それは全体的に「クール」であることに尽きるのかも知れない。メガドラらしい「良い意味でバタ臭いグラフィック」や、キャラクター造形、細かいセリフ・メッセージのセンス、垢抜けない感じ(むしろそこが良いのだ!)なども含めて。しかし『黒き竜』は全体的に「子どもっぽい」雰囲気に変わってしまったため(「マップ上のユニット及びNPCなどの頭身が、約三頭身から約二頭身に変わってしまった」ことも原因だと思う)、オリジナル版の「クールさ」は微塵も感じられない。そこがかなりの難点である。ゲームボーイアドバンスの主なユーザー層(低年齢層)に合わせたのかも知れないが、そのわりには子ども向けとも思えない、妙にグロテスクな話も追加されていると思うが…(これは後述する)。

セリフ・メッセージのセンスの問題

全体的に、セリフやメッセージが面白いのは『神々の遺産』の方で、『黒き竜』ではカットされたり変更されている場合がかなりある。『黒き竜』では新規に「面白いセリフ・メッセージ」を入れたつもりなのだろうが、どうもセンスが良くない。「パオ」で仲間になるユニット「コーキチ」*33が「シャイニングホース」と言うのはさすがにやりすぎだと思う(ファンが言うのならいいが、公式のゲームに入れるべきではないと考えている)。他に、第二章のアルタローンで「僧侶・チップ」が仲間になった後に市街戦が発生し、これが終わった後「主人公とチップとロウの会話」が見られるのは『黒き竜』のみなのだが、これも何というか笑えない…(「好色な僧侶・ロウ」というのを強調したかったのかも知れないが…)。また、章の終わりに出てくる「次回予告風のナレーション」は、絶対に『神々の遺産』の方が楽しい。例えば「古えの城には何があるというのか」、「戦いの結末はどうなったのか!」など、やたらと煽りまくるのが面白くて、「次の章が楽しみだ!」と思わせてくれる。セリフ・メッセージ・ナレーションのセンスの良さは『神々の遺産』のみの要素だと私は思う。

オリジナルでは中盤以降でしか出てこない地名などが…

『神々の遺産』では、後半に訪れることになる場所「メタファー」、「プロンプト」、「ドラゴニア」についての情報は中盤あたりで初めて出てくるのだが、『黒き竜』ではシナリオ初期にすでに出ていたりする。全体的に『黒き竜』では、このように「シナリオのネタバレ度」が高い気がする。重要な悪役キャラクターの名前が出てくるタイミングも『黒き竜』の方が早かったり、重要な武器「暗黒の剣」と「光の剣」のことがセリフに出てくるのも『黒き竜』の方が早い。『神々の遺産』の方が、少しずつ謎が明らかになっていく過程が楽しいと思う。

ユニットの向きが下向きにならないのは問題がある

『神々の遺産』のバトルマップでは、敵・味方問わず一度動かして行動を終えたユニットの向きは自動的に下向きになるが、『黒き竜』では行動を終えた時の向きのままとなっている。マップによっては、最初から味方ユニットと敵ユニットの向きが正面以外の場合がある。名作『タクティクスオウガ』のように「相手の向きにより攻撃の命中率が変わる」ということは無いのだから、このような要素は不要だろう。横向き、後ろ向きのままだと、ユニットの見た目にもよるが「どれがどのユニットか分かりづらいことがある」のも難点。特に敵の魔道士の後姿は、ぱっと見では「魔道士」と認識しづらい。アーマーウロス、ケルベロス、ヘルハウンドもそう。

ユニットが重なるので見づらい

『黒き竜』のバトルマップでは、「上下にぴったり並んだユニットは半分重なって表示される」ので、どうも見づらい(『神々の遺産』では重なることは無い)。さらにこのせいなのか、「味方を移動させて敵に近づき、遠隔攻撃しようと思ったのだが、よく見ると実は飛距離が足りていない」場合も多い。特に敵・味方が混戦状態の時に起こりやすい。

新キャラが出しゃばりすぎる。旧ユニットが喋りすぎてイメージが変わる

これは以前も少し触れたが、改めて書くと、『黒き竜』では新キャラクター三名のうち「ルーンファウストの姫・ナーシャ」が、やたらとイベントシーンに出てくるのは正直言うと鬱陶しい。このせいで、イベントの印象が変わってしまう。そもそもナーシャは『シャイニング』シリーズにはそぐわないキャラクター造形としか思えないので、余計そう思うのだが。また『黒き竜』では、『神々の遺産』から登場している味方ユニットも喋る機会が増えたが*34「私の中ではこんなキャラクターではない」と思うことも多い。別にそんなに喋らなくても、終盤でたくましく育った姿を見るだけでも満足なのに。ちなみに『神々の遺産』と『黒き竜』で、私が特にお気に入りの味方ユニットは「アーチャー・ハンス」である。このユニットは大器晩成型なので育てるのは苦労するが、うまく育てると終盤は鬼のように強くなったりする。

タオの姉妹が存在しないことにされている…

先ほども出てきたタオは、実はディアーネの妹で、さらに『シャイニング・フォース外伝 遠征・邪神の国へ』(ゲームギアソフト。以下『外伝』)にはタオの妹が出てくるそうだ(つまり三姉妹ということ)。これは『神々の遺産』では語られておらず、『外伝』で追加された設定なのかも知れない*35。しかし『黒き竜』では、タオの本陣での話を全て聞いてみると分かるが、その設定は無視されている(『黒き竜』のディアーネも家族については何も語っていない)。『黒き竜』でのタオの話を要約すると、「かつて両親と三人で暮らしていたが、両親は魔物に殺されてしまい、親せきに引き取られたが居心地が悪くなったために出ていき、王女・アンリの侍女になった」ということだ。つまり姉妹など存在しないことになっている。これは問題だと思う。やはり他のシリーズで語られる設定は取り入れるべきであろう。このように「他の『シャイニング』シリーズを無視している」点は他にもあるが、これについては後述。

非常に「ヌルゲー化」しているという問題

全体的に、『黒き竜』は様々な理由でいわゆる「ヌルゲー」化しており、緊張感が減っている。ボスユニットの弱体化、味方ユニットの強化など様々な理由がある。『神々の遺産』もそれほどゲームバランスは良いとは言えないのだが(終盤は結構ゲームバランスがキツい)、それにしても『黒き竜』はヌルすぎると思っている。しかし一部マップのみ妙に難度が上がっているところもあったりする。第三章の「採石場」、「一本橋」あたりがそう。「一本橋」に居る、先ほど紹介した「誤字」に出てくる兵器「レーザーアイ」のダメージ量が、『黒き竜』の方がわずかに高くなっている、などが原因。また、それなら「ヌルゲーなりにバランスが取れているのか?」、と問われると、決してそんなことはなく、「経験値のインフレが起きやすい」(ユニットが強くなりすぎてしまう)など、明らかにバランスが悪い。

即死効果のある武器の問題

武器の一種「ロビンの矢」(射程範囲が通常の弓より広い)に、「まれに敵を即死」という効果があるのは『黒き竜』のみであろう*36。このロビンの矢を使ってくる敵「ハンターエルフ」が、『黒き竜』のみ「採石場」や「一本橋」などに出現するようになっていて(『神々の遺産』のハンターエルフは「ロビンの矢」を使うことは無い)、こちらのユニットが即死させられる場合がある。しかもこれを防ぐアイテムが無いのはバランスが悪い。ちなみに、ロビンの矢は『神々の遺産』では下級の「アーチャー」でも上級の「ボウマスター」でも装備出来るのに、『黒き竜』では下級のアーチャーは装備不可になってしまった*37。そのことについて、アイテム解説欄に解説が無いのも問題。

章のタイトルの変更

『神々の遺産』も『黒き竜』も全八章仕立てなのは一緒だが、『黒き竜』では章のタイトルは変更されているものが多い。『黒き竜』は『神々の遺産』と比べて全体的にシンプルなタイトルになってしまったが、『神々の遺産』の章タイトルのままにして欲しかった。

魔法効果のある武器・指輪の仕様変更

『神々の遺産』と『黒き竜』では、「使うと魔法効果のある武器と指輪」*38があるが、『神々の遺産』ではそれらは「装備出来る者のみが使える*39」のである(たいていの物は何度も使うと壊れて無くなってしまうが、完全に壊れる前なら店で修理することも出来る)。しかし『黒き竜』では誰でも使えてしまうので、ゲームバランスを崩壊させる可能性がある(特に「何度使っても壊れない武器」を使うと…)。これはおそらく「敵の反撃が恐くて攻撃しづらいユニットに使わせる」ことを前提とした変更と思われる。なお、『神々の遺産』で「装備出来る者のみ使用可」としているのは『ドラゴンクエスト3』(エニックス[現・スクウェア・エニックス]/ファミコン他。以下『ドラクエ3』)の影響であろうか*40。こちらでも「魔法効果のある武器などは、装備可能な者しか使用出来ない」ことになっているようだ。

呪いのアイテムが売れないとは…

『神々の遺産』と『黒き竜』には、「呪いのかかった武器と指輪」がいくつか存在しており、『神々の遺産』では普通にショップで売れるが(ショップのコマンド「掘り出し物」で買い戻すことも可能)、『黒き竜』の場合、売ろうとしても「呪われた物は引き取れない」などと言われて引き取ってくれない場合が多いのは納得いかない。捨てることは可能で、この場合も「掘り出し物」で買い戻せる。「呪われてて引き取れない」と言っておきながら店に並べているのは矛盾していると思う。

転職後の姿が大幅に違うユニットが居る

『神々の遺産』と『黒き竜』では、「転職」したユニットの見た目が大幅に違うケースがある。特に「モンク・ゴング」はそうで、私は『神々の遺産』の転職後のゴングの方がカッコいいと思っている。

メイの母親の名前って…。ケンの父親の名前も出てくるが…

『黒き竜』の本陣でのみ聞ける「騎士・メイ」*41のセリフで、「母親の名前はアリサ」といったものがあるが、「アリサ」というと初代『ファンタシースター』(セガ/セガ・マークIII他)の主人公のようだが…。多分元々の『神々の遺産』ではこんな設定は無いと思う。ちなみに「騎士・ケン」の父親は「トムズ」というらしいが(『黒き竜』でしか聞けない)、果たして『神々の遺産』からある設定なのかどうかは不明。

同機種の『ファイアーエムブレム』シリーズと比較して不便だと思う点

『黒き竜』は、同じゲームボーイアドバンスで発売された『FE』シリーズ(三作品)と比較すると、明らかに『FE』の方が快適である。『FE』と比べて不便な点をいくつか取り上げる。

  • 画面が狭くて見づらい
  • ユニットの初期配置が変更出来ない(これは『神々の遺産』でも同じ。なお、『神々の遺産』と『黒き竜』で、同じマップで全く同じメンバーを出撃させてみても、初期配置が同じにならない場合は多い)
  • 戦闘シーンカットが出来ない(『神々の遺産』でも戦闘シーンカットは出来ないが、リメイクするならやはり戦闘シーンカット機能は付けるべきだろう)
  • イベントシーンのスキップが出来ない(これもやはり入れて欲しかった)
  • 章の最初からやり直す機能が無い
  • 敵の思考時間が長いことも多くてイライラする(『FE』の思考時間は驚くほど短い上、Aボタンを押しっぱなしにしておくと倍速になる)

バトルマップのステータス表示が消せない。ユニットが隠れて見えにくくなる

バトルマップでは、右上にそのユニットのステータス画面が出ているが(状況により右下に移動するのは『黒き竜』のみ)、『黒き竜』ではこの表示にユニットが隠れて見えないケースがある。『神々の遺産』でもそういうことはあるが、『神々の遺産』のみ「スタートボタンを押している間は表示を消せる」機能があるのでそれほど問題にはならない。しかし『黒き竜』では消せないので問題である。

バトルマップの一部変更

『黒き竜』では『神々の遺産』と比べると、一部のバトルマップの細部が変わっていたり、ほぼ全面的に変わっていたりする。そのため『神々の遺産』と同じ戦法が使えないケースは多い*42。特に船のマップは、『神々の遺産』は縦長なのに『黒き竜』では横長なのは納得出来ない。

戦闘シーンが狭く感じる

『黒き竜』の戦闘シーンは、ゲームボーイアドバンスの画面が横長なこともあって、『神々の遺産』よりも狭く感じられる。横長なら味方ユニットのサイズはもう少し小さめにしてもいいと思うのだが。また、右上に表示されるパラメータ表示が、味方ユニットグラフィックの一部(頭部)を隠してしまう場合もある。

一部マップの建造物にユニットが隠れる

『黒き竜』のみ追加された「ナーシャ編」のバトルマップの一部で、ある建造物の影にユニットが隠れてしまい、見えにくいことがある。

シェード教会のイベント変更

第二章の「シェード教会」のイベントについて。『神々の遺産』では「住人が主人公を追いかけてきて、外に出られなくなってしまう」(住人かと思ったら実はゾンビだったのだ…! アトラスの『真・女神転生』にも似たような話がある)という演出があるが、『黒き竜』ではこの演出は無くなってしまった。また、『神々の遺産』ではシェード教会でのバトル終了後に、もう一度「鐘撞堂に居る男」と話せるのだが、『黒き竜』ではバトルが終わった後、味方になる「鳥人・バルバロイとアモン夫妻」との会話が終わるとそのまま第二章が終わってしまうため、話すことが出来ない。墓を調べた時の「墓が荒らされている…、つい最近掘り返されたようだ…」というメッセージも消滅している。
『神々の遺産』のシェード教会の「ホラーっぽさ」は、『黒き竜』ではだいぶ失われている。『神々の遺産』ではシェード教会のイベントは何度やっても背筋が凍るような恐ろしさがあって、恐いけれどもそこが面白いのに…(ゾンビ映画のようだ)。鐘撞男ともう一度話した時のセリフも興味深いのに、『黒き竜』では見られないのもつまらない。

プロンプトで一部のセリフが変わらないのはバグか?

プロンプトの住人たちは「~ズラ」という語尾を付けて話す者が多い(古代人の末裔であると悟られないように、わざと無知なフリをしているのだ)。その後のイベントを経ると、普通の喋り方になるのだが、『黒き竜』のみごく一部の住人のセリフが「~ズラ」のままになっている者が居る。恐らく一種のバグだろう。

面白い貼り紙が少なくなっている。あと看板のメッセージが…

『神々の遺産』では、町中にある貼り紙を調べると面白いメッセージが出ることも多いが(「ニワトリの餌を食べないこと!」、「酒の飲みすぎに注意! 水に落ちる者続出!」とか…)、『黒き竜』では貼り紙が消えているケースが多い。もう一つ似たことを書くと、『神々の遺産』では「アルタローンの町」にある看板を調べると「この土地はわしのもんじゃ! 勝手に入るな!」とあって面白いのだが、『黒き竜』では「私有地につき立ち入り禁止」と、ごくありふれたメッセージになってしまっていて、つまらない。

ダッシュしていると処理落ちすることがある

『黒き竜』ではBボタンダッシュも出来るが(RPGパートにおいて)、時々ダッシュ中に処理落ちして動きが遅くなることがある。また、ショップ店員の顔グラフィックが出るのが遅いこともある*43

マルチエンディングだが…、そんなものが必要とは思えない

『黒き竜』はマルチエンディングになったが、単に「ラストで主人公の名前を呼ぶユニットが変わる」程度のもの。『神々の遺産』では先ほども出てきた「メイ」が喋っていたのを、他のユニットにすることが出来るわけだが、誰が喋っても結局は大して変わりはない。メイが喋るようにしたとしても、『神々の遺産』とはセリフが違う(せめてメイが喋った時だけは、原作通りにして欲しかった)。こんなところに凝るよりは、もっとゲームそのものを『神々の遺産』の方に近づけるべきだったと思う。私はやはり『神々の遺産』のラストで、メイが名前を呼んでくれるシーンが好きだ。

カードコンプリートの特典が、あれだ…。それと着せ替えアイテムについて…

『黒き竜』の新システム「カード」*44は、以前も書いたようにこれを使うとゲームバランスが崩壊してしまうのだが、もう一つの問題は「コンプリートした時の特典」である。以前はこれに関しては詳しく説明していなかったので、今回改めて書いておこう。コンプリートした時の特典とは「すごい水着」*45なのだ。このような、いわば「セクハラ」と言われかねないものをカードコンプリートの特典とするのは良くないと思う。『神々の遺産』の「すごい水着」は、タオのみが装備でき、マップ上のグラフィックのみが変化するのだが(戦闘シーンまでは変わらない)、『黒き竜』ではタオとナーシャが着れるようになっており、しかも戦闘シーンまで変わってしまう。他に、『神々の遺産』でも存在する隠し着せ替えアイテム「きつい服」*46にしても、『黒き竜』ではやはり戦闘シーンが変わるし(しかも戦闘シーンではいわゆる「ジュリアナ扇子」まで持っているのは時代に合わないと思うが…。原作が発売された頃ならいいとして…)、さらに新着せ替えアイテムとして「メイド服」(「チップ」のみ着せ替え可能)なるものまで出てくる始末…。こういった「オタクっぽいノリ」はどうも好きになれないし、『シャイニング』にはそぐわない。

本陣での会話の変化と、本陣の仕様変更についての問題

『神々の遺産』の本陣では、編成などが行える他、ユニットとの会話も楽しめる(一軍・二軍で会話は違う他、船の本陣では専用の会話が聞ける)。また、「現在出撃中のユニットはレッドカーペット上に表示される」ので分かりやすいし*47、「現在死んでいるユニットは霊魂になっている」という演出もある。しかし『黒き竜』の本陣は、編成などが出来るのは変わらないが、ユニットがあちこちをうろついているため、レッドカーペットの意味が無くなっている(意味が無いなら初めからレッドカーペットは敷かなくていいのに…。さらに戦闘不能状態になったユニットが霊魂になる描写もない)。『黒き竜』では本陣での会話が増えたのだが、明らかに元のキャラクターイメージにそぐわないものも多い。さらに船専用会話も聞けなくなった。個人的には『神々の遺産』の本陣での会話の方が、数は少なくても面白かったが。「ドワーフの戦士・ゴート」が二軍の時は「刺身を食わんか?」などと言うのが特に面白かった(『黒き竜』では聞くことが出来ない)。

バトルマップで回復した時の回復量が分かりにくい

バトルマップで、アイテムか魔法を使ってHPを回復した後、どれだけ回復しているかは『神々の遺産』の方が分かりやすかった*48。『黒き竜』では、回復時の戦闘シーンでは「何ポイント回復したか」は表示されず、バトルマップに戻ってから「〇〇(回復した相手)は〇ポイント回復した」と出るが、すぐにそのユニットの体力ゲージが表示されないため(自分自身を回復した場合は除く)、実際にどれだけ体力ゲージが回復しているかは、その相手のステータスを見ないと分からないのは不便。

敵のステータスがすぐに見られないのは非常に問題がある

「一度攻撃した敵でないと詳細ステータスが見られない」のは『黒き竜』のみの仕様だが、はっきり言ってこれは要らない仕様である。シミュレーションRPGなら、「敵のステータスを予め確認してから作戦を立てる」のが定番なのに、これでは作戦を立てにくい。

移動範囲は分かるのに、攻撃範囲は分からない

『神々の遺産』では「敵・味方の行動範囲」を任意では表示出来ないが(そのユニットが動いている時、動かせる時のみ確認可能)、『黒き竜』では任意で表示可能になった。それはいいのだが、問題は「攻撃範囲までは表示されない」ことである(『FE』では攻撃範囲も表示されるので分かりやすい)。

味方ユニットの番が回ってきた時、すぐに動かせない

バトルマップで、味方ユニットの番が回ってきたら、『神々の遺産』ではすぐに動かせるのに、『黒き竜』では一度Aボタンを押さないとユニットを動かせなくなったのは不便。

パラメータアップアイテムをRPGパートで使う時…

『黒き竜』のRPGパートで、パラメータアップアイテムの「力のワイン」などを使う場合、それを持ったユニットに自動的に使われてしまう。『神々の遺産』では誰が持っていても「誰に使いますか?」と出てくるので扱いやすかった。

回復アイテム使用時のエフェクトが長い

『黒き竜』では、「薬草」などのHP回復アイテムを使うと、毎回戦闘シーンに切り替わった後、「ヒール」と同じエフェクトがかかるのは鬱陶しい。『神々の遺産』でも回復アイテムを使うと戦闘シーンに切り替わるが、ヒールと同じエフェクトは出ないのですぐに終了する。もう一つ書くと、『黒き竜』では回復アイテムの回復量が増えており(さらに「回復の実」*49の値段も下がっている)、これも先ほど書いた「『黒き竜』はヌルゲー化している」原因の一つであろう。一ユニットあたりのアイテム所持数も増えているし…(『神々の遺産』は装備品・消耗品をあわせて四つまでだが、『黒き竜』は装備品四つ・消耗品四つまで持てるようになっている)。

バトルマップでアイテムを渡す時のウインドウが出てこない

バトルマップで、「今動かしているユニットが、隣接した他の味方ユニットに持ち物を渡す」時、『神々の遺産』では「渡す側の現在の持ち物」が表示されるので分かりやすいが、『黒き竜』ではなぜかこれが表示されなくなっているのは不便である。

原作は「暗い話でも明るいイメージ」があるのだが…

『神々の遺産』のシナリオそのものは、わりと暗くて悲劇的ではある。だが私が思うに、そんなに暗い印象は無く(面白いイベントやセリフもたくさんあるし、グラフィックも海外アニメっぽくて明るいからだろう)、むしろ明るくカラッとしたイメージだったりする。しかし『黒き竜』は、その「暗くて陰惨で悲劇的」な方ばかりが強調されてしまっている(それ故か全体的に「湿っぽい」感じがする。『神々の遺産』のカラッとしたイメージは皆無と言ってよい)。グラフィックの大幅変更もあるし、面白いセリフやイベントが減ってしまったことも大きいが、さらに言うと新キャラクターの「ナーシャ」の存在もあるのではないかと思う。「ルーンファウスト城の者に命を狙われて亡命し、父親と戦うことになってしまった姫」という設定そのものが暗いし、「本来なら敵対するはずの主人公たちと共に戦うことになったが、ここで受け入れられるのか不安」と彼女が言ったりするのも何となく湿っぽい。さらにもう一つ、後述するが「ある重要人物の設定が違う」ということも「暗くて湿っぽく感じる」原因であろう。

「光の剣」を先に入手できない

『神々の遺産』の第六章の終盤、重要な武器「光の剣」を手に入れるためにボスと戦うことになるが、『神々の遺産』ではボスを倒さずとも「光の剣」は入手出来るので、これを転職後の主人公に持たせて戦うことも可能。しかし『黒き竜』では、ボスを倒さないと入手出来なくなった。

「指輪」が増えたことの問題

『黒き竜』では装備品「指輪」が増加しているが、これも使いすぎるとゲームバランスが崩壊する可能性がある(さらに指輪を複数装備可能になってしまった)。「魔法抵抗を上げる指輪」、「反撃を受けなくなる指輪」、「必ず攻撃が当たる指輪」などが顕著かも知れない。

ダークドラゴンの首の位置が変化している

ラストのダークドラゴン戦について。『神々の遺産』と『黒き竜』では「ダークドラゴンの三つの首のうち、真ん中の首の位置が違う」という特徴がある。『神々の遺産』では主人公たちの初期配置より遠いので、一ターン目から攻撃されることは無いが、『黒き竜』ではなぜか主人公たちの初期配置に近くなってしまい、一ターン目から魔法攻撃されることもある。これは恐らくゲームボーイアドバンスの画面が横長のため、主人公たちに近づけないとダークドラゴンの姿がよく見えないので変更されたのだろうが、一ターン目から攻撃されるのはかなり辛い。

要塞と船の中に居る神父のセリフが…

『神々の遺産』では、第四章の要塞内部に居る神父と、第五章の船の中に居る神父は特別なセリフがあるが、『黒き竜』ではこのセリフは無くなっている。

プロンプトに居るNPCのセリフの変化

プロンプトの町でNPCと話すと、「マヌアル」とか「キカイロボト」という単語が出てきて何となく面白いが、『黒き竜』では無くなっている。

ワーラル住人のグラフィックの変化。あと王様のことだが…

『神々の遺産』では、第五章で訪れる南国の島「ワーラル」の住人の多くは、先ほど紹介したプロンプトに大勢居る「太ったNPC」と同じグラフィックなのだが、『黒き竜』では「いかにも南の島の住人っぽい(割とステレオタイプな)グラフィック」に差し替えられている。また、ここで登場する王様は、ショップ店員も兼ねているのだが、ショップ利用時のセリフは『神々の遺産』でも『黒き竜』でも一般的な店員と同じである。どうせリメイクするなら、王様の店だけは特別なセリフでもいいと思うが。もう一つ言うと、ここを発つ時には王様に「船の修理代として大金を要求される」のだが、「はい」でも「いいえ」でも話は進む(セリフが異なるだけ)。このあたりは『神々の遺産』でも『黒き竜』でも同じで(王様のセリフもほぼ同じ)、しかも『黒き竜』では主人公のセリフも無かったりする。こういう「わりとどうでもいいような部分」は全く同じで、後述する「非常に重要なこと」はまるっきり差し替えられていたりするのが『黒き竜』の特徴だと思う(そこが私にとっては許せないのだけど…。その「重要なこと」の方を『神々の遺産』と全く同じにして欲しかったのに…)。

ドミンゴが壁を越えられないマップがある

「魔法生物・ドミンゴ」は低空飛行タイプで、壁を越えて進むことが出来るが、『黒き竜』のみ一部のマップで壁を越えられない場合がある。

主人公・カイン・アダム・ケイオスの設定変更

この項目、及び次の項目は、非常に重要である。

『神々の遺産』での主人公は「古代人の末裔で、兄のカインと共にダークドラゴンを倒す使命を持つ」ことになっている(要は『ドラクエ』で「ロトの勇者の血を引く主人公が悪を倒す」のと同じ)。後半で仲間になるアダムは彼の相棒ロボットであり、アダムの兄弟ロボットと思われる「ケイオス」はカインの相棒ロボ。しかしカインとケイオスはルーンファウスト軍に洗脳され、主人公たちと戦うことになってしまう。
後半のマップ「メタファー」では「アダムとケイオスが入っていたと思われる箱」があり、説明書きを見ると「1000年後に現れる二人の英雄のために…」とある。つまり、このロボットたちは古代から保管されていたらしい。いずれ生まれるであろう主人公とカインの相棒となるために。
だが、『黒き竜』では設定が違う。主人公とカインは「古代人そのもの」にされており(さらに二人の両親がダークドラゴンを作ったとも言われる)、あの「アダムとケイオスが入っていた箱」は、「主人公とカインがコールドスリープするための装置」(二人は、「1000年後に蘇るであろうダークドラゴンと戦うために時を超えて来た」という設定にされている)に変わっている。ということは、『黒き竜』でのアダムとケイオスは、1000年間も主人公とカインが目覚めるのを待っていたのか? また、『黒き竜』では「アダムタイプの機械兵が100体居た」*50ことになっているらしい。なお、アダムは『黒き竜』の場合、『神々の遺産』より早くイベントシーンに登場していたりする。
私としてはこのような変更は許せない。主人公とカインはあくまで原作通りに「古代人の末裔」にするべきだし(『ドラクエ』に似ているくらいでいいのだ)、アダムとケイオスの設定もそのままにすべきだ。しかもこの変更された設定には何となくグロテスクでおぞましいものも感じられる。そしてさらに次の項目とも関連するのだが…。

魅力的な悪役・ダークソルについて語ってみよう。そして『黒き竜』最大の問題点はこれだ…

さて最後は、長年私がこの『黒き竜』で「もっとも大問題」だと思い続けてきたことを書きたい。かなり長くなるが、この際なので思い入れたっぷりに語らせてもらおう。

まず、私は『神々の遺産』では、味方よりも敵サイドの方が好きなのであるが、特に「ルーンファウストの軍師・ダークソル」に最も惹かれるのである。最近改めてプレイしても、やはりこの気持ちに変わりはないのだと分かる。彼は本当に素晴らしい悪役キャラクターだと私は思う。ここでは本題に触れる前に、『神々の遺産』での彼の魅力について語りたい。

彼の魅力の一つは、とにかく「セリフが面白い」ということである。とりあえず、『神々の遺産』での彼の名言を紹介する(ここでは使われている漢字の少ない原作より読みやすいように漢字を多用して、さらに一部句読点も足して書き写したが、セリフそのものは基本的には原文のまま)。

 

「君がシャイニングフォースを指揮していたとはな…。ルーンファウスト軍が手こずるわけだ」(第二章で初めて彼に会った時。実は主人公と会うのは初めてではないが、主人公は記憶が無いので初めて会ったと思っているのだろう。敵対する主人公に対して「君が…」などと妙にフランクに話しかけてくるのが彼らしい。大ボスのわりに、いわゆる「威厳ある話し方」ではないのが特徴かも知れない)。

「会うのはこれで何度目かな? 何だかお前が友達のように思えてきたよ、〇〇(主人公の名前)!」(第八章。これがこのゲームでは至極名言だと思う! 敵対する主人公に対してここまで言うとはすごい! その直後に「だが我らの友情もここまでだ」と言うのも何となく笑える)。

「地獄への船出に使うがいい」(第四章)

「ところで、カイン君は元気かね? そうか、あいつは死んだのか。なかなか役に立ってくれたが、まあその程度の男だったな」(第八章。カインとは先ほど書いたように主人公の兄であるが、ダークソルが連れ去って利用していたのである。第七章でカインはダークソルによって殺されているが、自ら殺しておきながら「カイン君は元気かね?」と言ってしまうところが何とも…)

「だがこの先、我が主君…フッ! 皇帝ラムラドゥがお前の相手をする…。地獄が見られるぞ…。では、さらば。名残惜しいが…。我が友〇〇(主人公の名前)よ!」(第八章。「我が主君…」の後で「フッ!」と嘲笑っているのは、皇帝ラムラドゥに忠誠心が無いことの証だろうか)

「そんなに死にたいか?」(第八章、決戦前のセリフより)

 

とりあえず、ダークソルの設定を紹介しておこう。彼はラスボス・ダークドラゴンの前に戦う大ボスであり(特技は「デーモンブレス」なる技)、「ルーンファウスト帝国のラムラドゥ皇帝を洗脳して悪の道に走らせ、邪竜ダークドラゴンの復活を目論む謎の魔道士であり、ルーンファウスト軍を率いる軍師」という設定。第四章では、部下である「バルバザーク将軍」を粛清してしまう残忍さも伺い知ることが出来る。

初めてプレイヤーと会うのは*51第二章の「シェード教会」で、最初は「カーン司祭」*52という神父に変身しているのだった。シェード教会のメインイベントとサブイベントから推測すると、カーン司祭は「神々の遺産*53の秘密について詳しい神父」であるらしいが、司祭はその秘密を外部に公表しようとしていたと思われる。それを阻止するためダークソルが教会に現れ、カーン司祭と戦って殺害し(その際ダークソルも傷を負っている。策略家だが抜け目がないタイプではなく、どこか詰めが甘いところがあるらしい)、司祭に成りすまして主人公を待ち構えていたようだ(墓地を掘り起こしてゾンビまで作っているとは…。一種の「ネクロマンサー(死霊使い)」なのか?)。しかしここで戦うことは無く、ゾンビとグールを差し向けて姿を消す。カーン司祭との戦いで傷を負っているため、療養のために去っていったのだろうと思われる。そういえば、彼は一人でシェード教会に乗り込んだのだろうが、カーン司祭はただの神父だと思って油断していたのだろうか。カーン司祭が強敵だと知ってたら、軍を率いて乗り込んで行きそうなものだが…。「最初に会った時、怪我をしている大ボスタイプの悪役」というのもあまり類を見ないかも知れない。

その後も度々主人公の前に姿を現しては去っていく。しかし言動から察すると、大ボスだが「威厳タイプ」ではなく(第四章のボス・エリオット将軍の方が余程威厳がある)、「狡猾な策略家であり、かつ残忍で怖ろしい存在だが、多少抜けたところがあり、さらに主人公に対して妙にフランクな態度をとる、どこか飄々とした親しみやすい悪役」*54という印象である。そこもまた魅力があると思っている。

他に興味深いこととしては、彼はどうも「死者や生者の魂を食らうことが出来る」存在であるらしい。シェード教会で聞ける話では、「ここに眠っていた魂はダークソルに貪られてしまった」とあり、さらに第二章で訪れる「リンドリンド」という町では、ある子どもがサーカス団に連れ去られていたが、それは「ダークソルにその子どもの魂を捧げるため」に、彼の部下がやったことであるらしいのだ。魂を求める理由はよく分からないが、それを自らの魔力としているのかも知れない。

そして、最期は「ダークドラゴン復活のために自らを生贄として捧げてしまう」のである。RPGではよくある話ではあろうが、自らを犠牲にしてまで目的を果たそうとするその姿は、敵ながらカッコいいと思っている。それにしても、ダークソル戦前のセリフから察すると、「ダークドラゴン復活の儀式中」に乱入してきた主人公たちを見て、どうやら慌てているらしいことが伺えるのも何だか面白い。

『神々の遺産』の時点ではそれ以上のことは不明であるが、後のシリーズ作品では新たな設定が追加されている。直接的な続編『シャイニングフォース2 古えの封印』(メガドライブ。以下『古えの封印』)では「その正体は悪魔王であり、遠い昔、ルーン大陸*55とは別の大陸でライバルのゼオン(『古えの封印』のラスボス)及びルシファー(これはゲームには登場しない。『メガテン』とは無関係だろうが…)と覇権争いをしていた」ことになっている*56。悪魔王ということは、悠久の時を生きてきたのだろう。あの魔道士の姿は世を忍ぶ仮の姿に過ぎないのか…(余談だが、人間の姿の時は多分「それなりに年を取った男」であろう。セリフが流れる時の効果音の低さから察すると…)。

さらに興味深いのは、外伝作『シャイニングフォース外伝 ファイナルコンフリクト』(ゲームギア。以下『ファイナルコンフリクト』)で語られる話である(ちなみに『神々の遺産』でのダークソルはラスボス手前のボスだったのに、ここではラスボスにまで昇格している。ラスボスとしては「悪魔王」の姿をとる)。
『ファイナルコンフリクト』のあらすじを紹介しておくと、年代的には『神々の遺産』の直後の話であるようで、『神々の遺産』の第六章で倒したはずの「魔女・ミシャエラ」( 『神々の遺産』ではルーンファウスト軍所属で、ダークソルの部下であった)が復活して悪魔軍を率い、ダークソルを復活させようとする。それを阻止するために『ファイナルコンフリクト』の主人公と仲間たちが戦うのだが、『神々の遺産』の主人公*57やアダムも再登場する。

この『ファイナルコンフリクト』の最終章では、「ダークソルは、実は部下のミシャエラとの間に息子を一人儲けていた。その子こそ『シャイニング&ザ・ダクネス』(メガドライブのダンジョンRPG。『神々の遺産』の前作にあたる。以下『ダクネス』)のラスボス・メフィストだったのだ(『ファイナルコンフリクト』の時点ではまだ赤子)。つまり、ダークソルはミシャエラの夫で、メフィストの父親である」という、なかなか衝撃的なことが語られている。

『ファイナルコンフリクト』の最後でミシャエラは、ダークソルのために自らの命を捧げ、ダークソルはついに「悪魔王」として完全復活するのだった。ミシャエラが命を懸けてでもダークソルを復活させようとしたのは、「夫・ダークソル」に対する献身的な愛ゆえだったのか(身も心も彼に捧げてしまった、ということ…?)。私はそこに愛を感じるのだ。

『ファイナルコンフリクト』のラストバトルで、ダークソルは主人公たちに敗れて封印されるが、息子・メフィストは残されたため、悪魔王の血統は受け継がれたようだ。メフィストは、「オッドアイ」*58に拾われた、と言われている。『ダクネス』のメフィストは「デーモンブレス」を使うが、これは父親の能力を受け継いだものだろうか。
私はこの続編と外伝作で語られる設定がとても好きなのである(今風に言うと「エモい」!)。この他シリーズの話を知ってから『神々の遺産』を見ると、世界が変わって見えるからすごく面白い…。『神々の遺産』の時点では、ミシャエラは「ダークソルの部下の一人」にしか見えないが、まさか彼女と子どもを作っていたとは…(そういう結果になるくらい、彼もまたミシャエラのことを深く愛していたのだろう…、とは思うのだけど…)! …どんな経歴で子どもが出来たのかは不明だけど、彼は結構色男なのかも…。そして『ダクネス』のメフィストのお父さんだったのかぁ…。この『シャイニング』シリーズとは、「魔族親子二世代に渡る壮大な物語」だった、という解釈も出来る。

なお、『ダクネス』のラストバトル二回戦目と、『神々の遺産』のダークソル戦で使われているBGMは、テンポは違うが同じメロディーである。実はこの『神々の遺産』の時点でも「ダークソルとメフィストは親子?」ということを匂わせていたりするのが興味深い(同一人物の可能性もあるが)。

 

…長々と語ってしまったが、ここからが本題である。

『黒き竜』で大問題なのは(そして私としては決して許せないことである)、この続編と外伝で語られるダークソルの設定を無視して、別の設定に変えたことだ。

…本当のことを言うと、これについては書きたくないと思っていたが(私にとっては思い出すだけでも辛い…、重度のトラウマなので)、この際だから思い切って書くことにする。

『黒き竜』においても、ダークソルの基本設定そのもの(ルーンファウスト軍の軍師、謎の魔道士、ラムラドゥ皇帝を洗脳している、ダークドラゴン復活を目論む)は変わっていない(ただし『黒き竜』では追加シナリオにより、シェード教会以前にすでにゲーム中に登場していたりするが)。しかし問題は、「彼の正体についての設定が変更されている」ことだ。

『黒き竜』によれば「ダークソルの正体は『肉体を改造された古代人』で、記憶を消去されて『ダークドラゴンの頭脳』として利用されることになっていたが、それに反発した彼は時を超えてこの時代に来た。ダークドラゴンを復活させて世界に復讐するために」ということらしい(彼の最期も「ダークドラゴンのために自らを差し出す」のではなく、「本当にダークドラゴンの頭脳となってしまう」ことになっており、『神々の遺産』のようなクールさは感じられない)。

これは、はっきり言うとあまりにも陰鬱かつグロテスクでおぞましすぎる設定である。このようなグロテスクさとおぞましさは『シャイニング』シリーズには絶対に相応しくない! 私が思うに、ある意味では先ほども紹介した『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』*59の世界観・設定・シナリオ(特に第七話のこと)とも通じる陰鬱さとグロテスクさとおぞましさだ…。

…長いこと、『黒き竜』には嫌な思いをさせられてきたが、『超力兵団』をプレイしてからやっと、その嫌な思いの正体に気が付いたのだ。「単に嫌な思いをした、というよりは、『神々の遺産』とは全く異なり、あまりにもグロテスクで、陰鬱すぎておぞましいから『黒き竜』は大嫌い!」だったのだ、と…。

さらに「ダークソルとは黒き魂」などとも言っているが、これは明らかにおかしい。彼の名前のスペルは「DarkSol」(「黒い太陽」の意味)であるわけで、「黒き魂」では「DarkSoul」になってしまう。「ダークソルというのも別の古代人が付けた『忌まわしい偽名』である」とも言うが、これもまたあまりにもおぞましき話だ…。

『古えの封印』では「悪魔王ダークソル」という名前が出てくるのだから*60、初めから「ダークソル」という名前でなければおかしいだろう。

そして『黒き竜』では、先ほど紹介したダークソルの「名言」も、ほとんどが失われているのも非常に許せないことだ(彼の性格自体も変化している。『神々の遺産』のような妙にフランクで飄々とした雰囲気は失われている)。特に先ほど紹介した、第八章で「至極名言だと思った」セリフが無いのは許せない。『黒き竜』の第八章では、「主人公と同じく古代から来た者だと明かした上で、自分と手を組まないかと誘ってくる」という展開に変えられている。

また、「彼は魂を食らう」といった話も無くなった。先ほど紹介した「リンドリンドで、ある子どもがサーカス団に誘拐されるイベント」にしても、「その子どもの魂をダークソルに捧げる」という理由ではなくなっている。他にも、第二章でダークソルが「シェード教会のカーン司祭を襲った理由」というのも、『黒き竜』では『神々の遺産』とは事情が異なるようだ。ここでは「カーン司祭から神々の遺産の秘密を聞き出そうとしたが、どうしても口を割らないので殺した」ことになっているらしい(『神々の遺産』と比較するとどうも不自然な展開である。秘密を聞き出したいなら殺すことは無いと思うが…)。

私としては、ダークソルは単純な悪役だからこそ良かったのだ。単純明快な、それでいて飄々とした魅力的な悪役だからこそ、先ほどの「名言」に強く惹かれてしまうのだろう。決して「プレイヤーが思わず同情してしまうような悪役」にしてはならないのだ。さらにもっと問題なのは、設定を変えてしまったら『古えの封印』、『ファイナルコンフリクト』、『ダクネス』とは一切繋がらなくなることだ。つまり自ら「他の『シャイニング』シリーズは『黒き竜』と同じような形ではリメイク不可、『黒き竜』は他の『シャイニング』シリーズとは一切関係ない」と言い切ってしまっているようなものだろう*61

この際だから思い切って強調するが、私は『黒き竜』でのあまりにもグロテスクで陰鬱でおぞましき設定など絶対に認めない! 『黒き竜』は「『シャイニング』の黒歴史」として封じられるべきだと私は思う。私は『黒き竜』を、名作『神々の遺産』のリメイクと認める気は一切無い!

リメイクするのなら「ダークソルの正体は悪魔王で、ゼオンとルシファーのライバルである」、「ミシャエラと結婚してメフィストの父となった」という話は入れてくれるかも、と密かに期待していたが…。

そういう意味で言うと、『シャイニング』シリーズの一種『シャイニング・ソウル』(ゲームボーイアドバンスのアクションRPG。『神々の遺産』の1000年前の話と言われている)の方が、『ファイナルコンフリクト』の設定を取り入れているので、良かったのではないかとも思う。このゲームでもダークソルとミシャエラが登場しているが(『神々の遺産』の二人と同一人物かどうかは定かではないが…)、ここでは「ミシャエラはダークソルのことが好きらしい」と語られており、これは『ファイナルコンフリクト』のエピソードを元にしていると考えられる。

結論・おわりに

長々と書いてきたが、結論としては先ほども書いたように、『黒き竜』は「『シャイニング』の黒歴史」として封じて欲しい、二度と蘇らせて欲しくないということだ。これをプレイするくらいであれば、オリジナルの『神々の遺産』や、その他の『シャイニング』シリーズ、『フェーダ』シリーズ、『ファイアーエムブレム』シリーズ、『タクティクスオウガ』などの名作シミュレーションRPGをプレイする方が余程楽しいと考えている。また、『シャイニング』的なものをGBAで求めるのであれば、『黄金の太陽』シリーズ二作*62の方がいいだろう。シミュレーションRPGではないが、戦闘シーンなんてまさに『シャイニング』だし。

さて、「『黒き竜』の問題点」シリーズはこれにて完結! 長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

参照ゲームソフト

  • シャイニングフォース 黒き竜の復活(ゲームボーイアドバンス/発売元・セガ)
  • シャイニングフォース 神々の遺産(メガドライブ/発売元・セガ)
  • シャイニングフォース外伝 ファイナルコンフリクト(ゲームギア/発売元・セガ)
  • シャイニングフォース2 古えの封印(メガドライブ/発売元・セガ)
  • シャイニング&ザ・ダクネス(メガドライブ/発売元・セガ)
  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(プレイステーション2/発売元・アトラス)
  • 真・女神転生(スーパーファミコン他/発売元・アトラス)
  • 真・女神転生2(スーパーファミコン他/発売元・アトラス)
  • 真・女神転生if…(スーパーファミコン/発売元・アトラス)
  • 魔界塔士Sa・Ga(ゲームボーイ/発売元・スクウェア[現・スクウェア・エニックス])
  • ファイアーエムブレム 封印の剣(ゲームボーイアドバンス/発売元・任天堂)
  • ファイアーエムブレム 烈火の剣(ゲームボーイアドバンス/発売元・任天堂)
  • ファイアーエムブレム 聖魔の光石(ゲームボーイアドバンス/発売元・任天堂)
  • 黄金の太陽 開かれし封印(ゲームボーイアドバンス/発売元・任天堂)
  • 黄金の太陽 失われし時代(ゲームボーイアドバンス/発売元・任天堂)
  • フェーダ エンブレム・オブ・ジャスティス(スーパーファミコン/発売元・やのまん)
  • ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III(Wii/発売元・スクウェア・エニックス)
  • タクティクスオウガ(スーパーファミコン他/発売元・クエスト)
  • シャイニング・ソウル(ゲームボーイアドバンス/発売元・セガ)

参考文献

  • シャイニングフォース 黒き竜の復活 ファイナルコンプリートガイド(ファミ通責任編集/エンターブレイン)
  • 小学六年生特別増刊 シャイニングフォース 神々の遺産 設定資料集(小学館)
  • ドラゴンクエスト 30thアニバーサリー ドラゴンクエスト名言集 しんでしまうとはなにごとだ!(原著・堀井雄二/スクウェア・エニックス)

 

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ゲームレビューランキング

*1:バトルマップより撤退する魔法。主人公のみ取得

*2:職業・シャーマン

*3:「やのまん」から発売されていたスーパーファミコンのシミュレーションRPGで、『神々の遺産』と一部のスタッフが共通しているためかどことなく世界観とキャラが似ている

*4:「メサイヤ」のシミュレーションRPG

*5:主人公の剣の師匠。先ほど紹介したゲーム開始時のイベントに出てくる

*6:まあ、このゲームに出てこない国では別の宗教も存在しそうだけど…

*7:『神々の遺産』だとステータスは本陣でしか確認不可

*8:一定ターンが来ると敵味方問わず広範囲攻撃をする敵側の兵器。ちなみに『神々の遺産』のみ攻撃時に「ファイア」と表示される

*9:確かに倒すと爆発したように見えなくもないが、風船のように破裂したとは思えない

*10:さらに「ワイヴァーン」は「炎ブレス」を吐くことがあるのに、「ワイバーン」は「氷ブレス」に変わっているのはなぜだろう?

*11:『神々の遺産』の音とは異なる

*12:例・「アバレダイコ」

*13:『神々の遺産』には「反撃」要素が無い

*14:「反撃する・される」ことがあるのは接近戦の時のみ。遠隔攻撃の時は反撃は無い

*15:一部ユニットは除く

*16:一部のイベントシーンなども差し替えがある

*17:当時のメガドライブ雑誌の略称

*18:職業・魔道士

*19:イベントで入手する重要な剣

*20:しかもこれはイベント終了後もなぜか消えない

*21:『黒き竜』はなぜか「古の塔」になっている

*22:特に女性の悲鳴

*23:『黒き竜』は全体的に『神々の遺産』より不気味な雰囲気がある

*24:例・「コーキチ」

*25:たいていは一~二秒くらい

*26:『黒き竜』では「古の塔」

*27:『神々の遺産』では自動的に最上部まで行く

*28:古代人の末裔が住む国

*29:一部の魔法のみ効かない敵も居る。「ウォーム」は「氷結魔法・フリーズ」が効かない、など

*30:新規に追加された「指輪」で魔法抵抗を上げることも出来る

*31:「敏捷さ」は『黒き竜』では「素早さ」になっている

*32:さらに見つける手順が複雑化している

*33:バストークでイベントを発生させないと仲間に出来ない

*34:ラストバトル前に参加者全員が喋るのも『黒き竜』のみ

*35:裏設定としてはあったのかも知れないが

*36:また、一部の武器に「HP自動回復」効果があるのも恐らく『黒き竜』のみの要素

*37:とある別の職業だけは下級クラスでも装備可能

*38:例・「ヒートアックス」、「力のリング」など

*39:装備していなくても良い

*40:元々『神々の遺産』は『ドラクエ3・4』のプログラマーだったスタッフが関わっているためであろう

*41:先ほど出てきた「バリオス」の娘でもある

*42:「シェード教会」というマップでは、地形変更のため遠隔攻撃が敵に届きにくくなった

*43:『神々の遺産』では店員に顔グラフィックは無い

*44:新ユニット「キョウカQ」のみ使用可能

*45:『ドラクエ3』の「あぶない水着」を元ネタとする「着せ替えアイテム」。『神々の遺産』にも出てくるが、原作では存在する場所さえ分かれば容易に入手出来る隠しアイテムだった

*46:要するに昔流行った「ボディコンスーツ」で、アンリのみ着せ替え可能

*47:待機中のメンバーは別の場所に居る

*48:戦闘シーンに切り替わり、回復した相手の戦闘グラフィックと体力ゲージが表示される

*49:HP回復アイテム。薬草より回復量が多い

*50:このような話は『神々の遺産』には無い

*51:なお、主人公とは既に出会っているらしい。本編の一年前、主人公はダークソルに襲撃されたことになっている

*52:ただの神父かと思えば、攻撃魔法が使えるらしい

*53:はっきり言えば「ダークドラゴン」のこと

*54:いわゆる「三枚目」か?

*55:『神々の遺産』及び『黒き竜』の舞台である架空の大陸

*56:後にその大陸を追放された、とも言われている

*57:ここでは「マックス」となっている

*58:『古えの封印』のラスボス・ゼオンの部下。『古えの封印』にも出てくる

*59:こちらについて詳しくは「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」シリーズを参照

*60:『古えの封印』では名前しか登場しないが

*61:「タオとディアーネが姉妹ではなくなった」ということもあるし…

*62:RPG。発売元・任天堂。『シャイニング』ではないがスタッフの一部は共通している