ろーだいありー

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シリーズ記事「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」・第八回目

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(※画像はイメージです)



シリーズ 「超國家機関ヤタガラス」はなぜ怖ろしいのか?

・第八回目「『第拾話・帝都炎上!』に見る歴史認識問題・戦後責任問題・歴史修正(改竄)主義」

はじめに

※このブログは、『女神転生(メガテン)』ファンの個人による非営利ブログであり、発売元のゲームメーカー様とは一切関わりありません。予めご了承ください。

 

このシリーズ記事は、『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(以下『超力兵団』。「プレイステーション2(PS2)」専用ゲームソフトとして2006年に「アトラス」社より発売されたもの。『メガテン』シリーズの一種で、ジャンルはRPG。現在は絶版)に登場する架空の組織「超國家機関ヤタガラス」(以下「ヤタガラス」。モデルは「国家神道」であり、極右思想・天皇崇拝思想を持つ)を「徹底的に批判するため」と、「この『超力兵団』そのものが持つ問題点を徹底的に暴いて批判するため」、さらに「この『葛葉ライドウ』シリーズはもう封印作品とすべきである。特に『超力兵団』についてはどんな形であれ(ゲームソフトに限らず)、二度と世に出すべきではない」ということを訴えるために書くものである。
なぜこういうことを訴えるのかは、これまでの記事を参照してほしい。今回の記事にもその答えは示している。


この『超力兵団』に関しては、新作(三作目)・リメイク・移植・配信・メディアミックスなどの全てを、今後は一切出して欲しくない理由のうち、ひとつを先に説明しておく。
「今、日本の学校で使われている『歴史教科書』の記述が、どんどん後退している(特に「近代の戦争における、日本の加害歴史」をあまり書かないようにしている)」という事態に危機感があり、それから「日本が引き起こした戦争を美化するような、『歴史修正(改竄)主義』が台頭している(「歴史修正(改竄)本」が書店に溢れかえっている)」事態にも危機感があるため。
それとどう関係があるのかというと、この『超力兵団』は、「戦前(1931年)の大日本帝国」(あくまで架空のものだが)だけを舞台とした作品だからだ。今後このシリーズを作るとなると(リメイクも含む)、「このような、『後退した歴史教科書』・『歴史修正(改竄)本』でしか日本の歴史を学んだことのない若者向けのシナリオを作るのではないか」、「歴史修正(改竄)主義者向けのシナリオを作りそうで、子どもと若者には特に危険だ」という懸念があるから、一切出して欲しくないと訴えているわけだ。

この記事には、ゲームの「ネタバレ」も多く含むので注意。
また、このゲームをプレイされたことが無い方には理解できないであろうことは、お断りしておく。

 

もうひとつお断りしておくが、本記事と前回までの記事で、この『超力兵団』の「設定・世界観・キャラクター描写・ストーリー」などに関する事柄はすべて、PS2のゲーム『超力兵団』及び、続編の『デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王』(こちらもPS2専用ゲームソフト。2008年発売。現在は絶版)と、この二作の説明書・各種公式攻略本や、『超力兵団』の公式設定資料本のみを参考にして書いた。それ故、この二作を題材とした「メーカー公認のコミック・ノベライズ・ドラマCD」といったものは一切参照していない(私はこの類の商品は一切購入せず、閲覧・視聴もしないため)。予めご了承あれ。

 

それからもうひとつ注意。このブログシリーズは、「日本だけに都合よく歴史を捏造する歴史修正(改竄)主義者(多くは右派論客)には徹底して対抗する」こともテーマに含まれるが、決して「天皇制は絶対に廃止せよ」ということを訴えるために書いたものではない。その点は覚えておいて欲しい。私は別に天皇制廃止論者でも、天皇原理主義者でもない。また、右翼・左翼とも無関係の「自称中道派」である。
ただ、「天皇制には差別などの問題点が多い」こと、「昭和天皇には戦争責任があるのに、その責任を取らなかった」こと、「天皇家や天皇制、及び天皇家の象徴である日の丸・君が代を嫌う人は、国内外問わず数多く存在する」ことは知っておいて欲しい、ということは言っておく。
特に、若者向け作品を手がけるゲームクリエイターや漫画家、アニメ作家、ライトノベル作家などはそのことを知っておく方がいいだろう。無知な人が「天皇が出てくる作品、戦争を題材とした作品」を作ると、内容によっては時に国際問題にも発展する可能性があることは認識すべきである。

 

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前回までの記事

前回記事は、下記のリンクからどうぞ。

 

lucyukan.hatenablog.com

 

それ以前の記事は、以下のリンクからお読みください。

 

シリーズ記事「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」・第一回目 - ろーだいありー

シリーズ記事「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」・第二回目 - ろーだいありー

シリーズ記事「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」・第三回目 - ろーだいありー

シリーズ記事「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」・第四回目 - ろーだいありー

シリーズ記事「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」・第五回目 - ろーだいありー

シリーズ記事「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」・第六回目 - ろーだいありー

 

その他、関連記事としては下記のリンク先も参照してください。

lucyukan.hatenablog.com

 

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今回のテーマ

今回のテーマは「『第拾話・帝都炎上!』に見る歴史認識問題・戦後責任問題・歴史修正(改竄)主義」とする。
今回検証する第拾話(第十話)は、第七話についでかなりの問題作である。これは、現実の日本における「歴史教科書問題」、「歴史修正(改竄)主義」(一般的には「歴史修正主義」だが、ここではこう書く)、「歴史認識問題」、そして「戦後責任問題」とも関わる、重要なシナリオだ。
そして、以前から取り上げている「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)制作の『市販本 新しい歴史教科書』(扶桑社。以下『新しい歴史教科書』)との符合点も見る。

今回はさらに、同じ「つくる会」制作の『市販本 新しい公民教科書』(扶桑社。以下『新しい公民教科書』)との符合点も見よう。

まずは、前回紹介した第八話と、その次の第九話のあらすじ、第拾話の序盤を解説する。

 

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 第八話と第九話のあらすじ、第拾話の序盤

第八話では、帝都を滅ぼそうとする敵・「陸軍少尉・宗像」を追って、主人公・ライドウと相棒のゴウト(喋る黒猫)は、鉄塔「和電イ号基」(このブログシリーズでは独自に「ヒルコタワー」と呼ぶ)に潜入。ヒルコタワー最上部で宗像と会う。ここで宗像が言うセリフに注目。このゲームの歴史観(独自に「ヤタガラス史観」と呼ぶ)では、『古事記』・『日本書紀』が実話になっていることが分かるのだ(詳細は前回記事を参照)。
宗像は「ミシャグジさま」を差し向けてくる。これを倒すと、敵対する「ダークサマナー・ラスプーチン」の術によって、ライドウとゴウトは「パラレルワールド」に飛ばされる。
第九話では、パラレルワールドに住むライドウたちの協力を得て、元の世界に戻るために奔走する。この第九話は特に取り上げないが、ひとつ気になるのは、ここで手に入る「天津金木」(本来は「古神道」と関わりがある物らしい?)なる貴重品の説明文に、「ヤタガラスより授かった秘宝」と書かれていること。これは、ヤタガラスが「天皇崇拝団体」であることを考えると、どうも「天皇から下賜された(賜った)…」という表現と似たものを感じる。細かいことだが、人によっては不愉快かも知れない(特に天皇や皇室を快く思わない人は)。

 

さて第拾話は、ライドウとゴウトが、無事に元の世界に帰ってきたところから始まる。拠点である「鳴海探偵社」に戻ると、いつもはここに居るはずの上司「鳴海」(探偵の男。ヤタガラスに協力している)は、どこかへ行ってしまったようだ。だが、彼が書いた置手紙があることに気付く。その手紙にはこう書かれている…(読みやすいように一部句読点を足したが、基本は原文のまま)。

 

「ライドウへ。
お前の事だから、無事に戻ってこの手紙を読んでいると信じている。
だが、思い起こせば…、あまりにお前を危険に近付け過ぎたようだ。
この事件は、ただの人さらいなんかじゃなく、国家を揺るがす陰謀だと解った。
超力兵団計画、宗像少将の企み…。これは探偵見習いのお前には、重すぎる事件だった。
無事、帰り着いてこれを読んでいるなら、ライドウ、お前は手を引け。
宗像も海軍も全て…、探偵所長の俺がキッチリ片を付けてやる。
お前は静かに俺の帰りを待っててくれ。
鳴海」

 

鳴海の真意と、彼の正体は一体何か…? 鳴海の行方を追うと、彼は「陸軍地下造船所」(以前の話で潜入した。詳細は第六回目を参照)へ向かったことが判明する。
ライドウは、この造船所に再び潜入する。今回は、以前攻略したエリアとは反対側のエリアへ行く。なお、前回のエリアには入れない。


ではここからは、造船所潜入後の展開を徹底的に検証しよう。

 

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アラハバキとは

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(※画像は筆者のコレクションより。イメージです)



第拾話の造船所では、最下層到達までにいくつかのイベントがあるが、そのうちの一つを紹介する。
「アラハバキ」なる悪魔(「土偶」の姿をしている)が、寝ながら道を塞いでいる。これを「叩き起こす」と…(読みやすいように一部句読点を足して、難しい漢字にはふりがなを付けたが、基本は原文のまま。重要と思った部分は太字にした。以下のゲーム中のセリフは全て同じ)。

 

アラハバキ「………ッ!
…永き眠りのため体が鈍っておったか。ここまでバラバラに崩れるとは…!
…思えば千年以上の永き時間、眠りについておった。
今、ここで目覚めたのも定めということであろう。
伏(まつ)ろわぬ神が一柱、アラハバキである!
どうやら、カラスの手の者と見える。
遥か昔より、天津に逆らうものを討つために働いてきたデビルサマナーの末裔よ。
此度(このたび)の国津の悲願、超力兵団計画を妨げに来たのであろう。
だが…、そうはさせぬ!」


そしてアラハバキと戦うことになる。

 

アラハバキのセリフは興味深い。「カラスの手の者」とは、つまり「ヤタガラスの配下」であろう。
「遥か昔より天津に逆らうものを討つために働いてきたデビルサマナー」とアラハバキは言うが、天津に逆らう者とは「天皇に逆らう者」に他ならない(ゲーム本編では「天皇」という言葉は出てこないが)。つまり、「ヤタガラス配下のデビルサマナー」は、「遥か昔より天皇家に仕え、天皇に反逆する者を排除する存在」なのだろう。
だが、その「遥か昔」とは? アラハバキが「土偶」で、さらに「太古の眠り」なる技を使うのを見ると、まさか「太古の昔より天皇と皇室は敬われていた」などという、右派の好む作り話を採用しているわけではなかろうな? 本当の日本では、「天皇の存在しない時代」の方が長いのだ。神武天皇などは架空だし。
しかし「ヤタガラス史観」では、『古事記』・『日本書紀』が実話とされ、神武天皇も実在したようだから、「日本が出来たころから天皇が居た」ことになっている可能性もありそうだが…。このような歴史観は、若者や子どもたちには好ましくないと考えている。


アラハバキを倒すと、先へ進めるが、その後はアラハバキを悪魔合体でも造れるようになる。

余談だが、アラハバキを仲魔にし、デビルカルテに登録後、解説文を見ると「古代日本における主神の1柱。その姿は遮光器土偶に象られ、表される。天皇家への逆賊の象徴として、長らく信奉が弾圧されてきた」とある。
この表現も問題だ。本編には無い言葉「天皇家」が出てくるのも奇妙だが、「逆賊」なる表現は「天皇に逆らう者は悪だ」というメッセージを植えつけることになりはしないか。

 

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鳴海と再会

造船所の最下層まで到達すると、鳴海を発見する。その時の場面を再現しよう。

 

鳴海「…っ、誰だっ!
…ライドウじゃないか! 無事だったのか。
…そうか、お前も大変だったんだな。しかし、どうしてここに?
探偵社で待っていろと書いて置いただろ?
ここから先は子供の出る幕じゃない。…大人しく戻ってくれ。
超力兵団計画は…、宗像さんの暴走は俺が止めてみせる。
…不思議か、俺がこう言うのは。
……。俺はな、ライドウ。若い頃、軍にいたんだ。
その頃、宗像さんの話を聞いた事があった。
超力光線…、超力戦車…、日本を強くするための超力計画というものを…。
しかしそれを真面目に受け止める人間はいなかった…。
宗像さんは実現不可能な夢を追う愚か者扱いされ…、姿を消した。
しかし、少なくともその頃の宗像さんに、市民を犠牲にするような考えはなかった。
…その人が今、超力計画を再びかかげ、帝都の市民を巻き添えにしようとしている。
…宗像さんの考えが変わった理由はわからないが…、放っては置けない。
国の為といって市民を犠牲にするのは、絶対に間違っているんだよ。
俺は…、いや、俺がこの身に代えてでもあの人を止めてみせる。
…だからライドウ。後は俺に任せて、お前は戻っていろ。過去の後始末は大人の役目だ。

若者には…、これからの将来を切り拓(ひら)いていくという役割があるんだよ。

…ライドウ、解ってくれるか?」

 

ここで「はい」と答えても、ゴウトが「何、説得させられてんだ」などと言うので、結局は「いいえ」を選ぶしかない。
これも、メガテニストに言わせれば「裏切り」である。
製作者は、勝手に「ここまで来たプレイヤーなら、鳴海を助けたいと思うだろう」と考えたのだろうが、私はそうは思わない。
次のセリフを見ると、鳴海も、初めからライドウが来てくれることを期待していたとしか思えないし。

 

「いいえ」を選ぶと、鳴海は「…ま、そう言うとは思ったけどね。十四代目葛葉ライドウ…、その名の責務と言う訳か。…わかった。なら一緒に行くとしよう。二人で宗像さんを止めるんだ」と言って、二人で宗像と会うことになる。

 

この、鳴海のセリフから分かるのは、鳴海はむかし日本軍に所属していたこと、宗像はかつては国を護るために「超力」と名の付く計画を立てたが、それがいつしか国を破壊する方向へと向かった、ということだ。

 

ここでの鳴海のセリフだが、少し問題がある。
国の為といって市民を犠牲にするのは、絶対に間違っているんだよ」は正論だが、その「国の為に市民を犠牲にする」のは、宗像だけではなく「ヤタガラス」もそうだということに気付かないのはおかしい。天皇崇拝のヤタガラスも、いずれは「天皇の名の下に」戦争を始め、国民を犠牲にするのだから。
「過去の後始末は大人の役目だ」と、後で紹介するイベントでの鳴海のセリフは矛盾している。詳細は後述。
「十四代目葛葉ライドウ…、その名の責務と言う訳か」は、本当は「日本人の責務は日本(国体)を護ることである」と主張したいのか(前回も似たことを書いたが)。

 

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宗像の正体

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(※画像は筆者のコレクションより。イメージです)



さらに奥へと進むと、宗像を発見する。以下に、ここでのイベントシーンを再現する。

 

鳴海「…超力兵団計画。その名を聞いた時から気になっていたんだ。
宗像さん…、やはり貴方の仕業か」
宗像「…デビルサマナー 葛葉ライドウ。やはり我らが前に立ち塞がる気か」
鳴海「宗像さん…、答えてくれ。俺は、かつてのあんたを知っている。
国を強くする意志を持っていたが…、民を犠牲にする考えは無かったはず!
何故、今! こんな計画を!!」
宗像「…そは古き時代よりの復讐。天津の一族を滅ぼす事が我が悲願」
鳴海「…な、何?」
宗像「帝都に住む人間の事などどうでもよいと言ったのだ。

我らが悲願…、我らが願い…、血と汚名を背負い倒れた幾多(いくた)の同胞の無念の声が…、

…我を突き動かすのだ! 愚かな人間を死滅させよと!」
鳴海「…狂ってるよ、宗像さん。あんたこそ、愚かな人間じゃないか」
宗像「…クククッ、…何? 私が愚かな人間だと?」

 

すると、宗像に憑依していた「スクナヒコナ」が、宗像の口の中から現れる(スクナヒコナは、非常に小さい神。詳細は後述)。
…スクナヒコナ出現時のムービーは、人によっては吐き気がするほど異様に気持ちが悪いことは強調しておく(見たくない人はスタートボタンで飛ばすべし)。スクナヒコナ自体も、非常に不気味なデザインだ。

 

スクナヒコナ「矮小(わいしょう)なる人の子よ。我は人に非(あら)ず。

怨嗟(えんさ)の声に呼び起こされた神…、スクナヒコナである!」
鳴海「…宗像さん、あんた………」
スクナヒコナ「宗像なる者はもはや存在しない。これは我が仮初(かりそめ)の身体に過ぎん。

…ただ、宗像の望んだ超力兵団。それだけは我が手で完成させてやった。見るがよい!」

 

ここで、宗像の製造した「巨大ロボに変形する戦艦」によって、帝都が破壊される様子が描かれる。余談だが、これはミリオタと、ロボットアニメオタク(例えば『機動戦士ガンダム』や、『新世紀エヴァンゲリオン』などのファン)を狙ったものか。
そして、こう続く。

 

スクナヒコナ「帝都百万の民の死滅…、それが超力超神に与えし命。

全ての民が罪を噛締(かみし)めながら、悶え、そして死ぬのだ!」
鳴海「…馬鹿な、何千年もの昔の恨みなんて、今の俺たちには関係ねぇだろ!
スクナヒコナ「ヤツらの末裔である事…、産まれ落ちた事が罪なのだ!」
鳴海「そんなムチャな…
スクナヒコナ「貴様らにはわかるまい。虐(しいた)げられし者の心なぞ…。

帝都破壊の前に、貴様らを血祭りに上げてくれる!」

 

ここでスクナヒコナと戦う。

戦闘開始前のセリフ。


スクナヒコナ「…我が力は一人のものにあらず。そは、太古より虐げられた伏ろわぬ者たちの怨念の結晶…。

…葛葉ライドウよ! 汝(なんじ)如きに止められるものではないわ!」

 

スクナヒコナ撃破後の展開は後述。先にこのイベントシーンを解説する。
注目すべきは、鳴海のセリフである。

 

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鳴海のセリフの問題点

では、解説しよう。
私がもっとも問題視するのは、このセリフだ。

 

鳴海「…馬鹿な、何千年もの昔の恨みなんて、今の俺たちには関係ねぇだろ!」。

 

これは…、「つくる会」メンバーや、右派論客がよく言う「昔の戦争のことは戦後生まれの日本人には関係ない、だから韓国や中国などに謝罪する必要は無い、なぜ日本はいつまでも韓国や中国に謝り続けるのだ?」といった言葉に、非常に似ている!
または、「戦争責任問題について韓国人や中国人に責められると、ついムキになる日本人」や、「先祖の戦争責任など、戦後生まれには関係ないと思う日本の若者」の言葉か。
現代日本人が、「日本軍『慰安婦』問題(一般的には「従軍慰安婦問題」だが、ここではこう書く)など我々には関係ない、解決済みだ」と、冷たく突き放すこととも似ている。
この、鳴海のセリフは非常に良くないと思う。右派論客に共鳴する人が、製作者の中に居るから、こんなセリフが出てくるのではないのか。創作物というのは、作者が常に考えていることが出てくるものだから。
実際、歴史教科書問題や、戦後責任問題を解説した本を読むと、これと似た言葉は(主に右派論客と、「戦後責任なんて自分には関係ないと思う若者」の言葉として)よく出てくる。いくつか引用しよう。

 

・その1(「日本軍『慰安婦』問題」に関して)

 自分とは関係ないことでいつもアジアから謝罪を要求されてムカつく/『「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実』(吉見義明・川田文子編著/大月書店)93ページ

 

 ・その2*1

ですから、朝鮮に対する植民地支配について、日本国がどういう民族的・国家的責任を負わなければならないかというもっとも大切な点が、事実に即してわからない。だからいまの若い生徒たちにすれば、おれたちがそんなことやったわけではないのだから、韓国もそんな古いことまでいわないでくれということになってしまうのです。(後略)/『歴史教科書をどうつくるか』(永原慶二著/岩波書店)98ページ

 

・その3

(前略)「今ごろ戦争責任なんていわれても……」とか、「そんな昔のことをいわれても自分には関係ない」とか、「身に覚えの無いことで責任を取れなんて抑圧的だ、暴力だ」といった反応が出てきます。(後略)/『戦後責任論』(高橋哲哉著/講談社学術文庫)28ページ

 

・その4

(前略)近年話題となった『敗戦後論』の加藤典洋氏は、こう言っています。「戦後生まれの日本人は、戦後責任をとれという声に対して、オレには関係ないという権利を持つ」。なるほど「オレには関係ない」ということならいくらでもできますし、法的に罰せられるわけでもないでしょう。(後略)/『戦後責任論』(高橋哲哉著/講談社学術文庫)61ページ

 

…特に、「…戦後責任をとれという声に対して、オレには関係ない…」は、まさにそのままではないか! これを参考にしている可能性はありそうだが。


それともう一つ、似たものを引用する。

 

(前略)侵略された国々が過去を思い起こさせようとすれば、言いがかりをつけるのかと開き直ったり、あれから六〇年も過ぎたではないか、執拗なやつだと逆に非難したとしたらどうだろう。(後略)/『平和は「退屈」ですか 元ひめゆり学徒と若者たちの500日』(下嶋哲朗著/岩波現代文庫)184ページ

 

これを見ると、鳴海のセリフも、「神々の侵略戦争から何千年も過ぎたのに、スクナヒコナは執拗だな、俺たちに言いがかりをつけるな」と開き直ったものなのだろうと思える。

製作者は、「これはあくまで神話(『古事記』など)上の戦争のことで、近代の戦争ではないから、こういうセリフを出してもいいだろう」と思ったのか。しかし、以前から指摘しているが、『古事記』・『日本書紀』は単なる神話ではなく、「古代神話と組み合わせた、天皇家(支配層)にだけ都合のいい歴史物語」であることと、かつての日本はこの『古事記』・『日本書紀』を根拠に、侵略戦争・植民地支配を繰り返したこと、そして戦前・戦中の歴史教科書には『古事記』が真実として載っており、天皇は神だと子どもたちに信じ込ませていたことは認識すべきだ。
本当に作りたかったのは「天津神対国津神」の話ではなく、「『過去にこだわる近隣国の人(韓国人など)』と戦う、『過去のことは忘れろと言いたい日本人』の話」だったのか…?

この、「…今の俺たちには関係ねぇだろ!」というセリフが非常に問題なのは、子どもや若者がこれを見て「そうだそうだ! 韓国人や中国人が言う、大日本帝国が起こした侵略戦争とか、植民地支配、『南京大虐殺』、日本軍『慰安婦』問題なんて、とっくに昔のことだから、今の俺たちには関係ないんだ。過去を蒸し返す韓国人と中国人たちは間違ってるよね!」と、変な共感をしてしまうかも、と心配になることである。
私は、せめてゲームの中だけでもいいから、「日本の悪い過去にしっかりと向き合える、立派な日本人の大人」を出す方が、子どもと若者の手本になると考えている。鳴海は子どもたちの手本にはなり得ない(反面教師にはなり得るとしても)。

しかし、製作者は「昔の戦争のことは、今の俺たちには関係ない」と言わせる方がカッコいい、とでも思ったのか。
鳴海のこのセリフは、もっと子どもと若者に配慮したものにすべきだ。私ならこんなセリフにする。

 

「遥か昔のこととはいえ、確かに今の俺たちにも戦後責任はあるのだろう。今まで何も知らずにいて、申し訳なかった。しかし、だからといって、大量虐殺や破壊行為をするお前は許せない!」。

 

こんなセリフなら、鳴海のことも少しは見直すのに…(まあ、私は、この男はどうしても好きにはなれないが)。さっきは「過去の後始末は大人の役目だ」と言ったのに、遥か昔の侵略戦争のこととなると「俺たちには関係ない」と開き直るとは…。矛盾しているし、大人げない。
鳴海のセリフ「若者には…、これからの将来を切り拓いていくという役割があるんだよ」にしても、右派論客のよく言う「未来を担う若者には、先祖の戦争責任を負わせるべきではない」と似ている。だが、右派論客は過去の清算を拒否し、日本にだけ都合よく歴史を捻じ曲げるので、これから世界に羽ばたいていく若者には、むしろ迷惑な存在だが。
製作者も、「子どもたちは、先祖が起こした戦争の罪を背負わなくていいんだよ」と言いたかったのではないのか…?
もしも、鳴海が戦後生まれの日本人なら、絶対に「かつての日本がやった侵略戦争・植民地支配とか、731部隊、南京大虐殺、日本軍『慰安婦』なんて、今の俺たちには関係ねぇだろ!」と言うと思う! これは非常に問題だ…。
鳴海が現代人だったら、書店によくある「歴史修正(改竄)本」…、例えば「日本人を洗脳する『自虐史観・東京裁判史観(注・詳細は後述)』からの脱却」、「『南京大虐殺』は無かった!」、「日本は植民地で良いことをした」、「『大東亜戦争』は正しい戦争だった」、「日本軍『慰安婦』はいなかった」といった感じの本を読み、あっと言う間にハマってしまいそうで、心配になるよ…。
あと、鳴海の「…狂ってるよ、宗像さん」というセリフも問題がある。理解出来ない者を「狂っている」と切り捨てるのか。これは後のイベントとも関わる。

先ほど書いた、本当に作りたかったのは、「『過去にこだわる近隣国の人(韓国人など)』と戦う、『過去のことは忘れろと言いたい日本人』の話」なのか? ということについて、もう少し詳しく解説する。
前回、第八話の時にも似たことを書いたが、この第拾話も、時代を戦後とし、宗像(スクナヒコナ)を「韓国人」、ヤタガラス(天津の神)を「日本国家」に置き換えて考えてみよう。


宗像「…そは植民地時代よりの復讐。…日本人に殺された幾多の抗日韓国人の無念の声が、我を突き動かすのだ!」

 

スクナヒコナ「…全ての日本人が罪を噛締めながら、悶え、そして死ぬのだ!」
鳴海「…馬鹿な、昔の侵略戦争や植民地支配の恨みなんて、今の俺たちには関係ねぇだろ!
スクナヒコナ「侵略戦争を起こした日本人の末裔である事…、かつて侵略国家であった日本に産まれ落ちた事が罪なのだ!」
鳴海「俺たちが先祖の戦争責任を取れというのか。そんなムチャな…
スクナヒコナ「日本人の貴様らにはわかるまい。虐げられし韓国人の心なぞ…」

 

スクナヒコナ「…我が力は一人のものにあらず。そは、植民地時代より日本国家に虐げられた韓国人たちの怨念の結晶…」

 

こうすると、かなりしっくり来る。本当に作りたかったのはこれか? と…。
第六回目でも少し触れたが、『超力兵団』は「架空の1931年の日本が舞台」だが、「開発当時の日本の状況」も反映されているはずだ。
『超力兵団』の開発当時(主に2004年~2005年であろうか)にもあった「歴史認識問題、歴史教科書問題(主に「つくる会」のこと)、日本軍『慰安婦』問題、戦後責任問題」が、このゲーム開発のきっかけなのか?
どうも、この『超力兵団』の製作者の中には、「歴史教科書問題などで日本に猛抗議する韓国や中国」に対して、悪い印象を持つ者が居るのか? と、つい勘繰ってしまう。「過去を蒸し返す韓国人などは鬱陶しい、戦後生まれの我々には戦争責任など無いのに…」という思いが、このゲームに反映されている?

 

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スクナヒコナとは

 第拾話で戦う「スクナヒコナ」(少彦名命。スクナビコナとも呼ばれる)は、『古事記』・『日本書紀』に登場する「小さな神」で、「国津神・オオクニヌシ(大国主命。大正天皇の守護神*2とも言われる)と共に国造りをしたが、ある時突然『常世の国』へと去っていった」という。本来は、特に天皇や天津神と戦うような神ではない。それをなぜ、「復讐に燃える国津神」としたのか。

本作のスクナヒコナのデザインが、『真・女神転生2』(スーパーファミコンなど)に出てくるスクナヒコナとは全く異なるのも気になる。
本来のスクナヒコナのイメージを捻じ曲げるのは、あまり良くないのでは。彼と仲良しのオオクニヌシは仲魔に出来るのに(主要イベントには出ないが)、スクナヒコナは倒しても仲魔に出来ないのはなぜだろう。
オオクニヌシは、端正な顔立ちの古代青年風なのに、スクナヒコナは異様な容貌というのも謎だ。

 

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スクナヒコナを倒すと…

さて、スクナヒコナ撃破後の展開も見よう。

 

スクナヒコナ「グォ…ォォ………、人如きが我を…、倒すなぞ…。
だが…、如何(いか)に貴様とて、超力超神は止められまい。
我ら…、伏ろわぬ者の恨みによって…帝都は崩壊するのだ!


こうしてスクナヒコナは絶命。

鳴海は言う。

 

鳴海「…宗像さんに悪魔がとりついていた、か…。
一体、何があったんだろう。あの人はいつも国を想っていたのに…。
この日本の為に…、という宗像さんの思い、それが悪魔に利用されたのだとしたら…。
あまりに…、哀れじゃないか。
…ライドウ。俺が昔、軍にいたって教えたよな。俺も、宗像さんと同じ帝國陸軍に所属していたんだ。

だけど…、俺はそこであまりに色んな事を知っちまった。
様々な思惑…、人知を超えた国家の動き…。
そんな中では、一人の人間なんてほんとちっぽけな存在だった。
…それで、ま、バカらしくなったんだ。軍の存在も、そこで働く事も……。
けどなぁ、それは間違いだったんだ人は、その人の出来る範囲でやるべき事をやらねばならない…。

お前を見ててそんな気がしたんだ、ライドウ。……。」

 

その直後、地面が揺れる。

 

鳴海「…さっきの化け物が暴れているのか!? …とにかく外へ行ってみよう!」

 

ここで造船所を脱出するが、その前に鳴海に話しかけてみる。


鳴海「神だなんだの復讐やら、一握りの奴らの都合やら…。そんなもんで世の中の皆が振り回されていいわけがない。ヤタガラスの指示なんかじゃない、俺は一人の人間としてとして足掻(あが)いてやる!」

 

さらに、脱出前に宗像の遺体を調べると…。

 

宗像だったもの「……」

「(メッセージ)すでに事切れている」
鳴海「…宗像さんも、そのスクナヒコナって奴も、自分に正直すぎたよ。バカがつくほどな。

…けど、周りを気遣わない力の行使は、ダダこねてるのと変わりはしない

彼らには悪いが、あの化け物をこのままにはしておけない。行こう」

 

造船所から外に出ると、遠くに巨大ロボがおり、街では火の手が上がっている。それを見つめるライドウと鳴海。ここで第拾話は幕となる。

 

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断末魔の真意

スクナヒコナ撃破後の展開を、まとめて解説しよう。

スクナヒコナの断末魔は、「日本による植民地支配に抵抗して殺された、抗日韓国人・抗日中国人たちの恨みの言葉」そのものではなかろうか。
「我ら…、韓国人(中国人)の恨みによって…大日本帝国は崩壊するのだ!」とすれば、しっくり来る。
前回も、第八話の宗像のセリフは「大日本帝国に対する、韓国人たちの恨みの言葉のようだ」などと解説したが、それと同じ。

鳴海が、スクナヒコナを「悪魔」と呼ぶのも違和感がある。『メガテン』では伝統的に、神も悪魔も妖怪も、「悪魔」・「仲魔」と呼ばれるが、本来スクナヒコナは日本の善良な神様なので、悪魔扱いするのはどうかと…。これは、現実でもある「嫌いなものは何でも『悪魔化』して弾圧すればいい」という思想と結びついているようにも思える。先ほども書いたが、「理解出来ないものはすべて『狂っている』としてしまえばいい」とする思想とも重なる。

鳴海のセリフ「あの人はいつも国を想っていたのに…。この日本の為に…、という宗像さんの思い、それが悪魔に利用されたのだとしたら…、あまりに…、哀れじゃないか」は、表向きは「愛国心は、時に悪い方に利用されるものだ」という警告にも思えるが、私が思うに「愛国心を持つのは素晴らしいことだ、悪い方向にさえ行かなければ」と賞賛しているようにも見える。

かつて軍に居たという鳴海は、「…それで、ま、バカらしくなったんだ。軍の存在も、そこで働く事も……。けどなぁ、それは間違いだったんだ。人は、その人の出来る範囲でやるべき事をやらねばならない…」と言う。これは、「軍の存在や、そこで働くことはバカらしいと思ったが、今思うとそれは間違っていた。やはり日本軍は有るべきだし、軍で働くべきだった」と解釈すると、日本軍もしくは現代の自衛隊を賞賛するセリフとも思える。軍批判のように見えても…。
「今の日本も、憲法九条を改正して国防軍を創設せよ」と常々思う人が作ったセリフの可能性もある。

宗像の遺体を調べた時の、鳴海のセリフも、スクナヒコナ(宗像)の言葉が「抗日韓国人などの言葉と似ている」ことを踏まえると、「歴史教科書問題、歴史認識問題で、抗日デモをする韓国人などを揶揄している」ようにも思える。「韓国人は自分に正直過ぎるよ、周りを気遣わずに抗日デモなんかして…」というような。
「彼らには悪いが」と言っても、本当は悪いとは思っていないと感じる。

神だなんだの復讐やら、一握りの奴らの都合やら…。そんなもんで世の中の皆が振り回されていいわけがない」にしても、その「一握りの奴ら」の中には、「極右の権力団体・ヤタガラス」も含まれるのは、かつて国家権力側に居た鳴海も知っているはずだろうが(設定資料本によれば、ヤタガラスの思想も知っているようだし)、それを一切言わないのはなぜだ(「天皇批判」も彼の口からは出てこない。菊タブーを怖れたか)。何度でも言うが、いずれはヤタガラス国家神道そのもの!)のせいで戦争が起きるのに。それを見抜けないようでは、大人としてどうかと思う。あと、このセリフは「韓国人などの『昔の恨み』で、今の日本が振り回されていいわけがない」という意味とも取れる。
「ヤタガラスの指示なんかじゃない」と言うが、結局はヤタガラスと同じこと(「帝都を護ること」)をしている限りは、ヤタガラスに逆らったことにはならないヤタガラスが滅びない限りは、真の平和は訪れないのに。
『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式ふぁんぶっく』の24ページ、鳴海の説明文には、「鳴海は、ヤタガラスの思惑は快く思ってはいない」とあるが、それならなぜヤタガラスに協力しているのだ? そして、ヤタガラス配下のライドウを、探偵社の助手として雇っているのかも理解不能だ。一度「日本軍」に失望したなら、「海軍と繋がりを持ち、海軍大将である大正天皇を崇拝するヤタガラスも要らない!」(このゲーム上の日本ではなぜか、天皇は海軍しか指揮していない。現実では陸海軍の大元帥であった)、と強く思い、ヤタガラスに協力などしないだろうに…。「陸軍はダメだが海軍はいい」、とでも思ったのか(海軍善玉論というのがあるが、私はどうも信用できない)。

 

もしも、私がこのゲームの登場人物なら、「ヤタガラスを滅ぼすために戦う者」になるだろう。その戦いは長く、1945年まで続きそうだ。
そのうち、ヤタガラス「天皇の名の下に」戦争を引き起こし、結果として1945年3月に東京大空襲が起こり、鳴海もそれに巻き込まれて、通りすがりの私に助けを求めてきたとする。冷血だが、私はこう言って振り切るだろう。
「お前が、ヤタガラスの思惑を快く思わないくせに、ヤタガラスに協力し続けたから、このような結果を招いたのだ。その罪を、身をもって思い知れ!」
そして私は、ヤタガラスと戦いに行くのだ――。

 

《コラム》

これは、「私の独自説(トンデモ論)」である。読み飛ばしてかまわない。
※あくまでも私独自の見解・解釈であり、公式設定とは一切関係ないことをお断りする。

私は、「ライドウの正体は、ヤタガラスに従うフリをしているだけで、『いずれ戦争を起こすであろうヤタガラス』を利用して、大日本帝国を滅ぼし(同時にヤタガラスも滅びる)、民主主義の新たな日本を造ろうと目論む者だ」と考えている(前回、前々回記事を参照)。
そして今回はさらに、「実は、元軍関係者の鳴海も、特に何の力も無いが、権力団体であるヤタガラスを憎み、滅ぼしたいと願う者。だがそれを隠し、ヤタガラスを監視するために、ヤタガラスと協力関係にある。彼の目的は、いずれ現れる『ヤタガラスに従うように見せかけて、実はヤタガラスを滅ぼせる力を持つ若者』を探偵社で受け入れることだ。そしてその若者こそがライドウである」という説も唱えたい。
そう考えれば、鳴海がヤタガラスに協力する理由も理解出来るが(この独自説に関しては、またいずれ詳しく紹介したい)。

 

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宗像の設定の真意

宗像の正体について、ひとつ指摘したい。
「宗像は、本来は愛国心の強い軍人だが、復讐神スクナヒコナに憑依され国を破壊する者となった」設定にしたのは、憶測だが「誇り高い日本人が、侵略戦争や虐殺などしない」という、右派論客のような思想を持つ人が作ったから、とも思えるが、どうだろう。
右派論客の中には、「優しく誇り高い日本人が、『南京大虐殺』を起こすはずが無いという信念」(何の根拠も無いが)から、「南京大虐殺はなかった論」を唱え出した者も存在するようだから。
あるいは、史実は変えられないなら、せめてゲームの中だけでも、「日本が戦争を始めたのは『悪魔』(または復讐の神)のせいであり、日本人のせいじゃないことにしたい」と思ったからか? 右派論客がよく「日本は戦争を仕掛けていない、米国(または中国など)が悪い」と言うように。
実際、この次の第拾壱話(第十一話)で、とある陸軍の軍人が「超力兵団計画が、帝都壊滅を意図したものだったとは…。我々は宗像閣下にだまされて…、い、いやそんなはずはない! きっと何者かが閣下に成り代わって…。そうでなければ…、我々は救われん」と言うのを見られるが、これが製作者の本音か?
「本来は誇り高い日本人が戦争をしたのは、『悪魔に憑依されていた』ことにしなければ、今の我々は救われない」と。

もうひとつ考えられるのは、「日本の軍人が祖国を破壊する」話にすると「右翼から抗議される」から、「あれは復讐の神が憑依したからで、日本の軍人そのものではない」と言うためか。

いずれにせよ、若者には好ましくない設定だと、私は思う。右派は「この方が好ましい! 日本人は本来暴虐じゃないから!」と言いそうだが。

 

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前回の補足

前回紹介した、とある軍人のセリフだが、もう少し気になる点があるので補足する。
前回は、セリフの後半部分は紹介しなかったので、今回は全文紹介する。

 

「我々の外国攻略の恩恵があってこそ、貴様らの平穏があるのではないか? 敬われこそすれ、煙たがられる筋合いは無いのだがな。ククク…」。

 

このセリフの前半部分については、前回解説したが、この太字にした後半部分にも何かの意図がありそうだ。
これについては、別館ブログ「悪魔ハンター桐嶋ローダVS八咫烏」でも少し紹介したが、もっと詳しく解説する。
このセリフの全体像を、私なりに解釈すると…。

 

「我々軍人が、韓国や台湾を侵略して植民地にしたからこそ、貴様ら庶民の平穏があるのだ。そして、植民地では日本はいいことをしてるから、敬われこそすれ、煙たがられる筋合いは無いのだがな」。

 

…何となくだが、本当はこう言いたいのではないか。
何せ右派論客は、どうしても「日本が他国を侵略して植民地支配した責任」を取りたくないから、こぞって「植民地では日本はいいこともした」と言うが、そんな妄言を信じるのは余程無知な人か、歴史修正(改竄)主義本に洗脳された人だけである。
もしや、このゲームの製作者の中にも、この「右派の妄言」を信じる人がいて、だからこんなセリフが出てくるのでは…、と。
この軍人のセリフとよく似たものがあるので、引用する。これは、右派論客にありがちな言い分であるが…。

 

(前略)日本はむしろ植民地で善行を施したのだから、感謝されこそすれ謝罪すべきいわれはない。(後略)/『戦後責任論』(高橋哲哉著/講談社学術文庫)134ページ

 

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「つくる会」教科書との符合点

では、この第拾話と『新しい歴史教科書』との符合点を見よう。これはもう本当に「大いにある」のだ。さらには『新しい公民教科書』とも奇妙な符合点がある。
『新しい歴史教科書』には、特に「戦後生まれは、戦争責任を負わなくてもいい」とは書いていない。だが、よく読めばそう主張したいのだと分かる。
要するに、「戦争はどの国、どの時代でも起こることだ、だから日本は他国に謝らなくていい」というのが、この教科書執筆者の主張なのだ(そのわりに、「米国の戦争責任」をしつこく追及するのは矛盾している)。
何せ「つくる会」は、「日本軍『慰安婦』のことは、中学校の歴史教科書に載せるな」と主張するべく、歴史修正(改竄)主義者たちが立ち上げた団体だから、そうなってしまうのだ。「つくる会」と、そこから分裂した団体は今も、「日本の加害歴史は教科書に書くな」と訴え続けている。

以前から書いているが、この『新しい歴史教科書』の歴史観は、「自由主義史観」(造語)というもので、内容的には「皇国史観」と「司馬史観」を元にし、「天皇家(支配者)と日本にだけ都合よく歴史を捻じ曲げたもの」である。さらには、「『自虐史観』(造語)、『東京裁判史観』(これも造語)から脱却し、日本に誇りを持てる明るい歴史観」などと謳うものだ。「自虐史観」と「東京裁判史観」とは、右派の言葉を要約すれば「日本はさんざん悪いことをしてきた残虐な国だという、日本人であることが嫌になる暗黒史観」で、それは「東京裁判を行なった、米国からの押し付け史観」であるという。「従来の日本の歴史教育」は全てこの史観に支配されてきた、と右派論客は言う。
だがこれは、右派論客も本当は「大日本帝国時代の日本は、残虐な国であった」ことは認めており、しかしそれを受け入れられずに「すべて米国の押し付けだ、日本を一方的に裁いた東京裁判が悪い」ということにするために、「従来の歴史観は自虐史観だ、東京裁判史観だ」と勝手に攻撃しているに過ぎない。
ただ、彼らは東京裁判を批判するわりには、東京裁判では「本来は裁かれるはずだった昭和天皇と、731部隊の責任者、日本軍『慰安婦』強制連行・性暴力に関わった者を裁かなかったこと」に関しては、受け入れているのでは。

 

さらに、『新しい公民教科書』との符合点も見る。
先ほど紹介したアラハバキのセリフは、「太古の昔より天皇と皇室は敬われていた」という、右派の好む作り話っぽいと書いたが、『新しい公民教科書』にも似た表現がある。

 

天皇は、古くから国家の平穏と国民の幸福を祈る民族の祭り主として、国民の敬愛の対象とされてきた(後略)/『市販本 新しい公民教科書』(扶桑社)59ページ

 

ここでは、「天皇が居なかった時代の方が長い」ことには触れておらず、日本が出来たころから天皇が存在し、国民に敬われていたかのように思わせてしまう。さらにこの『新しい公民教科書』でも、『新しい歴史教科書』と同じく、皇軍の大元帥であった昭和天皇の戦争責任には一切触れず、むしろ「国民が戦後を乗り越えたのは天皇の精神的な支えのお陰…」のように書いているのはおかしい
また、この『新しい公民教科書』には、自衛隊を称讃するような記述もあり、それもこの第拾話と似ているのかも知れない(元々「日本国憲法は米国の押し付けだ」とか、「憲法九条を改正せよ」と主張する人たちが作ったのが『新しい公民教科書』だから)。

 

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まとめ

では今回のまとめ。

 

  1. 「ヤタガラス配下のデビルサマナーは、天津に逆らう者(「天皇に反逆する者」)を討つために遥か昔より存在した」と、敵の「アラハバキ」(見た目は「土偶」そのもの!)は言うが、これは「天皇と皇室は太古の昔より敬われていた」などという、右派の作り話を髣髴とさせるため、特に若者と子どもたちには良くないと思う。
  2. この話の終盤で、「鳴海を助ける」こと以外は選べないのは、「鳴海を助けたいと思うはずだ」という、製作者の考えの押し付けである。
  3. 鳴海のセリフ「…馬鹿な、何千年もの昔の恨みなんて、今の俺たちには関係ねぇだろ!」は、右派論客などがよく言う「戦後生まれの日本人には、過去の侵略戦争のことは関係ない」とそっくりであり、非常に問題がある。子どもたちには悪影響だ。せめてゲームの中だけでも、子どもの手本になる「日本の悪い歴史にもきちんと向き合える、大人の日本人」を出すべきだと思う。
  4. 宗像に憑依していた神・スクナヒコナを、悪魔扱いするのは良くない。「日本人は悪魔に憑依されたとかでなければ、戦争や虐殺などしない」と言いたいのか。
  5. 「歴史認識問題などで、日本に抗議する韓国人や中国人」を、快く思わない人が作った話なのかも知れない。
  6. 鳴海は「ヤタガラスを快く思わない」のに、なぜヤタガラスに協力しているのか? ヤタガラスこそが「御国(天皇、国体)のためと言って、国民を振り回して犠牲にする」集団だというのに。
  7. もしや、「愛国心を持て」とか、「国防軍創設を!」というメッセージを、子どもたちに伝えたいのか?
  8. 『新しい歴史教科書』もまた、「過去の戦争のことは、若者には関係ない」と言いたい本だから、この第拾話とも符合する。さらにアラハバキのセリフは、『新しい公民教科書』の天皇に関する記述を思わせる。
  9. 前回紹介した、とある軍人のセリフは、「植民地では日本はいいことをしているのだから、煙たがられる筋合いは無い」という意味なのか?

 

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おわりに

今回は、第拾話を解説した。この話には、歴史認識問題、戦後責任問題などの「現実の日本にある問題」が絡んでいるのではないか、ということを見てきた。
次回は、最終話である第拾弐話(第十二話)を検証したいと思うが、この第拾弐話には問題が数多くあり、一回では収まらないので、複数回に分けて検証していくつもりだ。
では、また次回。

 

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参照ゲームソフト・主要参考文献・引用文献

今回の主な参考文献・引用文献など。前回までの参考文献も参照のこと。お勧めしないものには「※お薦めしません」と付けた。

※既に絶版のものもあるので、ご了承ください。

【参照ゲームソフト】

  • 『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(プレイステーション2/発売元・アトラス)
  • 『デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王』(プレイステーション2/発売元・アトラス)
  • 『真・女神転生2』(スーパーファミコン・プレイステーション/発売元・アトラス)

【『超力兵団』及び続編の本】

  • 『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式ふぁんぶっく』(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
  • 『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式完全本』(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
  • 『デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王 公式ガイドブック』(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
  • 『デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王 超公式完全本』(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)

【「つくる会」の教科書市販本】

  • 『市販本 新しい歴史教科書』(西尾幹二代表執筆者/扶桑社)※お薦めしません
  • 『市販本 新しい歴史教科書 改訂版』(藤岡信勝代表執筆者/扶桑社)※お薦めしません
  • 『市販本 新しい公民教科書』(西部邁代表執筆者/扶桑社)※お薦めしません
  • 『日本人の歴史教科書』(「日本人の歴史教科書」編集委員会編/自由社)※お薦めしません

【「つくる会」批判・「自由主義史観」批判・歴史教科書・愛国教育】

  • 『あぶない教科書NO! もう21世紀に戦争を起こさせないために』(俵義文著/花伝社)
  • 『歴史研究の現在と教科書問題 「つくる会」教科書を問う』(歴史学研究会編/青木書店)
  • 『歴史家が読む「つくる会」教科書』(歴史学研究会編/青木書店)
  • 『新版 ここが問題「つくる会」教科書 歴史・公民教科書批判』(子どもと教科書全国ネット21編著/大月書店)
  • 『歴史教科書をどうつくるか』(永原慶二著/岩波書店)
  • 『「自由主義史観」批判 自国史認識について考える』(永原慶二著/岩波ブックレット)
  • 『とめよう!戦争への教育 教育基本法「改正」と教科書問題』(高橋哲哉・俵義文・石山久男・村田智子執筆/子どもと教科書全国ネット21編/学習の友社)
  • 『教科書が危ない 『心のノート』と公民・歴史』(入江曜子著/岩波新書)
  • 『<つくる会>分裂と歴史偽造の深層 正念場の歴史教科書問題』(俵義文著/花伝社)
  • 『こんな教科書子どもにわたせますか 「つくる会」の歴史・公民教科書批判』(子どもと教科書全国ネット21編/大月書店)
  • 『徹底検証 あぶない教科書 「戦争ができる国」を目指す「つくる会」の実態』(俵義文著/学習の友社)
  • 『史実が示す 日本の侵略と「歴史教科書」』(吉岡吉典著/新日本出版社)
  • 『「つくる会」教科書はこう読む! 隠された問題点の数々』(上杉聰・君島和彦・越田稜・高嶋伸欣著/明石書店)
  • 『消され、ゆがめられた歴史教科書 現場教師からの告発と検証』(久保井規夫著/明石書店)
  • 『歴史教科書 何が問題か 徹底検証Q&A』(小森陽一・坂本義和・安丸良夫・編/岩波書店)
  • 『教科書から消せない歴史 「慰安婦」削除は真実の隠蔽』(久保井規夫著/明石書店)
  • 『教科書攻撃のウソを斬る 「新しい歴史教科書をつくる会」がねらうもの』(子どもと教科書全国ネット21編/青木書店)
  • 『歴史教科書とナショナリズム 歪曲の系譜』(和仁廉夫著/社会評論社)
  • 『歴史教科書とアジア 歪曲への反駁(はんばく)』(和仁康夫著/社会評論社)
  • 『「自由主義史観」の病理 続・近現代史の真実は何か』(松島榮一・城丸章夫編/大月書店)
  • 『近現代史の真実は何か 藤岡信勝氏の「歴史教育・平和教育」論批判』(藤原彰・森田俊男編/大月書店)
  • 『戦争責任とジェンダー 「自由主義史観」と日本軍「慰安婦」問題』(鈴木裕子著/未來社)
  • 『戦後責任論』(高橋哲哉著/講談社学術文庫)
  • 『韓国発 日本の歴史教科書への批判と提言 共存の教科書づくりのために』(李元淳監修・鄭在貞・石渡延男編集/桐書房)
  • 『「慰安婦」問題Q&A 「自由主義史観」へ 女たちの反論』(アジア女性資料センター編/明石書店)
  • 『ドキュメント 「慰安婦」問題と教科書攻撃』(俵義文著/高文研)
  • 『歴史教科書の可能性 「つくる会」史観を超えて』(原田敬一・水野直樹編/青木書店)
  • 『ちょっと待ったぁ! 教育基本法「改正」 「愛国心教育」「たくましい日本人」「心のノート」のねらいを斬る』(小森陽一・三宅晶子・俵義文・斎藤晴雄・古野博昭執筆・子どもと教科書全国ネット21編/学習の友社)

【歴史修正(改竄)主義・歴史認識問題】

  • 『歴史修正主義とサブカルチャー 90年代保守言説のメディア文化』(倉橋耕平著/青弓社)
  • 『日本は過去とどう向き合ってきたか 【河野・村山・宮沢】歴史三談話と靖国問題を考える』(山田朗著/高文研)
  • 『すっきり!わかる歴史認識の争点Q&A』(歴史教育者協議会編/大月書店)

【アジアの歴史】

  • 『これだけは知っておきたい 日本と韓国・朝鮮の歴史』(中塚明著/高文研)
  • 『…こどもがききました 日本は朝鮮になにをしたの シリーズいま伝えたい1 朝鮮侵略』(映画「侵略」上映委員会編/明石書店)
  • 『…こどもがききました 日本は中国になにをしたの シリーズいま伝えたい2 中国侵略』(映画「侵略」上映委員会編/明石書店)
  • 『日韓共通歴史教材 学び、つながる日本と韓国の近現代史』(日韓共通歴史教材製作チーム編/明石書店)
  • 『日本・中国・韓国=共同編集 未来をひらく歴史 東アジア3国の近現代史』(日中韓3国共通歴史教材委員会編/高文研)

【天皇・皇室・天皇制】

  • 『大正天皇』(原武史著/朝日文庫)
  • 『フェミニズム・天皇制・歴史認識』(鈴木裕子著/インパクト出版会)

【日本軍「慰安婦」問題】

  • 『なぜ「従軍慰安婦」を記憶にきざむのか 十代のあなたへのメッセージ』(西野瑠美子著/明石書店)
  • 『Q&A 「慰安婦」・強制・性奴隷 あなたの疑問に答えます』(日本軍「慰安婦」問題webサイト制作委員会編/御茶の水書房)
  • 『「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実』(吉見義明・川田文子編著/大月書店)

【日本の近現代史】

  • 『日本近現代史を読む』(宮地正人監修・大日方純夫・山田朗・山田敬男・吉田裕著/新日本出版社)

【皇国史観】

  • 『皇国史観』(永原慶二著/岩波ブックレット)

【「戦後責任」を扱った文学】

  • 『屋根裏部屋の秘密』(松谷みよ子著/偕成社)

【古事記・日本書紀・日本の神】

  • 『現代語訳 古事記』(福永武彦訳/河出文庫)
  • 『現代語訳 日本書紀』(福永武彦訳/河出文庫)
  • 『あらすじとイラストでわかる古事記・日本書紀』(知的発見!探検隊著/文庫ぎんが堂)
  • 『日本の神様 読み解き事典』(川口謙二著/柏書房)

【国家神道】

  • 『日本史リブレット 民衆宗教と国家神道』(小澤浩著/山川出版社)

【戦争】

  • 『平和は「退屈」ですか 元ひめゆり学徒と若者たちの500日』(下嶋哲朗著/岩波現代文庫)

【右翼思想】

  • 『近代日本の右翼思想』(片山杜秀著/講談社選書メチエ)

【司馬史観】

  • 『司馬遼太郎の歴史観 その「朝鮮観」と「明治栄光論」を問う』(中塚明著/高文研)

 

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*1:これは1987年の高校用歴史教科書『新編日本史』に対する批判である

*2:『大正天皇』(原武史著/朝日文庫)46~49ページ参照